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車の修理に保険を使うべき?判断基準や等級、注意点、申請方法など

車の修理に保険を使うべき?判断基準や等級、注意点、申請方法など

車の修理に保険を使用するかどうか。その判断は等級や状況などによって分かれます。

自腹で修理依頼をした方が結果的に保険費用を抑えられることもあれば、保険を利用した方が得な場合も存在します。

当記事では等級や保険使用の判断基準、保険使用の際の対応手順などをご紹介していきます。

当記事は2022年7月時点での内容です。

1 自動車保険を使用すると保険料が高くなる?

自動車保険の保険料を決める要素の一つに等級制度が存在します。

これは「契約車両の事故歴によって保険料の割増引率を適用する」という制度。

等級は1等級から20等級まであり、新規契約時は6等級からスタートします。

1年間の契約期間中、事故で保険を使わなければ翌年度の等級が1等級上がり、事故で保険を使えば事故ごとに翌年度の等級が3等級あるいは1等級下がります。

等級が下がらない事故も存在しています。

2 事故で保険を使用した際の「事故有係数」

事故で保険を使用すると等級が下がるだけでなく「事故有係数」というものが適用されます。

「事故あり係数が適用されている期間は無事故の場合と比べて同じ等級でも割引率が小さくなる」というもの。

事故有係数適用期間は最大で6年で、3等級ダウン事故を起こしたら3年、1等級ダウン事故を起こしたら1年の加算。

事故有係数適用期間は毎年1年ずつ減算されます。

3 事故有係数と適用期間の例

車両保険を使用した場合も等級ダウンの対象となります。車両保険の対象となる事故のうち、どのような場合に等級が下がるのかを確認していきましょう。

事故の種類 事故例 事故有係数の適用期間
3等級ダウン事故
  • 他人の車との衝突
  • 当て逃げ
  • 自損事故
    など
事故1件につき3年
1等級ダウン事故
  • 盗難
  • 飛び石
  • 自然災害(台風・洪水)
    など
事故1件につき1年

例えば、等級が15等級だった際、飛び石被害で車両保険を使用すると翌年の等級は14等級となります。

また、等級が15等級で車同士で衝突した際に車両保険を使った場合、翌年の等級は12等級まで下がってしまいます。

また、同じ等級でも「事故有」の場合は、割引率が低く、または割増率が高くなり、結果として保険料が高くなります。事故有の等級が適用される期間は、上記表の「事故有係数の適用期間」をご参照ください。

事故によって車両保険を使うと等級が下がるだけでなく、「事故有」の係数が適用されるために保険料が高くなると覚えておきましょう。

4 各等級の割増引率

ではまずここで各等級の割増引率を見ておきましょう。また、保険会社によって割増引率は異なる場合があるので保険会社に確認をするのが適切です。

事故なし 事故あり
1等級 +64%
2等級 +28%
3等級 +12%
4等級 -2%
5等級 -13%
6F等級 -19%
7F等級 -30% -20%
8等級 -40% -21%
9等級 -43% -22%
10等級 -45% -23%
11等級 -47% -25%
12等級 -48% -27%
13等級 -49% -29%
14等級 -50% -31%
15等級 -51% -33%
16等級 -52% -36%
17等級 -53% -38%
18等級 -54% -40%
19等級 -55% -42%
20等級 -63% -44%

※6F等級、7F等級は前年に契約がある6等級、7等級で表記。
※1等級~6F等級は無事故契約者は含まれないので、事故なし・事故ありの区別はないものとする。

5 任意の自動車保険の補償内容

任意の自動車保険の補償内容は、大きく次の3つに分けられます。

  • 相手に対する補償
  • 自分を含む搭乗者に対する補償
  • 自分の車に対する補償

上記のうち、自分の車に対して補償するのが「車両保険」です。事故に遭って車が損害を受けたときや、車両が盗難被害に遭ったときに保険金が支払われます。

車両保険には基本的に「一般タイプ」と「エコノミータイプ」の2つの契約タイプが存在します。

なお、名称は保険会社によって異なります。特にエコノミータイプは、「限定タイプ」「車対車+A」など、様々な名称があります。

車両保険の補償範囲は契約によって異なりますが、基本的に下記のような契約形態が多く存在します。

事故例/契約タイプ 一般タイプ エコノミータイプ
他人の車との衝突
自転車との接触・衝突 ×
盗難
当て逃げ・いたずら ×
自然災害(台風・洪水等)
自然災害(地震・津波・噴火) × ×
火災・爆発
転覆・墜落 ×
飛び石
ガードレール・電柱に衝突 ×

エコノミータイプは、一般タイプの補償範囲に比べて補償範囲が狭く、相手のいない単独事故(自損事故)は補償の対象外となっていることが特徴です。

保険料は補償範囲の狭いエコノミータイプのほうが一般タイプよりも安く設定されていることが多いようです。

6 車の修理で車両保険はどこまで使用可能か

車両保険が適用される車の修理の範囲は、付帯している車両保険によって異なるため注意が必要です。
補償範囲の広い一般型(ワイドカバー型)の場合は、当て逃げや単独事故による車の修理にも車両保険を使用することが可能。

