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日産グロリアの歴代モデル|日本の高級セダンを牽引した名車の足跡

日産グロリアの歴代モデル|日本の高級セダンを牽引した名車の足跡

グロリアは、1959年に日産が開発した日本を代表する高級セダンです。

当時、日本の自動車は「生活の足」というよりも一部の富裕層が所有する贅沢品でした。そんな中でグロリアは「日本人が憧れる高級車」を目指して開発され、クラウンと並んで国産高級車市場を牽引してきたモデルです。

その歴史は半世紀近くにわたり、11世代にわたって進化を続けます。デザインやエンジン、装備の変化は、日本のモータリゼーションの歩みそのものともいえるでしょう。

今回は、日産 グロリアの歴代モデルの魅力について振り返っていきます。

1 「日本の高級車」の始まりを告げた初代グロリア

1959年に登場した初代グロリア。

当モデルは、当時のプリンス自動車工業から誕生しました。まだ「日産グロリア」ではなく、「プリンス・グロリア」として世に送り出されたのです。

デザインは当時のアメリカ車を参考にした大胆で華やかなスタイルで、クロームメッキを多用した外観は高級感にあふれていました。車内はゆったりとしたスペースが確保され、乗る人に特別な体験を与えるものでした。

搭載された直列4気筒エンジンは最高速度約125km/hを記録し、足回りやサスペンションも快適性を重視した設計が採用されていました。ドライバーだけでなく、後部座席に座る人の居心地まで考えられていた点は、当時の国産車として非常に先進的でした。

こうした特徴から、初代グロリアは政治家や経営者など社会的地位の高い人々に選ばれることが多く、日本における「高級車の象徴」としてのイメージを築き上げました。

2 堂々たる高級車へ進化を遂げた2代目グロリア

1962年に発表された2代目グロリアは、初代の高級感を受け継ぎながら、さらにスケールアップして登場しました。

ボディは一回り大きくなり、外観はより重厚で堂々とした雰囲気を備えています。まだ「プリンス・グロリア」として販売されていた時期で、この頃からトヨタ・クラウンを本格的に意識したライバル関係が強まっていきました。

デザインは初代よりも直線的で安定感が増し、ワイドになったボディによって走行時の安定性や車内空間を拡大。当時の国産車の中でも「ステータス性の高い車」として確固たる位置づけを確立し、街を走れば一目で特別な存在と分かる存在感を放っていました。

技術面では、新たに直列6気筒エンジン(2リッター級)が搭載され、スムーズな加速と力強い走りを実現。最高速度は約150km/hに達し、当時の日本車の中ではトップクラスの性能を誇りました。さらにサスペンションやブレーキも改良され、長距離走行や高速巡航でも快適に移動できる車として評価されました。「ただ豪華なだけでなく、しっかり走る高級車」と認識されるようになったのです。

社会背景として、1960年代前半の日本は高度経済成長期にあり、企業の役員や官公庁での需要が増えていました。グロリアはそうしたニーズに応えるかたちで「成功者の象徴」として多くの支持を集めました。また、この時期のグロリアはモータースポーツにも参戦し、レースでの活躍を通じて技術力の高さを世に示した点も特筆されます。

3 日産ブランドで新たな出発を果たした3代目グロリア

1966年、プリンス自動車は日産自動車と合併しました。

その翌年に登場したのが「日産グロリア」としての初モデル、3代目グロリアです。当モデルからグロリアはセドリックと兄弟車として展開され、本格的にトヨタ・クラウンと競り合うポジションへと歩みを進めました。

デザインは直線基調のボディに重厚感のあるフロントマスクを組み合わせ、当時流行していた角張った高級車デザインを採用。内装には木目調パネルや高級シートが取り入れられ、輸入車にも引けを取らない雰囲気を備えています。3代目は「高級セダン=大人の車」というイメージをさらに強く印象づけるモデルとなりました。

技術面では、直列4気筒に加えて2.0L直列6気筒エンジンが用意され、動力性能が大幅に充実しました。高速道路の整備が進み始めた時代に合わせ、長距離巡航でも快適に走れるセッティングが施され、高級オーディオやエアコンといった先進的な装備も搭載されています。これにより、グロリアは単なる移動手段ではなく、「移動時間そのものを贅沢に過ごす車」へと進化を遂げました。

