2020年11月20日
エアロパーツを装着する目的は?そのメリットやデメリットを説明
車を所有している方であれば「エアロパーツ」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。現在では車の印象を大きく変えてくれるアイテムとして、様々な種類が販売されています。
しかしながらエアロパーツの本来の目的や、取り付けることでのメリットやデメリットまでを理解している方は多くないかもしれません。
今回は車に取り付けられるエアロパーツについて、その種類から装備することでのメリットやデメリットまで詳しく解説していきます。
目次
1 そもそもエアロパーツとは
エアロパーツは空気抵抗を軽減させるために考案された自動車に装備するパーツを指します。
大きく分類すると空気抵抗を軽減させるなどのレーシングカーに使用される場合と、一般車のドレスアップ用に使用されるパーツに分類されます。主に空気抵抗を軽減することで、燃費を向上させたり冷却性能をアップさせることが目的。
またパーツによっては最初から装備されているものの形状を変化させたものや新しく装着するパーツがあります。例えば車のバンパーの形状を変えた「フロントスポイラー」やドアミラーの形状を変化させた「エアロミラー」、後つけパーツとして「GTウィング」や「カナード」などその種類は様々。
価格帯も幅広く、1万円未満から30万円以上するものもあるほど。自分の使用用途に合わせて着脱できることが魅力の一つです。
2 エアロパーツの種類
エアロパーツには前述した通り、様々な目的があり使用用途が異なることが特徴です。
ここでは代表的なエアロパーツを紹介していきます。
2-1 見た目のかっこよさも魅力的な「フロントスポイラー」
フロントスポイラーは車のフロントやバンパー部分に設置するエアロパーツ。通称エアダムとも呼ばれています。
ボンネットの上部に抜ける気流を調節することで、エンジンを冷却することが目的。また車体が浮き上がるのを抑える効果も兼ね備えています。車体の下部に空気が流れ込まないようにフロントバンパー裏側の空気の圧力を下げ、フロント側の揚力を軽減しダウンフォースを得ることができます。
ダウンフォースは車体を下向けに押しつける力のこと。これにより直線もコーナーも走行がより安定することがメリットです。
フロントスポイラーには大きくフロントバンパーと一体式になっている仕様と、バンパーの下部に取り付けられるものと2種類に分類されます。
フロントバンパーと一体化した「フロントバンパースポイラー」は、放熱装置であるラジエーターの開口部も大きくなっているため冷却性能の向上も期待できることが特徴の一つ。一方バンパーの下部に取り付けるものであれば、「リップスポイラー」「チンスポイラー」「フロントアンダースポイラー」「フロントハーフスポイラー」などがあります。
機能性に優れていることはもちろんですが、その存在感も魅力の一つ。価格帯は簡単に取り付けられるタイプであれば1万円未満のものから、20万円以上するものまで種類は様々です。
2-2 車高が低く見える効果もある「サイドスカート」
サイドスカートは車体の両サイドに装着するエアロパーツ。サイドステップやサイドスポイラーと呼ばれることもあります。
フロア下に流れ込む横からの空気を後方に流し、走行の安定性が向上することがメリット。市販車であれば車体と地上の幅が広いので、空力的な効果は車体前後に取り付けるスポイラーと比べると効果は大きくはありません。装着することで車高が低く見えることが魅力の一つで、車のドレスアップ効果が高いパーツです。
価格帯は4〜9万円台で購入できるものが多く、高いものだと30万円前後するものも。
2-3 多くの車が純正パーツとして採用している「リアスポイラー」
リアスポイラーは車体の後方上部に装備するエアロパーツ。
車の上を流れてきた気流の空気抵抗によって、ダウンフォースを得る役目を果たしているバーツです。後方にできる気流を抑えて後輪のグリップ力を上げ、加速を向上させることも特徴の一つ。
車両後部で発生する渦を軽減し、空気の流れを整えてくれることがポイント。これにより静音や直進安定性を確保し、燃費を高める効果も期待できます。
価格帯は4〜10万円台で購入が可能です。
2-4 飛行機の翼からヒントを得た「リアウィング」
リアウィングは、車両後方のトランク部分に設置される2本の柱に支えられているパーツ。整流の効果もありますが、大きな役割としてはダウンフォースを発生させることが目的です。
リアウィングは飛行機の翼を上下反転させた形状をしていることが特徴。飛行機の翼が上へ上がろうとする揚力を発生させるのに対し、これは車体を下に押し付ける大きなダウンフォースを発生させるパーツです。
車の走行スピードが低速でもダウンフォースを発生させる仕組みとなっています。角度調整が可能なものが多いですが、立てすぎると抵抗が強くなりがちなので装着時は注意が必要です。
3 エアロパーツのメリット・デメリット
3-1 エアロパーツを装備することでのメリット
