
2025年3月12日
車のパワーウィンドウが故障した!その原因や応急処置の方法は?
現在ではもはや当たり前の装備となった車のパワーウィンドウ。
かつては一部の高級モデルのみに限り採用され、装備された車に乗ることがステータスとされていた時代もありました。
そんなパワーウィンドウはドライブを快適にしてくれる便利な機能ですが、故障してしまうと窓が閉まらない、スイッチを押しても動かないなど、非常に厄介なトラブルを引き起こします。
今回は、パワーウィンドウの歴史から仕組み・構造、故障の原因や対処法までお伝えします。
目次
1 現在は当たり前の装備となったパワーウィンドウのこれまでの変遷
パワーウィンドウが初めて登場したのは、戦前のアメリカと言われています。
なんと1930年代には限られた高級車で採用されていたようです。そんなパワーウィンドウが国産車で初めて装備されたのは1964年のこと。
同年5月に日産と合併前のプリンスがリリースした2代目グロリアの上位グレード「グランドグロリア」に装備されたのが最初です。
それからしばらくの間は、主に高級車を中心に採用されており、大半のモデルではレギュレーターハンドルを回して開閉する手動窓が採用されていました。
本格的にパワーウィンドウの普及が始まったのは1980年代。2000年代に入ると一部の商用車などを除き、ほとんどのモデルで標準装備されるようになりました。
2 パワーウィンドウの構造と手動ウィンドウ
2-1 電動で開閉するパワーウィンドウの構造
そもそもパワーウィンドウとは、電動で開閉を行う窓のことを指します。
基本的な窓ガラスやスイッチを除いた、パワーウィンドウを構成する主な部品は以下の3つ。
- ガラスランチャンネル
窓ガラスの枠に埋め込まれたゴム製のモールのこと。上下に動く窓ガラスを支えて開閉をスムーズにする、ガラスの振動を吸収する、ガラスと窓枠の間に密閉性を保ち風や雨水などの侵入を防ぐなどの役割を持った部品。 - レギュレーター
昇降機能によって窓ガラスを開閉(上下調整)する装置。歯車によって窓を動かすギアタイプと、ワイヤーの巻き上げによって窓を動かす「ワイヤータイプ」の2種類があります。 - モーター
スイッチの操作により駆動し、その動力でレギュレーターを動かす部品。
これら3つの中でもパワーウィンドウの核となるのは、レギュレーターと呼ばれるモーターと組み合わさった装置。運転席や各座席の窓の下部に取り付けられたスイッチを操作すると、このレギュレーターが作動して窓が上下する仕組みです。
2-2 1960年代頃まで主流だった手動ウィンドウ
現在ではほとんどの車がスイッチ1つで窓の開閉ができるようになっていますが、1980年代頃までは手動で操作する手動ウィンドウが主流でした。
当時世代の方であれば、懐かしいと感じられる方も多いのではないでしょうか。
この手動ウィンドウが採用されたモデルには、ドア下部にレギュレーターハンドル(ドアハンドルレギュレーター)が備え付けられており、そのハンドルを手でクルクルと回すことで手動で窓を上下する仕組みです。
一部反対のモデルも存在するものの、一般的に前方にハンドルを回すと窓が開き、後方に回すと閉まります。そんな手動ウィンドウは現在、パワーウィンドウの普及により旧車などを除いてほとんど見られなくなりました。
ただし、商用車や軽バンをはじめとしたコストを優先する一部モデルでは、パワーウィンドウよりも安価な手動ウィンドウを現行で採用したモデルも存在します。
トヨタの「アクア」のBグレードでは、ハイブリッド車にも関わらず、リアのウィンドウのみ手動ウィンドウが採用され、コスト削減に貢献しています。
3 パワーウィンドウが故障する原因や対処法
スイッチ1つで窓の開閉が可能なパワーウィンドウですが、モーターやレギュレーターなどの機械部品を利用したその仕組み故に故障することもあります。
突然パワーウィンドウが故障して窓の開閉ができなくなってしまうこともあるものの、多くの場合は故障前に前兆のような不具合が見られます。
前兆とされる不具合は、異音がする、スイッチの反応が悪い、操作しても反応しない時がある、開閉時にいつもより時間がかかる、引っ掛かりがあるなど、故障箇所によって様々。
本項では、パワーウィンドウの故障の原因について見ていきましょう。
3-1 パワーウィンドウの故障の原因の中で最も多いスイッチの不具合
モーターと連動しているスイッチの不具合は、パワーウィンドウの故障の原因の中でもよく見られるものの1つとして挙げられます。
