2023年12月25日
車からオイルが漏れる原因と応急処置について
車のオイルは、エンジンを正常に機能させるうえでなくてはならない存在です。
潤滑作用によりエンジン内の金属に発生する摩擦を軽減したり、エンジン内に発生する熱を冷却・吸収したりする効果があります。
このエンジンオイルが漏れてしまうと、エンジンに負担がかかるだけでなく、引火による火災の原因になり得ます。
そのため、車のオイル漏れは早急に対処しなければなりません。
今回は、車のオイルが漏れているか確認する方法やオイル漏れの原因、放置した場合の懸念や応急処置の方法についてお伝えします。
目次
1 車のオイルは外部・内部それぞれに漏れることがある
車のオイル漏れには、内部漏れ・外部漏れの2種類があります。
エンジンオイルが車の下に溜まり、水たまりのようになる現象を外部漏れといいます。
外部漏れしたオイルは、高温のマフラーなどに触れると引火する可能性があるため、非常に危険です。
車の下にできる水たまりから、焦げたような臭いがしたら外部漏れを疑うべきです。また、漏れ出ている液体が黒い場合も、外部漏れの可能性が高いでしょう。
一方内部漏れとは、燃焼室から漏れ出たエンジンオイルが、ガソリンと一緒に燃えてしまう現象を指します。
外部漏れと比べて、見た目で判断しにくいのが内部漏れの厄介な点です。内部漏れが進行してしまうと、エンジンオイルの減少が早まったり、マフラーから白煙が上がったりします。
外部漏れ・内部漏れいずれに共通しているのは、症状が出た段階で走行を控えつつ、すぐに修理す必要があることです。
あわせて、オイル漏れが発生しないよう日常的に点検する必要もあります。
2 車のオイルが漏れているか確認するうえで見るべきポイント
車のオイルが漏れているかどうかは、以下のポイントを意識しておくと良いでしょう。
- 濡れている位置
- 液の状態
- オイルゲージ
- エンジンルーム
- 油圧警告灯
2-1 濡れている位置
液体が漏れ出ており、濡れている位置がエンジンルームの真下だった場合、エンジンオイルが漏れていると判断できます。
また、濡れている範囲が広く、水たまりのようになっていれば、オイル漏れの可能性が高いでしょう。
車の影で濡れている位置が確認しづらい場合は、少しだけ車を動かしてください。
2-2 液の状態
車からオイル漏れが発生している場合は、液から焦げたような臭いが漂ってきます。
粘度があり、濁った茶色や黒色になっている場合も、オイル漏れを疑いましょう。また、液体の色が赤・青・緑などの場合、エンジンから冷却水が漏れているかもしれません。
漏れ出ている液体からガソリンの臭いがしたら、ガソリンが漏れていて非常に危険な状態なのですぐに修理しましょう。
2-3 オイルゲージ
ボンネット内にあるオイルゲージの状態から、オイル漏れの有無を確認できます。
オイルゲージのメモリを見て、明らかに減少スピードが早くなっている場合はオイル漏れの可能性が高いでしょう。
オイル漏れの有無をオイルゲージ基準で確認する際は、発進前か停車後しばらく経ち、エンジンが冷えた段階でないと危険です。
2-4 エンジンルーム
エンジンルームを観察することで、オイル漏れの状態をチェックできます。
オイル漏れが気になる場合は、エンジンルーム内におけるオイルの滲みを確認しましょう。
エンジンルームにオイルが滲んでいる場合は、オイルが漏れている可能性があるためすぐに点検を依頼すべきです。
2-5 油圧警告灯
メーターパネル内にある油圧警告灯から、オイル漏れの状態を確認できます。
油圧警告灯は、エンジンオイルの油圧が低下したり、オイルの量が減ったりした場合に点灯する装置です。
ただ、点灯の要因にエンジオイル漏れも挙げられるため、オイル漏れが疑われる際は油圧警告灯をチェックする方法もあります。
3 車のオイルが漏れる原因とは
ここでは、車のオイルが漏れる主な5つの原因について解説します。
3-1 ドレンボルト
ドレンボルトは、エンジンオイルを抜くための排出口です。ドレンボルトが摩耗すると、隙間ができてしまいオイルが漏れ出てしまいます。
オイル漏れにつながるドレンボルトの摩耗は、経年劣化だけではなく、締め付け過ぎが原因になることも。
ドレンボルトが原因のオイル漏れを防ぐには、適切な締め具合かどうかを定期的にチェックする必要があるでしょう。
3-2 ガスケット
ガスケットは、車の接合部の隙間を埋めて、部品の間に流れる液体が漏れないようにするための部品です。
ゴムやプラスチック、金属でできており、外部から異物が入り込まないようにする役割を果たします。
ガスケットが劣化すると気密性が失われるため、オイルが漏れやすくなります。
3-3 バルブシール
バルブシールは、燃焼室とエンジン本体の隙間を密閉する役割を果たしています。バルブシールが劣化すると、この隙間からオイルが漏れ出てしまうため、オイル漏れの原因となります。
バルブシールの劣化は、古いオイルを使い続けることが原因の一つ。古いオイルには、エンジンの摩耗によって発生した金属粉が混入しています。この金属粉がバルブシールに付着し、劣化を促進させます。