一方、補償範囲の狭い限定型(限定カバー型)では、当て逃げや単独事故による損害の修理は車両保険の補償対象外となっていることが基本です。

また、保険では下記のようなケースでは補償されないこともあるため、状況によって都度保険会社と連携しながら進める費用があります。

  • 故障損害
  • 保険契約者、被保険者または保険金を受け取る方の故意または重大な過失によって生じた損害
  • 地震、噴火、津波によって生じた損害
  • 無免許運転、麻薬などの影響で正常な運転ができないおそれがある状態での運転
  • 酒気を帯びた状態での運転の場合に生じた損害
  • 被保険自動車に存在する欠陥、腐食その他自然の消耗による損害
  • タイヤ(チューブを含む)に生じた単独損害(ただし、火災・盗難による場合を除く)

7 車の保険修理の一般的な流れ

実際に事故が起きてしまった場合、どのようにして車両保険を利用するのかを解説していきます。

7-1 警察に連絡

事故を起こしてしまった場合に必ずしなくてはならないこと、それは警察に連絡をすることです。

相手がいる場合だけではありません。電柱やガードレールなどに衝突した時なども警察に届け出が必要となります。警察に届けることにより、警察官による実況見分が行われ、自動車安全運転センターにその結果が提供されます。

自動車安全運転センターでは、自動車保険や自賠責保険の保険金を請求する際に必要となる「交通事故証明書」を発行しています。

すなわち、警察への連絡を怠ると警察官による実況見分が行われないため、交通事故証明書が発行されず保険金が下りません。

また、自宅で起こした事故(自宅の外壁に衝突したなど)については、警察に届ける必要があるかを保険会社に相談してみてください。

任意保険の場合は一般的に交通事故証明書は保険会社が取得するため、被保険者が申請する必要はありません。

7-1-1 交通事故証明書の取得方法

交通事故証明書は自分でも自動車安全運転センターで申請することが可能です。

申請の方法はセンター事務所窓口、郵送、オンラインの3つ。

また、センター事務所窓口、郵送、オンラインいずれの場合も、交付手数料は1通につき600円です。なお、郵送とオンラインの場合は別途払込手数料が発生することを覚えておきましょう。

センター事務所窓口で申請する場合

警察署から交通事故の資料が届いていれば即日交付されます。交通事故の発生場所に関係なく、どこの都道府県の窓口でも申請することが可能です。

注意点としては、交通事故証明書の交付は、交通事故が発生した都道府県にある窓口でしか発行できないということ。そのため、申請したセンター事務所窓口と事故が発生した都道府県が違う場合、交通事故証明書は後日郵送となることを覚えておきましょう。

郵送申請の場合

警察署や交番、センター事務所で「交通事故証明書申込用紙」を受取ります。必要事項記載の上、ゆうちょ銀行または郵便局で交付手数料の払込を済ませれば、約10日前後で手元に届きます。

オンライン申請

事故当事者であれば、自動車安全運転センターの公式サイトからオンライン申請も可能です。

申請項目に入力し、交付手数料を払い込めば10日ほどで届きます。

7-2 保険会社に連絡

次に契約している保険会社に連絡しましょう。

保険会社から質問される事項は基本的に次の通り。

  • 契約中の自動車保険の証券番号
  • どのような事故が起きたのか
  • 被害者の有無
  • 怪我の有無
  • 車の破損状況

その場で証券番号がわからない場合は、氏名、電話番号、生年月日を伝えれば問題ありません

7-3 修理会社に車を出して見積書を受け取る

車の修理は、基本的によく利用している修理会社などに依頼しましょう。

懇意にしているディーラーや修理会社がないときは、保険会社に相談するといいでしょう。自宅近くの修理会社や提携している工場を紹介してくれるはずです。

車を修理会社に出したら、修理に必要な費用が記載された見積書を受け取ってください。

このときに保険会社へ保険を使った場合の保険料増額分の見積りも依頼しておくのがおすすめです。

7-4 必要書類を保険会社に提出

修理会社から見積書をもらったら等級ダウンによる翌年以降の保険料を考慮し、車両保険を使用するかどうかをよく検討しましょう(詳しくは後述します)。

保険を使用する場合はその旨を保険会社に伝えましょう。保険金の請求には何の書類が必要なのかを指示してくれます。この書類を準備して返送してください。保険金の請求に必要な書類は基本的には次の通りです(必要書類は保険会社によって異なります)。

