2021年5月2日
日産自動車不朽の名車!フェアレディZ S30のルーツと魅力に迫る
数多の名車を世に輩出してきた日本の自動車メーカーの雄、日産自動車。
中でも「フェアレディZ」無くして日産を語ることはできません。
フェアレディZは、日本国内では「Z(ゼットorゼッド)」海外では「DATSUN Z(ダッツンズィー)」や「Z-Car(ズィーカー)」の愛称で親しまれるスポーツカーのシンボル的存在。
リリース以来多くのモデルチェンジを重ねてきたフェアレディZですが、今回スポットライトを当てるのは初代フェアレディZである「フェアレディZ S30」。
価格、機能性、デザインにおいて高いレベルでバランスの取れたモデルとして知られる「フェアレディZ S30」の知られざるルーツや型式を詳しく解説します。
目次
1 フェアレディZ S30のルーツを辿る
1-1 源流は、ダットサン・スポーツDC-3
フェアレディZのルーツは「ダットサン・スポーツDC-3」。日産自動車のブランド「ダットサン」にて取り扱われたスポーツカーでした。
自動車デザイナー太田祐一氏の手がけたダットサン・スポーツは、日本車とは思えないイギリス風のクラシカルなデザインが特徴のカーショー向けの華やかな1台。
しかしながら、当モデルは1952年から54年のわずか2年の間しか販売されず、合計製造台数も50台。実際に販売されたのはわずか20台前後だったのだそう。
ちなみに日産が自社プロダクトに「スポーツ」の名称を冠したのは、このダットサン・スポーツDC-3が初。日産におけるスポーツカーの草分け的存在だったのです。
1-2 ダットサン・スポーツ1000
1959年から62年までの間に販売されていたのが、ダットサン・スポーツ1000。
ボディには、強化プラスチック素材(FRB : Fiberglass Reinforced Plastics)を使用。DC-3をベースにより洗練されたイギリス風のボディデザイン、そしてルーフのないオープンスポーツ仕様が特徴の1台でした。
しかし、総生産台数は「ダットサン・スポーツDC-3」よりも少ない僅か20台。量販車というよりも「試作品」に近いモデルだったと言われています。
1-3 ダットサン・フェアレデー1200
フェアレディとしての歴史は、この1960年に発売されたダットサン・フェアレデー1200から始まります。
車種名の由来は、当時の日産自動車の社長 川又克二氏がアメリカに渡航した際に観たブロードウェイミュージカル『マイ・フェア・レディ』にちなんで付けられたのだそう。そのため「フェアレディ(※当時の表記はフェアレデー)」の名を冠したのも当モデルから。
美しい流線型のボディは量販を見越してスチール製、ハンドルはターゲットとなる北米市場に合わせ左ハンドルに。量販を見越して仕様を工夫するも、総生産台数は500台前後に止まります。
北米市場向けに生産されたこともあり、国内でほとんど流通しなかった稀少なモデルです。
1-4 フェアレディ1500
本格的な量販型がスタートしたのは1962年。
ついに量販型モデルとして、ダットサン・フェアレディ1500の販売が開始されます。
フェアレデー1200の流線型ボディを一新。初代とは対照的な、直線的かつスタイリッシュなボディにフォルムチェンジが行われました。
ちなみに車体の基本構造(シャーシ)は、同じく日産自動車の輩出した名車として知られる「ダットサン・ブルーバード310系」がベースになっています。
1-5 ダットサン・フェアレディ1600
1965年、後継モデルとしてリリースされたのがダットサン・フェアレディ1600。
先代と大きく異なるのはシャーシ、エンジン、トランスミッション等の部品。実は当モデルの1ヶ月前に発売されていた名車「シルビア」と同様のものを使用。
特にエンジン変更の恩恵は大きく、当モデルから最高速度も160km/h台に突入。パワーの面もスポーツカーとして申し分ないレベルにまで到達したのです。
1-6 ダットサン・フェアレディ2000
1967年、ダットサン・フェアレディ2000がついに登場。
最高速度は205km/hと日本国内で生産された自動車の中では最速を記録。
「貴婦人」とも称された当モデルは、その洗練されたデザインとは対照的な「スポーツカー」としての圧倒的なパフォーマンス高さで自動車業界を席巻。
自家用車の域を大きく越え、モータースポーツでも数多くの大会で好成績を好成績を収めました。
実は、本記事のメインでもある「フェアレディZ S30」の登場後も併売する形で生産を続行したほど。その人気の高さのうかがえるモデルでした。
2 初代フェアレディZ「S30型」登場
1969年、ダットサン・フェアレディに代わって「フェアレディZ S30」がついに登場。当モデルが、いわゆるフェアレディZの「初代」にあたります。
初代フェアレディZ S30の最大の特徴は、ヨーロッパ製のラグジュアリーGTに匹敵するスペックとエクステリア。そしてスペックの高さに反して、廉価な価格設定であった点も注目を浴びた理由の1つでした。