具体的にはスイッチを操作しても開閉がスムーズにできない、反応が悪い、AUTOが反応しない、ぐらつきがあるなどの症状です。
接触不良が原因の場合には、操作するうちに症状が治ることもあります。しかしながら、全く反応しない場合やぐらつきが大きい場合には、故障が疑われます。
中には過電流によるショートや、挟まった異物などが原因で正常に動作しなくなる場合もあります。旧車や長年乗った車の場合は、基盤の経年劣化や腐食なども原因として考えられるでしょう。
また頻繁に操作する場所なため、経年によりつまみが折れてしまうこともあります。
スイッチが故障してしまった場合に部分的に修理・点検をすると、手間やコストがかかります。そのため、これらの症状が見られた場合には、スイッチユニットそのものを交換するのがおすすめです。
費用は車種やモデルによって異なるものの、多くの場合は1〜3万円程度で交換可能です。
3-2 操作時に異音がするなどの症状の場合はモーターの故障が原因
窓の開閉の速度が遅い、開閉ができない、操作時に異音がするなどの症状が起こっている場合は、モーターの故障が疑われます。
パワーウィンドウのモーターも長期の使用によって消耗し、経年に応じて劣化する部品です。レギュレーターに異常が見られる場合には、その影響で消耗していることも考えられます。
違和感を感じた際はそのままにすると突然パワーウィンドウが動かなくなってしまう恐れがあるため、無理に操作することは避けましょう。負担をかけず、早めに修理・点検を依頼することをおすすめします。
モーターの場合もスイッチ同様、基本的には本体の交換が必要です。
その費用は車種やモデルによって異なるものの、一般的に1〜3万程度。一方、モーターとレギュレーターが一体型になっているモデルの場合は4〜6万円程度と、交換費用が高額になることを覚えておきましょう。
3-3 窓の開閉時に異音がするなどのケースは、レギュレーターの故障が原因
レギュレーターは、ワイヤーやアームによって窓を開閉するパワーウィンドウにとっては欠かせない装置です。
故障した場合は、窓の開閉時に異音がしたり引っ掛かりがある、操作しても窓が落ちてきてしまうなどの症状が見られます。
そのままにすると突然窓が動かなくなってしまうこともあるため、できる限り早めに修理・点検をしましょう。
レギュレーターもその他のパーツと同様、基本的には本体の交換が必要です。
交換費用は車種やモデルによって異なるものの、一般的に1~4万円程度。一方、モーターとレギュレーターが一体型になっているモデルの場合は4〜6万円程度と、交換費用が高くなります。
3-4 窓の開閉時に途中で止まるなどの場合は、ガラスランチャンネルの劣化が原因
窓の開閉時に引っ掛かりを感じたり途中で止まる、異音がするなどの症状が見られる場合は、ガラスランチャンネルの劣化が疑われます。
ゴムが硬化してガラスに跡がついたり、カスが出るなどもガラスランチャンネルが劣化した際に見られる症状です。
さらに、AUTO開閉機能付きのパワーウィンドウの場合、引っ掛かりの抵抗によって挟み込みの防止機能が誤作動を起こし、途中で反転してしまうこともあります。
ガラスランチャンネルが劣化した際は、交換もしくはシリコンスプレーなどで滑りを良くする必要があります。
触ると劣化したゴムが、ポロポロと落ちてしまうような場合は交換のサインです。一般的に1〜2万円程度で交換できます。
3-5 バッテリーの電圧低下による故障
モーターを利用して窓を開閉するパワーウィンドウの動作には、バッテリーの状態も影響します。
バッテリーが劣化していたり電圧が低下しているような場合は、ヘッドライトやウインカーをはじめとした電装系の装備と同様、パワーウィンドウも正常に動かなくなることがあります。
バッテリー上がりに関してはこちらの記事をご覧ください。
3-6 レギュレーターのグリス切れや硬化による不具合
窓の開閉時に異音がしたり引っ掛かりがあるなどの症状が出ている場合、レギュレーターのグリス切れや硬化が原因で不具合が起こっている可能性があります。
パワーウィンドウの稼働部にあたるレギュレーターは、動きを滑らかにするためのグリースが切れると摩耗や劣化につながります。
グリスの劣化・消耗は、経年劣化であることがほとんどです。
劣化をそのままにして利用していると、他の部品が故障する原因にもなります。そのため、できる限り早めに修理・点検を行いましょう。
4 パワーウィンドウが動かない場合に確認すべきポイント
