2023年4月30日
ECUの役割や不具合の症状、修理費用について
車にはさまざまな電子機器が搭載されており、今回紹介する「ECU」もそのひとつです。特に重要な部品である「エンジン」を制御するECUがどんなパーツなのか、詳しく知らない方も多いでしょう。
今回は、ECUの基本的な特徴や不具合の症状、修理費用について解説します。
目次
1 ECUとは
ECUは「エレクトロニック・コントロール・ユニット」を指す部品で、エンジンを制御するコンピュータのことです。最近ではエンジン以外にも、ミッション・ブレーキ・カメラ・ライトなど、それぞれの部位にECUが使用されています。
ここでは、エンジン制御用のECUの役割や構成、種類を紹介します。
1-1 役割
ECUの主な役割は、以下に挙げる部分の制御です。
- 点火機構
- 燃料噴射装置
- スロットル開度
- 過給器の過給圧
- 排気
- 排ガス還元量
- 動弁機構
- セルモーター
- イモビライザー
また、エンジンの性能や燃費の向上、排気ガスの清浄化や運転性能向上の役割も果たします。
1-2 構成
ECUはマイクロプロセッサを中心に、入出力機器などの周辺機器や通信モジュールから構成されています。登場時はユニットのみで制御品質を上げるため、ECUが利用されていました。
しかし昨今はECU間での情報共有が徐々に進んだことで、複数のECUが協調するようになりました。
最近のECUには共通機能を発揮するための「車載ネットワーク」という、情報交換手段として利用される通信機能が備わっています。
1-3 種類
ECUには、エンジン制御用と運転支援システムの2種類があります。それぞれの特徴は以下の通りです。
エンジン制御用 | 運転支援システム |
|
|
1-4 耐用年数・寿命
車に搭載されるECUは、使用環境に左右されるもののおよそ15〜20年程度で寿命がきます。
ECUは車だけでなくパソコンにも使用される部品ですが、パソコンと比べて車のECUは使用環境が劣悪になりがちです。
特に旧車などはECUの経年劣化も進んでいるため、より耐用年数が短くなりやすいでしょう。
2 ECUに不具合が起こるとどうなるのか
ここでは、ECUに不具合が発生した場合の症状や原因、前兆について解説します。
2-1 不具合発生時の症状
ECUに不具合が発生すると、エンジンの不調や振動が生じるようになります。結果、始動不良や加速不良、アイドリングストップなどの不調や警告灯の点灯といった症状が出てしまいます。
また、エンジンストールが不調になったり、イモビライザーが認識されなくなったりするのも、ECUに多い不具合の症状です。
2-2 不具合の原因
経年劣化などが原因で、電子制御を行っているセンサーなどのハード面が故障するとECUに不具合が発生します。もしハード面に不具合がない場合は、ソフト面に位置するECUそのもののコントロールが適切にされていないのが不具合の原因です。
また、基盤や電子回路の不具合により回転数が不安定になることで、エンジンストールなどの不具合を引き起こすこともあります。
2-3 前兆なしに故障してしまうこともある
ECUは、前兆もなしに故障しやすい部品です。上述した不具合の症状や原因は多岐に渡り、どの不具合が発生するのか予想しにくいのが原因と考えられます。
ECUは急に故障する可能性が高いため、症状や原因をあらかじめ把握し、定期的に不具合につながる状態になっていないか確認することが大切です。
3 【系統別】ECU故障の症状・確認方法
ECUの故障は、点火系・燃料系・吸気系の3つに表れる症状から判断できることもあります。
3-1 点火系
エンジンの回転信号が入力されているにもかかわらず、点火指示信号が出ていなければECUが故障していると考えられます。
キースイッチをオンにしてもランプが点かない、ダイアグノーシスを点検できない場合などは、ECUが故障しているかもしれません。
3-2 燃料系
ECUに不具合が起きていると、燃料ポンプが動かなくなることがあります。
燃料ポンプが稼働しないと、エンジン始動時や加速時の性能が低下するため、注意が必要です。ただし、燃料ポンプはガス欠やモーターの不具合など、ECU以外の原因で動かなくなることも多いでしょう。
3-3 吸気系
ECUの故障は、警告灯の点灯といった形で吸気系のトラブルとして認識できます。
その際は、インテークマニホールド付近やサージタンク付近に取り付けられている吸気温度センサーなどを交換しなければなりません。
4 ECUの修理にかかる費用
ここでは、ECUの修理にかかる費用目安を、業者への依頼と自分で修理する場合に分けて紹介します。
4-1 業者に依頼する場合
ECUの修理を業者に依頼する場合、一般的に33,000円程度。ただし、過去の修理歴にあたる「作業履歴」がある場合は、この金額が変動することを覚えておきましょう。
作業履歴とは、自分でECUを修理しようとした履歴のことです。過去に自分でECUを修理してしまうと、思わぬ形で故障が悪化する可能性があります。
ECUは代替部品を探すのが難しく、作業履歴によっては部品の調達含めて修理費用が高額になる可能性も視野に入れておきましょう。具体的には、通常の1.5〜2倍ほどが目安です。
もしくは、通常の費用に上限約7,000円~8,000円ほどが追加費用として請求される場合があります。
4-2 自分で修理する場合
ECUを自分で直したくても、専門知識がない場合もあるため本体を「交換」することになるのがほとんど。しかし、車種によっては新品の純正品は10万円以上の高価格で販売されています。
また、絶版モデルの場合は価格が高騰しているため、さらに高い費用がかかることも。そのため、ECUは自分で交換するよりも、費用を安く抑えられる可能性のある「業者への依頼」の方が良いかもしれません。
5 ECUチューニングとは
ECUチューニングとは、ECUの内部にある記憶媒体に書き込まれている、エンジンを制御するデータの数値をスポーティな特性へと変更することです。
エンジンの精度にこだわり、よりスポーティな走り心地を体感したい場合におすすめです。
5-1 ECUチューニングのメリット
ECUチューニングを行うことで、劇的なパワーアップ・フィーリングアップが期待できます。
吸排気チューニング・ブーストアップといった、パワーを上げるさまざまな方法と組み合わせることでより高い効果を発揮するのもECUチューニングのメリットです。また、自分の車の仕様に合わせて、最適なセッティングへの変更もできます。
5-2 ECUチューニングのデメリット
「ECUの修理」に近い作業でもあることから、ECUチューニングは膨大な費用がかかってしまいます。作業履歴が残ってしまい、いざ業者にチューニングを依頼しようとしても費用が高くなってしまうという負の連鎖も懸念されます。
セッティングそのものも非常に難しいため、費用面等も考えると自分でECUチューニングを行うのは避けるべきでしょう。
5-3 ECUチューニングをするタイミング
ECUチューニングは、自分の車の仕様が定まり、完成したタイミングで行うのがおすすめです。吸排気・点火系・インジェクター・過給圧・カム・バルブなど、各部品のチューニングを終えた段階でECUチューニングを実施してください。
ECUはセッティングを行うたびに費用がかかるため、ECUチューニング後に仕様を変更してしまうと、新たなセッティングを別途実施する必要があり、余計な費用がかかってしまいます。
ECUはエンジン性能の向上を担うコンピューター
今回は、エンジン制御の役割を担うECUについて紹介しました。基本的な役割や構成、耐用年数などを覚えておくことで、自分の車に搭載されているECUをどう管理すべきかわかるようになります。
ECUを正常に動作させ続けるためには、系統別の不具合の症状や交換費用について抑えておくことも大切です。また、より高い走行レベルを実現するための、ECUチューニングの知識も押さえておくと良いでしょう。
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