初代デボネアはなぜ走るシーラカンスなのか？

東京都に本社を置く「三菱自動車工業」。

国内自動車メーカーの一つで、これまで多くの名車を開発してきました。さまざまなモデルが販売されてきましたが、三菱の高級車として君臨していたのがデボネア。

「走るシーラカンス」の異名でも知られるモデルですが、どのような特徴の車種なのかは知らない方も多いのではないでしょうか。

今回は、三菱が開発した初代デボネアにスポットをあて、その特徴やシーラカンスの由来などについてお伝えします。

三菱が発表してきた有名モデルを知りたい方はコチラをご覧ください。

1 走るシーラカンスの異名を持つ初代デボネア

初代デボネアは1964年に誕生し、1986年まで22年間生産されたモデル。当時の日本車としては画期的な技術やデザインを採用した、日本の自動車史に残る名車です。

車名の由来は、英語で「愛想の良い、礼儀正しい、陽気な優雅な」という意味。その名にふさわしく、堂々とした風格と優雅な佇まいを持つ車でした。

デボネアはモデルチェンジされるまで、マイナーチェンジを繰り返し基本構造やデザインを変えることなく製造されました。

これだけの長寿モデルは珍しかったことから、「走るシーラカンス」と呼ばれています。

シーラカンスは、古生代から現在までほとんど姿を変えずに生き残っている魚で、「生きた化石」と呼ばれています。デボネアも、時代を超えて愛され続けるロングセラーモデルとなったのです。

2 アメ車を彷彿とさせるスタイリングとパワートレイン

初代デボネアは、当時のアメリカ車流行のデザインを踏襲しており、堂々としたフロントマスクと伸びやかなボディラインが特徴。

デザインを担当したのは、ゼネラルモーターズのデザイナー経歴を持つハンス・S・ブレッツナー氏。

ボディ構造は、モノコックボディに前輪ウィッシュボーン独立懸架、後輪半楕円リーフリジッドで後輪駆動という、平凡だが手堅いレイアウトを採用しています。

その雰囲気から見た目こそかなりの大型に見えるが、日本では小型車扱いの5ナンバー規格に収まるサイズで設計されました。

国産車には見られない独自のディティールが印象的です。両端にエッジを立てたボンネットフードやトランクフード、L字型のリアコンビネーションランプなどを採用しています。

またパワートレインは、三菱初の量産型V型6気筒エンジンを搭載。変速機はコラムシフトのマニュアルトランスミッションのほか、後に3速ATもラインナップ。

デボネアは、当時の三菱が持つ自動車技術の結晶とも言える一台です。

3 初代デボネアの変遷

走るシーラカンスの異名を持つ初代デボネアですが、モデルチェンジされるまで何度かマイナーチェンジを繰り返しています。

特徴的なマイナーチェンジをピックアップし、以下の表にまとめました。

三菱の高級車として君臨したデボネア

当時の日本車としては、画期的な技術やデザインを採用した初代デボネア。

モデルチェンジされるまでの22年間、大きな変更がなかったことから「走るシーラカンス」の異名を持つモデルです。日本の自動車史に残る名車としても知られており、現在でも旧車ファンから根強い人気を集めている一台。

三菱の高級車として君臨したデボネアを体験してみてはいかがでしょう。