企業の役員車や公用車として多く採用されただけでなく、富裕層のマイカーとしても人気を集め、社会的にも重要な役割を果たした一台です。

セドリックとの兄弟関係によってバリエーションが広がり、日産の高級車戦略の柱として定着。特に「クラウン対抗車」としての性格が色濃くなり、日本の高級セダン市場は「トヨタ・クラウン vs 日産グロリア/セドリック」という構図を形作るようになりました。

4 直線基調デザインと存在感を拡大した4代目グロリア

1971年に登場した4代目グロリアは、直線を基調としたシャープなスタイルを採用し、都会的で洗練された印象を与えています。

当時の日本は高度経済成長が続き、都市部には高層ビルや高速道路が整備されていきました。4代目グロリアのデザインは、まさにそうした都市化の時代を象徴する一台でした。

デザイン面では、フロントに角ばった四角いヘッドライトを採用し、精悍で力強い顔つきを演出。全体的にも直線的で堂々としたシルエットとなり、一目で高級車と分かる存在感を示しました。内装も上質さを増し、役員車や公用車としてふさわしい雰囲気を備えていました。

技術面では、直列4気筒・6気筒に加え、2.6L直列6気筒エンジンをラインアップし、選択肢が広がりました。防音や遮音性が強化されたことで室内の静粛性は大幅に向上。さらにエアコンやオートマチックトランスミッションの普及が進み、長距離移動でも快適に過ごせる車として評価されました。高速道路の利用が一般化していった時代において、まさに時代のニーズに応えた高級セダンだったといえます。

社会的には、4代目グロリアは官公庁や大企業で公用車として数多く導入され、街中でも頻繁に見かける存在となりました。それまで「一部の人だけが所有する高級車」というイメージだったグロリアは、この世代で「庶民にとっては憧れでありながら、街に溶け込む高級車」という新たなポジションを確立したのです。

5 規制と高級感を両立した5代目グロリア

1970年代後半、日本の自動車業界はオイルショックによる燃費意識の高まりや、厳しい排ガス規制への対応を迫られる大きな転換期を迎えていました。そうした背景の中で、1975年に誕生したのが5代目グロリアです。

当モデルは規制対応を果たしながらも、「高級車としての品格」を決して失わない仕上がりとなっていました。

デザインは流行を反映した角ばったスクエアなボディラインを採用。堂々としたフロントグリルと縦型の大型ヘッドライトが存在感を放っていました。内装には木目調パネルや高級ファブリックが多用され、重厚感の中にも華やかさを演出。見た目は伝統的な高級車らしさを保ちながらも、時代に即したモダンさを取り入れたデザインとなった一台です。

技術面では、直列6気筒エンジンを中心にラインアップし、排ガス規制をクリアする新開発の「L型エンジン」を搭載。さらにオートマチックトランスミッションの普及が進み、誰でも快適に運転できる仕様へと進化しました。サスペンションも改良され、乗り心地は一層向上。「規制対応=性能低下」というイメージを払拭しつつ、高級車らしいスムーズで力強い走りを維持したのです。

6 重厚感と豪華装備で地位を確立した6代目グロリア

6代目グロリアは1979年に登場しました。

デザインは直線を基調とした堂々たるシルエットで、大型ボディが街中でも威圧感を放ち、高級車らしい雰囲気を強調していました。グリル形状やエンブレムでセドリックとの差別化を行い、まさに「役員車」や「社長車」と呼ぶにふさわしい風格を備えています。

技術面でも装備の充実が図られたこともポイント。エンジンは直列6気筒を中心に据え、力強さと静粛性を両立。さらに、当時の国産車では珍しかったパワーウィンドウや集中ドアロックを採用するなど、豪華装備を搭載しました。内装にはベロア素材や木目パネルが用いられ、まるで応接室のような空間を演出。快適性が徹底的に追求され、「走る高級サロン」と呼ばれるほどの完成度を誇りました。

6代目グロリアは公用車や社用車としての導入がさらに進み、官公庁や大企業のシンボル的存在となったモデル。街で見かける機会も多かったことから、一般ユーザーにとっては「憧れの高級車」であると同時に、「身近にその姿を目にできる高級車」として親しまれました。

