
2021年7月2日
突然の車のエアコンの故障。その原因と対策方法をまとめてみた
自動車に当たり前のように装着されているエアコン。
暑い夏では冷房にし、寒い冬がくれば暖房は欠かすことができません。日常的に使用しているカーエアコンですが、もし故障してしまったら不便な上に熱中症などのリスクも高まります。
しかしながら、定期的にメンテナンスを実施している方は少ないのでは。エアコンの仕組みは意外にも複雑で、故障の原因は実に様々です。
そこで今回は車のエアコンについて故障の原因から、異常を感じた際に故障なのかを調べる方法などを解説していきます。
目次
1 エアコンが効かなくなる主な原因
1-1 カーエアコンが効かなくなる最も多い原因はガス不足やガス漏れ
カーエアコンが効かなくなる原因の最も多い理由はガス漏れ。
ガスが不足しているだけであれば、補充することで解決することができます。しかしながら亀裂や破損によってガスが漏れている場合、その箇所を特定し修理しなければいけません。
ガスを補充するのであれば、カー用品店やガソリンスタンドに依頼しましょう。一般的に3,000〜5,000円程度で実施してくれます。ただ、原因がガス漏れだったケースは“コンプレッサー”回りのトラブルも疑いましょう。
「フロンガス」の補充で冷えるようになったとしても潤滑油不足で「エアコン・コンプレッサー」が焼き付いてしまうなんてことも。コンプレッサーが焼き付いて故障している場合は、交換が必要になります。車によってコストは変動しますが、10万~30万の高額出費になることも。これが原因で車を手放すなんて方もいるので注意が必要です。
1-2 コンプレッサー回りのトラブル
コンプレッサーのトラブルもエアコンが正常に使用できなくなる原因の一つ。
エアコン・コンプレッサーの駆動力はベルトを介してエンジンから伝達されています。そのベルトの張りが緩んでいるとエアコンの作動に影響する訳です。当然ながらコンプレッサー本体の取り付けが緩んでいる場合も、大きな影響を与えてしまうので覚えておきましょう。
また「電磁クラッチ」と「リレー」と呼ばれる箇所が故障すると、駆動力が伝達されなくなるためエアコンは動作しなくなります。電磁クラッチは駆動ベルトがかかっているコンプレッサー側のプーリーに装備されているもの。これにより駆動力を断続できる構造になっています。
リレーは電磁スイッチのことで、制御回路の途中に装備されているもの。このどちらか一方が故障した場合、駆動力が伝達されなくなるためエアコンは動作しなくなる訳です。
万が一コンプレッサーに不良が生じていれば、エアコンは動きません。エアコンのA/Cスイッチを入れた際に、エンジンルームで「カチッ」と音がすれば作動しています。判断が難しければエンジンルームを開けて、ベルトがかかっているコンプレッサープーリーの動作を確認しましょう。
1-3 嫌な臭いを感じる場合や冷房の効きが悪く感じたら「エバポレーター」
エアコンを作動させた際に、嫌な臭いを感じる場合や風力が弱くなった際は「エバポレーター」の故障が原因として考えられます。
これはエアコン内部に内蔵されている、熱交換器の役割を持つもの。ブロアファンから送風された熱を奪うことで空気を冷やしてくれるパーツです。
コンプレッサーで液体化したエアコンガスは、最終的にエバポレーター内で噴射されて気化します。そのためエバポレーターが目詰まりしていたり、エアコンガスが漏れ出たりしていると、冷気を作ることができません。
またブロアファンから送られる空気は水蒸気を含んでいるため、エバポレーターには除湿の役割も。水蒸気を含んだ空気から熱を奪うためエバポレーター表面では結露が発生します。これにより水滴が付いたまま放置してしまうとエバポレーターにカビが発生する原因に。対策としては停車させる少し前にエアコンのスイッチをオフにし、送風をエバポレーターに当ててあげるとカビが発生しにくくなるので覚えておきましょう。
エバポレーターが故障した場合、交換費用は一般的に5万〜10万円が相場です。
1-4 暖房が効かない場合はサーモスタット
カーエアコンの冷房と暖房の機能は別々の構造に。暖房の場合は、エンジンの熱で温まった冷却水を利用して暖かい空気を作り出しています。
その際にエンジンを冷ますための冷却水を制御しているパーツがサーモスタットと呼ばれるもの。これはエンジンがオーバーヒートしないように、温度調整を行う重要なパーツでもあります。
これによりエンジンのスタート時に、サーモスタットが冷却水の循環を停止させることで、エンジンを素早く温められます。しかしながらサーモスタットが故障すれば、冷却水の循環が止まらなくなるため、冷却水が温まらないことで暖房が効かなくなってしまう訳です。
サーモスタットの寿命は使用開始から10年程度と言われています。また走行距離であれば約10万kmを目安に交換をしましょう。サーモスタットが故障してしまうとエンジンにも大きな影響を与えてしまうため注意が必要です。
2 故障なのかを調べる方法
2-1 エアコンフィルターの掃除や交換
エアコンに異常を感じたら、まずはエアコンフィルターに詰まりが無いか確認しましょう。エアコンフィルターは、助手席側の収納部分のグローブボックスの奥に取り付けられていることが一般的です。
ただ車によっては別の場所に設置されていたり、簡単にフィルターが取り外せない場合も。あらかじめ説明書を確認し、不安があるのであれば知識や経験がある専門業者に依頼することをおすすめします。