前身のダットサン・フェアレディではオープンタイプのボディでしたが、フェアレディZからはクローズドタイプに変更。以前よりも一層スポーティなイメージを強めています。
軽量なモノコックボディ、ロングノーズ&ショートデッキ、そしてストラット式サスペション。スポーツカー市場で先行するポルシェ・911やジャガー・Eタイプに引けを取らないパフォーマンスの高さを備えていました。
廉価であるにもかかわらず当時でも古参のマニアたちを唸らせる本格派の仕様には、国内外の競合メーカーも驚きを隠せなかったに違いありません。
3 北米でも人気沸騰!フェアレディZ S30から日産は世界へ
ハイスペックにもかかわらず、日本以上に北米市場での人気が沸騰。
理由はなんといっても、その圧倒的なコストパフォーマンスの高さでした。
フェアレディZ S30にも搭載された2.4L直6L24型エンジンた、前後輪のストラット式サスペンションによる四輪独立懸架は、北米の広大な土地を移動することを考慮してのこと。
一方、日本国内向けには2.4L直6L24型に替えて2LのL型6気筒エンジンを採用する等、仕向け地ごとに細やかな配慮を加えた点もまた人気の理由の1つと言えるでしょう。
フェアレディZ S30は10年もの間生産され、世界販売台数55万台(日本での販売台数は8万台)を記録。当時のスポーツカー販売台数としては異例の記録でした。
このフェアレディZ S30により日産は海外への活路を見出し、名実ともに世界の自動車メーカーとしての地位を築いたのです。
4 型式によってタイプが異なる
フェアレディZ S30は型式によって車体スペックを見分けることが可能です。チェックポイントは「搭載エンジン」「ハンドル位置」「ホイールベース」「基本型式」の4点。
ここではそれぞれのポイントを説明していきます。
4-1 バリエーションが多い搭載エンジン
フェアレディZ S30に搭載されているエンジン以下の5種類。
- 2.0L 直6 L20型
- 2.0L 直6 S20型
- 2.4L 直6 L24型
- 2.6L 直6 L26型
- 2.8L 直6 L28型
これらを車種の型式に当てはめると以下記号が割り振られます。
搭載エンジン | |
2.0L 直6 L20型 | 無記号 |
2.0L 直6 S20型 | P |
2.4L 直6 L24型 | H |
2.6L 直6 L26型 | R |
2.8L 直6 L28型 | H |
4-2 ハンドル位置
続いてハンドル位置の型式記号は以下の通り。
ハンドル位置 | |
右ハンドル | 無記名 |
左ハンドル | L |
4-3 ホイールベース
ホイールベースにも型式は割り振られています。
ホイールベース | |
標準・定員2名 | 無記名 |
ロング・定員4名 | G |
4-4 基本形式・型式の例
最後に排ガス規制前後でも型式が分けられています。
基本形式 | |
昭和50年排出ガス規制以前車 | S30 |
昭和51年排出ガス規制適合車 | S31 |
4-5 フェアレディZ S30の車体スペックから型式を見抜く
以下の車体スペックをもつフェアレディZの型式を当ててみましょう。
■ フェアレディZ S30【車体スペック】
- 搭載エンジン : 2.6L 直6 L26型
- ハンドル位置 : 左ハンドル
- ホイールベース : 標準・定員2人
- 基本形式 : 昭和51年排出ガス規制適合車
このスペックの場合、前述した表に当てはめていくと…
- 搭載エンジン : 2.6L 直6 L26型 → R
- ハンドル位置 : 左ハンドル → L
- ホイールベース : 標準・定員2人 → 無記名
- 基本形式 : 昭和51年排出ガス規制適合車 → S31
この場合「2.6L 直6 L26型=R」「左ハンドル=L」「標準・定員2人=無記名」「昭和51年排出ガス規制適合車=S31」と割り振られます。よって、型式は「ZS30 RLS31」となるわけです。
5 フェアレディZ S30のエンジンは”あの名車”と同じ?
日本国内向けのフェアレディZ S30に搭載されているエンジンは、2.0L直6L20型エンジン。
そう、実は日産の中でも不動の人気を誇るGT車「スカイライン2000GT」と同じエンジンなのです。
ちなみに「スカイラインGT-R」に搭載されている2.0L直6S20型エンジンもまた、のちに発売されるS30のトップグレード「フェアレディZ432」に搭載。
日産屈指の名車にも搭載されている技術すらも厭わず駆使したパワースペックが魅力です。
まとめ
は日本を代表するスポーツカーフェアレディZ S30。
当時スポーツカーは欧米のメーカーが席巻していましたが、フェアレディZ S30の登場によりその牙城を崩し始めました。ハイスペックにもかかわらずロープライスであるという、日本のものづくりのお家芸を体現することに成功。
フェアレディZ S30は何代もの世代を経て今もなお人気を博す名車として注目を浴びています。
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