7 V6エンジンで走りと高級感を両立した7代目グロリア

1983年に登場した7代目グロリアは、日産の高級セダン路線をさらに押し進めた重要なモデルです。当モデルから国産高級セダンとして初めてV6エンジンが搭載され、静粛性と力強い走りを両立することで「高級車らしい走行性能」を実現しました。

デザインは直線的で堂々としたボディラインが採用され、大型グリルと角型4灯ヘッドライトが精悍な印象を与えています。ボディサイズも拡大され、より重厚感のある姿へと進化。そのスタイルは当時のクラウンと真っ向から競合し、「グロリアらしい威厳」を前面に打ち出すものとなっていました。

技術面では、新開発のVG型V6エンジンを2.0Lから3.0Lまでラインアップし、スムーズで余裕ある走りを提供しました。電子制御式ATの採用により変速も滑らかになり、快適なドライビングを実現しています。インテリアはさらに高級志向が強まり、ウッドパネルや上質なシート素材が採用されました。一部グレードでは電子制御サスペンションを搭載し、走行性能と乗り心地のバランスを高い次元で両立しています。

社会的評価も高く、7代目グロリアは「高級セダンといえばクラウンかグロリア/セドリック」と語られるほどの人気を誇りました。特にV6エンジンの搭載は大きな話題を呼び、日産が高級車市場で存在感を一層強めるきっかけとなりました。役員車や公用車としてはもちろん、個人オーナーからも高い支持を得ており、まさに「グロリアの黄金期」の一つを築いた世代といえるでしょう。

8 ハイソカーブームを牽引した8代目グロリア

1987年に登場した8代目グロリアは、日本の自動車史において特別な存在といえるモデルです。

当時は「ハイソカーブーム」と呼ばれる高級車人気の絶頂期であり、グロリアもその波に乗って多くのユーザーから支持を集めました。バブル景気を背景に、華やかで豪華な自動車が求められた時代を象徴する一台でした。

デザインは、それまでの角張ったスタイルから大きく変化し、丸みを帯びたエアロフォルムを採用。スムーズなラインと空力性能を意識したボディ形状が特徴で、グリルやライト周りも曲線的になり、柔らかく上品な印象を与えました。従来の「重厚感ある高級車」から「洗練された都会派セダン」へとイメージを刷新したことが、この世代の大きなポイントです。

性能面では、引き続きV6エンジンを搭載し、2.0Lから3.0Lまで幅広くラインナップ。電子制御ATや高性能サスペンションの採用によって、快適でスムーズな走行性能を実現しました。内装には本革シートやオーディオシステム、オートエアコンなど、当時の最先端装備が搭載され、上位グレードでは電子制御デバイスも多数導入されるなど、「先進の高級車」として注目を集めました。

社会的にも高い評価を受け、ハイソカーブーム期の8代目は「若者が憧れる高級車」としても人気を獲得しました。従来の役員車や公用車のイメージに加え、個人で所有するユーザーも急増し、街を走れば強い存在感を放ちました。さらにテレビドラマや映画に登場する機会も多く、スタイリッシュでモダンな高級セダンとしての地位を確立した一台です。

9 バブルの残り香を映した9代目グロリア

1991年に登場した9代目グロリアは、日本がバブル景気から不況へと移行する激動期に発売されました。

それでも当時の「高級車への憧れ」を形にしたモデルであり、豪華な装備や先進技術の導入は、まさにバブルの残り香を感じさせる仕上がりとなっていました。

デザインは8代目の丸みを帯びたスタイルをさらに進化させ、より滑らかなボディラインを採用。フロントには高級感を強調した縦型グリルが与えられ、全体的には上品で落ち着いた雰囲気を持ちながらも、しっかりと「高級車らしさ」を主張していました。華やかさと落ち着きの両立を図ったデザインは、時代の流行を反映したものでした。

技術面では直列6気筒とV6エンジンをラインアップし、特に3.0Lモデルは余裕ある走りを実現しました。電子制御式ATや電子制御サスペンションを採用することで、快適で安定感のある乗り味を提供。さらに安全装備として運転席エアバッグやABSが広く普及し、高級オーディオや電動シートなど、まさに「フル装備」と呼べるほどの充実ぶりです。その居住性と快適性は「走る応接室」と表現されるほど高い水準を誇ります。

