2021年1月29日
違法改造だったシャコタンが定番カスタムとして地位を確立した理由とは
愛車の見た目、気を使ってますか?
愛車をより魅力的に魅せたいと思うのは、車好きにとっては当たり前のこと。車高短も愛車をカッコよくドレスアップ方法の一つです。
車高を下げる改造方法は、一般的にはシャコタンやローダウンと呼ばれ、一昔前まではちょっとヤンチャな方に好まれているイメージがありました。しかしながら、現在では定番カスタマイズとしてその地位を確立し、多くの車好きから親しまれています。
今回はシャコタンのメリットやデメリット、車検で見られるポイントや基準値まで余すことなくお伝えします。
目次
1 シャコタン(車高短)とは?違法とされたカスタムが流行した背景
シャコタンとは自動車の最低地上高を下げる(車高を元の高さよりも低くする)改造方法のこと。運動性能や安定感が増すことから、主にサーキットやスポーツで使用する車に用いられてきました。車高を低くすることでスポーティーな外観になることから、ドレスアップを目的とした改造としてシャコタンが取り入れられることも多々あります。
シャコタンの語源は車高を下げることを意味する「車高短」。近年ではローダウンと呼ばれることもあるので、こちらの方が聴き馴染みがある方も多いかもしれませんね。
そんなシャコタンの始まりは1970年代後半まで遡ります。この時代の暴走族の間では車両の違法改造として、レース使用のカスタムにルーツを持つシャコタンを取り入れることが流行していました。
自動車をシャコタンに改造する最も簡単な方法として知られているのは、スプリングを専用の物に換装する方法。他にもスプリングを切断して短くする、ショックアブソーバーやスプリングを車高調整式サスペンション(車高調)と交換する、スプリングを取り除く(ノーサス)ことで車高を下げるなどの方法があります。
当時シャコタンが違法改造とされていた理由は、これらの改造方法にあります。当時スプリングを変更するには陸運支局などへ届出をし、認可される必要がありました。そのため、認可されていない状態で公道を走行するのは違法行為として扱われていたのです。
そのような理由から世間では、シャコタンを施した車両を車検に通すために純正スプリングに変更するケースが多発してしまいました。1980年代になるとその流行はさらに広まり暴走族以外の若者、さらにはメーカーが発表する新車のデザイン自体が車高を下げることがトレンドに。
そして1995年11月には世のシャコタン人気が高まった背景もあり、規制緩和が実施されます。これによりコイルスプリングやトーションバーを交換したとしても、車検証に記載されている数値に対して車のサイズが高さ±4cm、幅±2cm、長さ±3cmの規定内に留まる変更には届け出が不要になりました。使用者の自己責任のもとで自由にスプリングを変更し、車高を落とすことが可能になったわけです。
規制緩和以前は違法改造だったということもあり、シャコタンにしている車=暴走族の車というイメージがありました。しかしながら、時が進むにつれ徐々に一般的な改造として受け入れられ、現在では漫画や映画・ドラマなどの影響も手伝い市民権を得たと言えるでしょう。
ただし、最低地上高などのルールは設定されており、車検時に確認する項目となっています。車検適合基準などについては後述の車検基準をご確認下さい。
2 シャコタンにすることで得られる4つのメリット
シャコタンにすることで得られるメリットは大きく分けて以下の4つです。
- スタイルが良く見える
- 視線が下がることで体感スピードが増す
- ボディが下がることで運動性能の向上が期待できる
- 足回りの安定感が増す
まずはなんと言っても注目を集めるそのスタイル。車高を落とすことでタイヤハウスの隙間やタイヤとボディの隙間が埋まります。そのためシャコタンにすることで、スタイルがよく見えると言えるでしょう。
次にシャコタンによって車の重心が下がるため、ドライバーの視線が下がる点です。より路面に近い視点で運転することができるため、運転中の体感スピードがアップします。
さらに、運動性能や安定感が増すこともシャコタンのメリットの一つ。F1をはじめとしたレーシングカーの重心が低く、サスペンションがハードに設定されていることからも分かるように、車の重心はコーナリングや車線変更時の安定感、エアロダイナミクス(空力性能)にも影響します。
ミニバンなどの元々車高の高い車であれば、その差はさらに顕著に現れるでしょう。適度に車高を下げることで、余計な振動や騒音を減らすことができます。それにより後部座席での車酔いが軽減されることもポイントです。