オイル交換を定期的に行うことで、金属粉の混入を防ぎ、バルブシールの劣化を防止することができます。
3-4 オイルパン
オイルパンとは、エンジンオイルを留めておく部品のことです。
丈夫で破損しにくいものの、破損してしまうとオイル漏れを引き起こします。オイル漏れの状態が深刻な場合は、オイルパンの破損を疑いましょう。
なおオイルパンは、経年劣化もしくは縁石などへの衝突が原因で破損します。
3-5 ピストンリング
ピストンリングが摩耗し、隙間ができることでオイルが漏れます。
エンジンオイルが燃焼室に上がってこないようにする部品を、ピストンリングといいます。
ピストンリングは、経年劣化により摩耗するため定期的にチェックし、オイル漏れを防止しましょう。
4 車のオイル漏れを放置するとどうなるのか
オイル漏れを放置してしまうと、エンジン内部のオイルが少なくなり、エンジンが焼き付いてしまいます。
エンジンオイルは潤滑油だけでなく、エンジンの冷却といった役割も果たします。
そのため、エンジンオイルが少なくなるとエンジンが熱を持ってしまい、シリンダーとピストンが溶けてしまう「焼きつき」が発生してしまうため注意が必要です。
また、オイル漏れを放置している車は保安基準に適合していないことから、車検に通りません。
仮に走行上問題なくても、オイルが漏れている車は車検に通らない状態であることを覚えておきましょう。他にも、オイル漏れを放置し続けることで引火のリスクがあります。
エンジンオイルは350度以上の温度で発火しますが、エンジンからの燃焼ガスをまとめる「エキゾーストマニホールド」は走行によって800度まで温度が上がります。
このとき、漏れ出たオイルがマフラーに触れると引火するため、非常に危険です。
5 オイル漏れの防止・応急処置の方法
車のオイル漏れは、いくつかの方法を実施することで防止・応急処置が可能です。
ここでは、自分でもできるオイル漏れ対策について解説します。
5-1 エンジンオイル補充
漏れているオイルの量が少量であれば、追加のオイルを補充すれば走行に影響は出ません。
ただし、オイル漏れが発生している状態で新しいエンジンオイルを補充しても、またすぐに漏れてしまうためあくまで修理依頼前の応急処置として捉えておきましょう。
5-2 添加剤
オイルの粘度を上げられる添加剤を使用することで、オイル漏れを抑えられます。
ただし、添加剤は効果が表れるまでに時間がかかるため、重度のオイル漏れには対応できないかもしれません。
また、エンジンオイルの補充と同様あくまで一時的な処置であることから、同じく修理依頼前の対策として実施してください。
5-3 粘度の高いオイルへの変更
オイルそのものを、漏れにくい粘度のものに変更する方法もあります。
エンジンオイルの粘度は「15W-40」という数字で表記されており、Wの右にある数字が大きいほど粘度が高いオイルです。
粘度の高い粘度は高音でも固さをキープできるため、温度が高い状態でもしっかりエンジンを保護できます。ただし、粘度の高いオイルと相性の悪いエンジンもあるため、エンジンごとに適切な粘度を把握したうえで交換することが大切です。
5-4 漏れ止め剤
漏れ止め剤には、オイル漏れの原因になる各部品の損傷箇所を塞ぎとめる効果があります。
数千円で購入可能で、簡単にできる応急処置としておすすめです。ただし、重度のオイル漏れには対応できないため、漏れ止め剤で対応しきれない場合はすぐに修理を依頼しましょう。
6 車のオイル漏れを修理するのにかかる費用
車のオイル漏れを修理する際は、修理の規模によって費用が大きく異なります。
漏れ止め剤を使用する程度の簡単な修理であれば、数千円で修理可能です。対して、ガスケットやバルブシールの劣化を補修する際は、数万円ほどかかってしまいます。
エンジンそのものの修理が必要になった場合、数十万円かかる可能性があるでしょう。また、オイル漏れを放置してしまうと、修理費用もその分高くなってしまいます。
オイルが漏れ出たタイミングで修理すれば、数千円の簡単な補修で完結します。
ただし、しばらく放置してしまい、エンジン本体を修理しなければならなくなると、費用は一気に跳ね上がるため注意しなければなりません。
最悪の場合、車を買い換える方が安く済むといった事態につながるでしょう。
オイル漏れの早期発見は定期的なチェックを
車のオイル漏れの原因は、ドレンボルトやガスケット、バルブシールなどの劣化が主なものです。
オイル漏れは、放置するとエンジンの焼きつきや引火につながるだけでなく、車検に通らなくなるため早急に対処しなければなりません。
軽度のオイル漏れであれば、エンジンオイルの補充や添加剤の使用、オイルの粘度変更で対応できます。しかしながら、重度のオイル漏れは業者などに依頼して修理する必要があります。
オイル漏れにはさまざまなリスクがあるので、定期的にチェックを行うことを意識しましょう。
WEBでカンタン無料査定!
旧車の買取なら、ヴァ・ベーネにお任せ!
業歴35年は信頼の証!お急ぎの方はお電話でも承っております。