フィルターのお手入れ方法はブラシでホコリを落とし、水洗い、乾燥の手順です。ただ一年以上の長い期間が経過していると、網目の奥に入った汚れを落としきれないことも。そのような場合は交換することをおすすめします。
2-2 内気循環にして風量を最大に
エアコンから冷たい空気が出ているかを確認しましょう。カーエアコンには車内の空気を循環させて風を送る「内気循環」と、外の空気を取り入れる「外気導入」があります。
外気導入の場合は車内の温度が下がっているか確認しにくくなります。そのため窓を全て閉め、内気循環に設定し冷房を付けましょう。最後に風量を最大まで上げていきます。少し時間をおいても冷房が効かなければ、どこかが故障している可能性があります。
3 修理を依頼するなら
万が一エアコンが故障してしまった場合、専門業者に点検や修理を依頼しましょう。
また気になるポイントは、それにかかる費用ではないでしょうか。基本的には工賃と交換する部品代が修理コストとしてかかります。もちろん、依頼する場所によっては費用はバラバラなので、あらかじめ確認しておきましょう。
ヴァベーネでは国土交通省認証の自社工場を完備しており、エアコンのメンテナンスも対応可能です。些細なことでも構いませんので、お困りのことがあればお気軽にお問い合わせください。
4 大切な愛車を長持ちさせるエアコンのメンテナンス方法
エアコンの故障を未然に防ぐためにも、定期的なメンテナンスが重要なポイント。まずエアコンフィルターを定期的に交換しましょう。エアコンフィルターはエバポレーターに風を送る手前に取り付けられています。
旧車の場合、エアコンフィルターが装着されていないことも。つまりエバポレーターに直接、ホコリやゴミが詰まってしまう訳です。当然ながら、汚れが付いたエバポレーターでは十分な性能を発揮しません。またエアコンフィルターが装着されていても、長期に渡り放置されているとフィルターが目詰まりしてしまいます。これにより十分な風を送ることはできなくなります。
エバポレーターの汚れにも繋がるので、エアコンフィルターは定期的に交換することが大切です。これを怠ってしまうとカビの発生を促進させてしまうことに。前述した通り、エボパレーターは除湿の役割も担っているので湿気にさらされています。これによりカビを発生させてしまい、エアコンから嫌な臭いを発生させることに。エバポレーターを洗浄することで、本来の機能が回復しカビを除去することができます。
しかし、頻繁に洗浄依頼をするにはコストがかかり過ぎてしまうことがネック。そのような場合は、エアコンユニット内のエバポレーターにノズルで洗浄剤を吹き付けるという方法があります。汚れた水は水抜き穴から排出されるので、処理をすれば完了です。
5 快適なドライブを楽しむために
愛車でのドライブの際に、エアコンを使用することで快適に過ごすことができます。しかしながら、吹き出し口の選択や室内循環と外気導入の切替スイッチなどなんとなく使っている方も多いのでは。
季節や状況に合わせてエアコンを調整することでより快適にドライブを楽しむことができます。ここでは季節ごとでのエアコンの使用方法について説明していきます。
5-1 熱中症に注意したい「夏」
真夏に駐車されていた車内は、とても高温で熱気がこもっています。そのような場合は、まず乗車する前に車内のこもった熱を車外に出すことがポイント。
熱気が抜け切るまでは外気導入に設定しましょう。逆に内気循環にしてしまうと、車内の熱気をエバポレーターに送風してしまいコンプレッサーはフル稼働になってしまいます。これによりエンジンの燃費にも影響を与えてしまうため注意が必要です。
ある程度車内の温度が下がったと感じれば内気循環に設定しましょう。
5-2 窓ガラスの曇りが気になる「梅雨」
梅雨の時期は湿度が高くジメジメしているもの。気温自体はそれほど高くないため、冷房をつける程ではないことが多いですよね。
しかし問題となるのは窓ガラスの曇りではないでしょうか。ガラスが曇る原因は、空気中の水蒸気が飽和してしまうため。このような場合、フロントガラスに除湿された空気を当てることが効果的です。
まずエアコンのスイッチを入れ、吹き出し口はデフロスターにしましょう。温度設定は難しいですが、不快に感じない温度に設定します。その際に風量が強いと寒く感じる場合は風量を弱めましょう。
室内の湿度を下げることが大切なので、ドアバイザーが付いている車なら数センチドアガラスを開けるといいでしょう。これにより曇りが取れやすくなります。
5-3 外気との温度差が激しい「冬」
冬などの気温が低い場合は暖房を使用します。温めるだけだからと「A/C」のスイッチをオフにしている方も多いのでは。
エアコンによって除湿されていない空気で車内を温めると、外気との温度差で窓ガラスが曇ってしまいます。冬の外気は冷たいでので車内の熱を奪い、その結果曇りが発生してしまう訳です。車内は狭い空間のため、乗用車で4人乗車ならあっという間に曇ってしまいます。
ですから、冬でもエアコンのスイッチはONにすることで曇り止めになることを覚えておきましょう。前述した梅雨時期と同様で、フロントガラスに風が当たるデフロスターにすると曇り止めの効果は高くなります。
まとめ
今回は車のエアコンについて解説してきました。
カーエアコンが故障してしまう原因は実に様々。知識がないとなかなか原因を特定することは難しいものです。
エアコントラブルを未然に防ぐためにも、当記事を参考にし快適なカーライフを楽しみましょう。