3 極端なシャコタンはデメリットも…
極端なシャコタンはデメリットが多く、おすすめしません。通常の車高であれば運転中や普段、何気なく利用していたコンビニの駐車場ですら、障害物となることを覚えておきましょう。
例えばコンビニやスーパーなどの駐車場で困るのが、出入り口の段差やスロープ、踏切の存在。車体と路面とのクリアランスに対し、無理に車を入れば前後のバンパーやマフラー、車両の下面を傷つけてしまいます。また段差が大きい場合には、車体の腹下の部分が路面に引っかかり、最悪の場合は動けなくなるなんてことも…。その他にも、機械式駐車場などは車止めが原因で利用できないこともあります。
そのような普段の段差トラブルを回避する方法として「段切り」と呼ばれるテクニックがあります。段差に対して鈍角にゆっくり進入し、タイヤを一輪ずつ段差にのせることで、底面を擦るのを回避するテクニックです。段切りでも回避できない段差の場合には、底面の傷を許容しなくてはなりません。
極端なシャコタンにする場合は乗り心地が犠牲になるのはもちろんのこと、ロードノイズや段差など普段の運転のストレスを覚悟しておく必要があるでしょう。
そして注意しなくてはならないのが、後述の車検基準から逸脱した違法改造とされるシャコタンです。過度なシャコタンを施している車が事故をはじめとしたトラブルを起こしてしまった際、保険金が支払われない場合もあります。
メリットがある反面、過度なシャコタンにはデメリットも多いため、改造を施す場合は考慮する必要があるでしょう。
4 シャコタンの車検基準は?
4-1 車検で見られる車高の基準値
車高の基準値は「地上面から自動車の最も低い所までの高さが9cm以上」と定められています。保安基準第3条で規定されているため、車検時もこの保安基準の規定に沿って検査されます。
そして「自動車の最も低い所」とは、マフラーの配管やエンジン本体などの自動車を構成する構造物のことを指しています。つまり、ロアアームやエアロパーツをはじめとした可動する部分は含まれていないということ。加えてアンダーカバーを装着している場合には、最低地上高は5cm以上であれば問題ありません。
そのほかにもサスペンションの足回りや、タイヤと連動し上下するパーツの下端などはエアロパーツ同様に最低地上高から除外されます。
ただしスプリングの切断はもちろんのこと、デザインによっては禁止されている改造もあるため、注意しましょう。また、エアロパーツに関しては車高には含まれないものの、樹脂製であること、ライト類が埋め込まれて一体化されていないことなどの条件があります。
4-2 車検時に最低地上高はどのように計測するのか
車検には最低地上高の計測も含まれていますが、厳密な検査は実施されていません。
一般的な検査手順は車両の下回りを確認後、車体の最も低い箇所の車高を計測します。その時に最もよく計測されるのがマフラー部分とリアデフ部分です。その二点が9cm以上になっていれば、多くの場合は問題ないと言えるでしょう。
ただし、マフラーには注意する必要があります。純正から社外パーツと交換していた場合、車検対応と記載されているマフラーであっても、取り付け時にチェックしておくことがポイントです。
そして見落としがちなのが、ウィンカーやフォグライトが装着されたバンパーを装備している場合です。自動車の機能として重要なパーツが装着されているケースでは、バンパーにも車高基準が適用されるということを覚えておきましょう。
メリット・デメリットを理解し、適切なシャコタンで愛車をカスタマイズ
愛車をカッコよく見せたいと考えるあまり、ついつい地面スレスレまで車高を落としてしまうなんて方も多いのではないでしょうか。車検にさえ通すことができればと、その場しのぎの方法を選択してしまう方がも多いことも事実。
よくみられるやり方が、タイヤの空気を入れて車高を上げるという方法です。しかしながら、車検時にタイヤの空気圧の確認もあるため、あまり無理に空気を入れすぎても検査時に引っかかってしまう恐れがあります。
また、車高を下げることで見た目が良くなるメリットはあるものの、段差問題など普段の生活で不便に感じるデメリットもあります。車の足回り部分は人の命にも関わる重要なパーツの一つ。それゆえ、トルクの締め付け具合に至るまで細かな基準値が定められているわけです。
車検に合格することを目的にその場しのぎで対応するのではなく、安全面からも規定から逸脱しない範囲でカーライフを楽しみたいものですね。
WEBでカンタン無料査定!
旧車の買取なら、ヴァ・ベーネにお任せ!
業歴35年は信頼の証!お急ぎの方はお電話でも承っております。