レストア・チューニング

[コスモスポーツレストア③]エンジンの分解

ボディをバラバラにすると、そのクルマの過去というか履歴が一目瞭然になるることを前回はお伝えした。
やはり齢50年ともなると人間ですら成人して就職して一人前になり熟年期に差し掛かる。
クルマだって同じことで、その間の積み重ねで円熟味を増すのだが、同時に疲れだって溜め込んでいる。
その結果が前回、ボディをバラして証明されたのだが、それはエンジンや駆動系も同じだ。
50年以上を経たエンジン、しかもコスモスポーツには量産初の2ローター・ロータリーエンジンを搭載している。


ただでさえ3万キロほど走っただけで圧縮が抜けるとか、新車当時は数万キロ走ればエンジンをユニット交換してくれたほど耐久性に関しては未知のエンジン。
50年経つとどうなるのか、興味深いところだ。早速分解してみよう。

基本的にマツダ製の2ローターエンジンはローターハウジングを2つ重ねてあり、それをエキセントリックシャフトが連結する構造。
分解するには前後のカバーを外してエキセントリックシャフトを抜けばいい。
早速カバーを外してエキセントリックシャフトを抜くと……。

すでにオイルであることを止めた油分が内部でヘドロ化しているのは予測の範囲内だが、それがゴミなどと一緒に固形化していた。


ここはレシプロエンジンで言えば燃焼室にあたる部分。カーボンが溜まりやすいのは理解できるが、ここまで埋まってしまうなんて聞いたことがない。
しかも、ハウジング内で円運動をするローターには大きな線傷まで入っていた。

よくロータリーエンジンはハウジングとローターが接触する面に取り付けられているアペックスシールの耐久性に難があると伝えられる。
50年以上経ったロータリーエンジンだから当然シール類は全交換になるだろうことは誰にでも想像できるが、肝心のローターがこの状態では他にどのようなダメージを負っているか考えただけでゲッソリしてしまう。
さらに分解を進めて2つのローターを分離し、ハウジングからローターを取り出すと、当然のように磨耗したアペックスシールが現れた。
アペックスシール面にカーボンやオイルが固形化したゴミが乗っているのが写真でもわかるだろう。
これが円運動するたびにシールを攻撃していたのだから、磨耗していないわけがない。
果たしてこの状態でちゃんと回っていたのか、逆に興味深いくらいにひどい状態だ。

コスモスポーツに搭載されているのは10A型で、ファミリアや初期のサバンナRX-3にも採用された。
とはいえ、それも40年以上前の話。今では補修部品を手に入れることさえ困難だ。
確かにオーナーズクラブがメーカーに掛け合い、ハウジングやアペックスシールの再生産にも成功しているから、それらを使えばオーバーホールは可能。
だが、今回はオーナーの意向、そして弊社社長の判断によりオリジナルにこだわることなく最新のテクノロジーと部品を使って再生することが決定した。
その全貌はまた次回以降にご紹介しよう。

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