エアロパーツを設置することで高速走行時にダウンフォースを得ることができ、走行を安定させることができます。これにより直進走行時はもちろんですが、カーブ走行や高速走行から急減速にも効果を発揮してくれることがメリットの一つ。また車種に適した性能を備えたエアロパーツを装備することで、燃費改善効果も期待できるほど。
多くのエアロパーツはデザイン性に優れているので、取り付けることで車のスポーティさや高級感が増すなどドレスアップ効果も期待できます。
また人気ブランドや純正オプションのエアロパーツの場合、車を売却する際に査定金額がプラスされるなんてこともしばしば。特にメーカー純正や、エアロパーツがセットで取り付けられている特別仕様車などは特にプラス査定になりやすいことが魅力の一つ。マニアックなエアロパーツでもユーザーからの評価が高いものであれば、同様にプラス査定になる傾向です。
3-2 覚えておきたいデメリット
前述した通り、高速走行時などに性能を発揮してくれるパーツなので、日常の走行で効果を発揮することはほとんどありません。
逆に低速で走行した場合に空気抵抗を増してしまうなんてことも…。これにより燃費に影響がでてしまうこともしばしば。また装着時に不備があると、脱落や車体の破損といった危険性があることを覚えておきましょう。
追加したパーツの分だけ車の掃除部分が増えてしまう欠点もあります。洗車機を使用するれば問題ありませんが、パーツの種類や取り付け位置によっては洗車機で破損させてしまうことも。洗車機を使用する場合は、事前に確認しておくことが大切です。
4 エアロパーツの取り付け方法
4-1 自分で取り付けることは難しい
自分でエアロパーツを取り付ける場合、失敗するケースが多く簡単なものではありません。
エアロパーツは未塗装で販売されていることが多く、基本的には所有している車のボディカラーに合わせて塗装する必要があります。もちろん自分で塗料を購入し塗装することになりますが、設置してみるとエアロパーツの色と車の色合いが違うなんてこともしばしば。塗装を綺麗に行うには特殊な設備と技術が必要になるため、結果的に業者に依頼することになってしまいます。
基本的にエアロパーツはFRP製が多く、車種別に製造されています。しかし純正品ほど綺麗にフィットしないことがほとんどです。取り付けようとしてもネジの場所が合わないなどのトラブルもしばしば。この場合エアロパーツを加工する必要があり、塗装と同様に専用の工具や技術が必要です。
このようにそれなりの知識や技術が求められるので、選択肢の一つとして覚えておきましょう。現在では取り付け方法や塗装の仕方など、動画で配信されているので参考にしてみるのもおすすめです。
4-2 エアロパーツの取り付けを業者依頼した工賃
取り付けるパーツや依頼する業者によて取り付け費用はまちまち。エアロパーツを取り付ける際の、一般的な費用は以下の通り。
パーツ名 | 取り付け費(税別) | 塗装費(税別) |
フロントスポイラー | 6,000円〜/個 | 150,000円〜/個 |
サイドスカート | 10,000円〜/個 | 30,000円〜/個 |
リアスポイラー | 8,000円〜/個 | 15,000円〜/個 |
複数の業者に問い合わせてみてコストを比較してから決めるのがおすすめ。社外パーツを取り付ける場合は、相場以上の費用がかかる可能性があります。これは車とパーツの相性によって設置する際に追加費用がかかってしまうことも。
純正オプションのパーツであれば、追加費用はあまり気にしなくて問題ありません。
5 エアロパーツを装備すると車検はどうなる?
5-1 エアロパーツの保安基準
エアロパーツを取り付けることで、車検が通らないのではと考えている方も多いのでは。
しかしエアロパーツは道路運送車両法の指定部品であるため、条件を満たしていれば問題はありません。もちろん条件を満たすことが前提ですので、適切な方法でエアロパーツを設置し車検に臨みましょう。
条件としては以下の保安基準を満たす必要があります。
- 【5ナンバー車】:全長±30mm、全幅±20mm、全高±40mm、重量±50kgまで
- 【3ナンバー車】:全長±30mm、全幅±20mm、全高±40mm、重量±100kgまで
基本的に上記の範囲内にエアロパーツを取り付ける必要があります。
5-2 保安基準よりも大きくなってしまった場合
前述した通り、車検を通す場合に保安基準が設けられています。車にエアロパーツを装着することで保安基準よりも大きくなってしまったら構造変更の手続きが必要になります。
これはオーバーフェンダーなどで20mm以上全幅が大きくなっているケースなどのことで、このような場合は構造変更申請が必要になります。
構造変更の手続きは陸運局で行っているので、必要であれば早めに申請を済ませましょう。
まとめ
今回は車に装備するエアロパーツについて解説してきました。
車を彩ってくれる役割を持つエアローパーツ。またそれぞれに役割が存在し、メリットやデメリットもあるので上手く付き合いたいもの。
センス良くエアロパーツが装着されているだけで、車が格段に引き立って見えるものです。パーツごとの特徴を理解し、自分だけの一台に仕上げるのも車の魅力の一つですね。