10 落ち着きと実用性を兼ね備えた10代目グロリア

1995年に登場した10代目グロリア。

先代までの「華やかで豪華な高級セダン」から、落ち着きと実用性を重視したモデルへと舵を切ります。これはバブル崩壊後の時代背景を色濃く反映したもので、派手さよりも「上質さ」と「安心感」を求めるユーザーに向けた仕上がりを目指しました。

デザインは、丸みを持たせたフォルムを継承しながらも全体的に落ち着いた大人の雰囲気を漂わせ、フロントマスクも控えめながら高級感を残したデザインとなりました。外観の華美さを抑えたことで、ユーザー層の年齢の広がりに対応し、より「実直で信頼できる高級セダン」としての評価を高めています。

技術面では、V6エンジンを中心にラインアップし、静粛性と扱いやすさを重視しました。4速ATや電子制御デバイスの改良によって走行はより滑らかになり、快適性が一段と向上。安全性能も大幅に強化され、ABS(アンチロックブレーキシステム)やデュアルエアバッグが標準装備となりました。さらにシート設計や操作性にも配慮が加えられ、高齢層ユーザーにも扱いやすい高級車となった点が特徴です。

10代目は、グロリアが「成熟した大人の高級車」へと転換した世代であり、時代に合わせた新たな方向性を示したモデルといえるでしょう。

11 約45年の歴史を締めくくる11代目グロリア

1999年に登場した11代目グロリアは、シリーズを締めくくる最後のモデルとなりました。

当モデルは兄弟車であるセドリックと基本設計を共有し、外観デザインの違いによってキャラクターを分けるという手法がとられました。両者はほぼ同一の車でありながら、フロントグリルやエンブレムで差別化され、販売チャネルごとに提供されていました。

デザインは、先代までの柔らかな曲線から一転し、直線基調の精悍なスタイルへと変化。フロントマスクでセドリックとの差別化を図り、内装には本革シートや木目パネルを採用することで、上質で落ち着いた空間を演出。時代に合わせた直線的なデザインは従来のファン層に加え、新しい顧客層にもアピールしました。

技術面では、V6エンジンを中心に3.0Lや3.5Lといった余裕ある排気量を設定。電子制御5速ATを搭載し、走行性能と燃費のバランスを改善しました。さらに安全装備としてABSやエアバッグに加え、横滑り防止装置などの先進技術を導入。高級オーディオやナビゲーションシステムといった快適装備も充実し、「時代が求める安全と快適性」に応えるモデルへと進化していました。

しかし1990年代末から2000年代初頭にかけて、日本の高級セダン市場は縮小傾向にありました。ユーザーのニーズはミニバンやSUVへと移行し、高級セダンの需要は次第に低下していったのです。

そうした背景の中で、2004年にグロリアとセドリックは統合され、後継車種として「フーガ」が誕生しました。これをもって、約45年続いたグロリアの歴史に幕が下ろされたのです。

日本の高級セダン史に刻まれた「グロリア」の足跡

日産グロリアは、1959年の初代登場から2004年の生産終了まで、約45年にわたり日本の高級セダン市場を牽引してきました。その間に11世代を重ね、デザインや技術を大きく進化させながら、常に時代ごとのユーザーのニーズに応えてきた存在でした。

初代・2代目では「国産高級車」の先駆けとして登場し、3代目以降はセドリックと並んで日産の二枚看板に成長しました。7代目で国産初のV6エンジンを採用したことは大きな転換点であり、走行性能と高級感を高い次元で両立させています。

さらに8代目・9代目はハイソカーブームやバブル景気を象徴する華やかなモデルとなり、10代目・11代目では落ち着きと安全性を重視した「成熟した大人の高級車」へと進化しました。

高級セダンの代表格として存在感を放ち続けたグロリアでしたが、時代の波に押され、2004年には新たに「フーガ」へとバトンを渡しました。フーガはV6やV8エンジンを搭載し、よりスポーティーでラグジュアリーな高級車として進化し、グロリアが培ってきた伝統を受け継ぎました。

現在ではフーガも販売を終了し、その後継的な役割はスカイラインや海外向けのインフィニティブランドが担っています。それでも「グロリア」という名は今なお多くのファンの記憶に刻まれており、日本の高級セダン史を語るうえで欠かせない存在であることに変わりはありません。

時代ごとに姿を変えながらも、「日本人の憧れの高級車」であり続けたグロリア。その歴史は今後も名車のひとつとして語り継がれていくでしょう。

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