  • 保険金請求書
  • 交通事故証明書
  • 事故発生状況報告書
  • 修理費の見積書
  • 事故車両の写真

保険会社によっては保険金請求書を省略しているところもあるため、契約している保険会社に必ず確認してください。

余談ですが、修理箇所の適正審査についても理解しておきましょう。

保険で車を修理する場合、見積書に記載されている修理内容や見積価格が適正であるかを保険会社が審査します。

修理は「元に戻す」ことを前提としているため、修理のついでに改造を加えるといった見積もりは審査に通過しなくなってしまいます。

8 車の修理に車両保険を使うかどうかは、修理費用と翌年度の保険料の増額分を比較しながら判断する

車両保険を利用すると原則として翌年度以降の等級が下がり、保険料が高くなってしまいます。

そのため、車の修理が必要になった場合であっても、すべてのケースにおいて車両保険を利用した方がお得になるのではなく、場合によっては自費で修理を行った方が良い判断となるケースも存在します。

では、どのような基準で判断すればよいのでしょうか?

例えば、「車に傷がついたなど事故の度合いが比較的軽く、損害がそれほど大きくない場合」には修理費用はそれほど高額にはならないはず。

このような場合は、車両保険を使うと翌年度以降の保険料の増額分の方が修理代金よりも高くなってしまう可能性があるため、車両保険の利用は慎重に検討しましょう。

簡単に言ってしまえば「損害が大きくない場合は車両保険の使用を慎重に検討する」ということ。

対して、損傷の大きな事故の場合には当然ながら修理費用も高額になるため、翌年度以降の保険料を考えても車両保険を使用することをおすすめします。

判断基準として考えられるのが、「元の等級に戻るまでに余分に払う保険料」と「車の修理費用」を比較して、「車の修理費用」の方が大きければ保険を使用するというもの。

例えば、

  • 車の修理費用が5万円
  • 元の等級に戻るまでに10万円の支払いが必要

という場合であれば、保険は使わずに自腹で車を修理した方が得です。

イメージとしては下の表のようになります。

保険を使わない場合 保険を使う場合
事故年 無事故14等級 70,000円 無事故14等級 70,000円
1年後 無事故15等級 68,600円 事故有11等級 105,000円
2年後 無事故16等級 67,200円 事故有12等級 102,200円
3年後 無事故17等級 65,800円 事故有13等級 99,400円
合計 271,600円 376,600円

※上記は等級の割増引率から単純計算した保険料例です。実際の保険料については保険会社にご確認ください。

このような計算は保険会社に依頼すればシミュレーションを出してくれます。

そのシミュレーション結果をもとに自動車保険の使用可否を判断しましょう。

9 数万円では使わないのであれば車両保険の免責金額の設定も効果的

これまでの判断基準に照らし合わせると「車の修理費用が数万円ほどであれば保険は使用しない」という判断をすることが多くなるはず。もし数万円程度では使わないのであれば車両保険に免責金額を設定するのも一つの手段です。

免責金額とは簡単に言えば自己負担金額のこと。

免責金額として設定した金額は保険金が支払われずに自己負担する必要が生じます。しかしながらその分は保険会社が保険金を支払わずに済むので、結果として保険料が安くなるんです。

注意しておきたいのが、免責金額の設定をすると「自損事故などで大きな損害を出した場合も免責金額の分は自己負担が必要となる(例えば、免責金額5万円で修理費用50万円なら、保険金は45万円しか支払われない)」ということ。この点は注意しておきましょう。

10 車が全損の場合は車両保険で修理をすべきか、買い替えるべきか

車両保険で扱う「全損」には、2つの意味が存在します。

1つは車の修理が不可能な状態まで破損した、文字通り全損の状態。もう1つは車両の時価額よりも修理費用の方が高額となる状態。

車両保険は時価額に応じて支払われるものであるため、修理をする、しないにかかわらず保険金を受け取ることが可能です。

もしも全損と判断された場合でも、修理をすることが可能。修理をしてその車に乗り続けたいと考える際には保険金を修理代に充てることもできます。

しかし古い年式の車の場合は修理費用をすべて保険金で賄うことは難しいと考えられてしまうケースも少なくないため、不足分は自費で支払うということも考えられます。

11 保険金で買い替えることも可能

支払われた保険金を使って、車を買い替えることも可能です。
新車に近い車で、購入金額に近い金額の車両保険を設定できていれば、買い替えにも十分な保険金を受け取ることができます。

しかし、古い年式の場合は支払われる保険金も買い替え費用には十分といえないことが多いため、不足分は自費で補う必要があります。

車の修理に保険を使用する際は、一度プロのアドバイスを聞くのもあり

車の修理への保険利用には、状況に応じてメリットもデメリットも存在します。

もしも急ぎでない場合は一度プロに相談するというのも手です。

契約している保険会社に問い合わせるのもよし、懇意にしている整備会社に聞いてみるのもよし。

もし保険をどのように使えばいいのか、より良い方法はあるのかなど、疑問があればヴァ・ベーネでも対応することが可能ですので、お気軽にご連絡ください。

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