パワーウィンドウが動かなかったり、不具合が起きている原因は、故障だけではありません。
窓の開閉ができない場合は、幾つかのポイントを確認しましょう。
まずはチャイルドロックがONになっていないかを確認してください。チャイルドロックがかかっていないにも関わらず、スイッチが反応しない場合は、エンジンを切って再度操作するなどの方法も試すと良いでしょう。
そもそもスイッチの押し引きができない場合や、ぐらつきが強い場合は、スイッチが故障している可能性が考えられます。
次に押さえておきたいのが、バッテリー交換後です。
バッテリーを交換すると、パワーウィンドウシステムがリセットされてしまうため、AUTOや挟み込み防止機能が正常に動作しないことがあります。
ディーラーなどでバッテリー交換をした場合は、初期設定も併せて実施してくれるため、問題ありません。一方、自身でバッテリー交換をした場合は、パワーウィンドウの初期設定も自分で行う必要があります。そのため、バッテリー交換時には、パワーウィンドウの初期設定も忘れずに行うことが重要です。
最後に冬場や寒冷地など、気温が低い場所に長時間駐車していると、窓周辺が凍結して動かなくなるケースも少なくありません。
その際は慌てずに、エンジンをかけて暖房を作動させ、しばらくするとパワーウィンドウが動くようになります。無理に窓を開閉し、モーターやレギュレータに負担をかけないように注意が必要です。
5 パワーウィンドウを修理しない危険性
そもそも運転席側のパワーウィンドウは、故障して開閉しない状態だと車検に通りません。
窓が開かない状態では、緊急時などに脱出ができなくなることが考えられます。また、窓が閉まらない場合に関しては、車検基準から外れるフィルムの有無を確認することができません。
これらの理由から、パワーウィンドウに不具合がある場合は、検査で指摘される可能性が高いと言えるでしょう。
ただし、運転席側以外の窓の場合は、車検で定められた保安基準には該当しません。しかしながら、検査で指摘されるケースがないとも言い切れないため、基本的には正常に動作する状態にしておくのが好ましいと言えるでしょう。
車検以外にも、パワーウィンドウの不具合をそのままにしていると、場合によってはレギュレーターのワイヤーが切れて突然窓が落ちてしまうことがあります。
雨天の場合は雨水が車内に侵入するのはもちろん、防犯上の危険も伴います。このような事態を未然に防ぐためにも、異常が見られた場合は修理するのが安心です。
6 手動ウィンドウの故障
主流がパワーウィンドウになったとはいえ、今でも手動ウィンドウを採用している車は存在しています。
手動ウィンドウの場合は、エンジンがかかっていない状態で開閉できるのはもちろんのこと、不具合や故障時でも応急処置が簡単なことが特徴です。
そんな手動ウィンドウの故障でよく見られるのが、窓落ちと呼ばれる現象。その名の通り、窓がストンとした方向に落ちて動かなくなってしまったり、その反対に閉じたままになる現象のことを指します。
窓落ちの原因は、窓受けから窓そのものが外れることと、ギアの消耗による故障の主に2つ。
まず挙げられる窓うけから窓が外れる原因は、ハンドルを素早く回すなどの手荒な扱いです。未舗装の道路やガタガタした道路を走行中に開閉操作をすることも窓落ちの原因となります。
次に挙げられるのがギアの消耗。
そもそも手動ウィンドウはハンドルと複数のギアとを噛み合わせることで窓を開閉する仕組みです。そのため、長い年月使用していると消耗によって徐々にギア同士が噛み合わなくなり、ハンドルを回しても窓の開閉ができないトラブルが発生してしまいます。
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今回はパワーウィンドウについてお伝えしました。
スイッチ1つで窓の開閉ができるパワーウィンドウは、現代のドライブにおいてはもはや欠かせない機能です。
ところが故障してしまうと窓が閉められない、開けられないなどのトラブルにつながります。さらに、各種部品を組み合わせているため、どこかに不具合が出た場合には、連鎖的に別の部品まで故障してしまう場合もあります。
修理・点検をすると、手間やコストがかかる部品も多いため、多くのトラブルでパーツ交換が必要となるため、不具合やその前兆が見られた場合は、できるだけ早めに修理をすることが重要です。
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