2023年4月21日
車検に通る「ハミタイ」の条件とは
車にとって、タイヤは最も重要な部品の一つ。タイヤは車検時のチェックも厳しく、検査官に危険な状態と判断された場合は車検不合格とされてしまいます。
そのタイヤをあえて車体から少し外にはみ出させることをはみ出しタイヤ、通称「ハミタイ」と呼称します。
もちろんハミタイは車検で厳しく検査されます。
また、車検に通らない可能性があるだけでなく、はみ出しタイヤは整備不良や不正改造として警察の検挙対象となる点にも配慮する必要があります。
今回はハミタイの基本的な知識と、ハミタイが車検に通るための条件などを確認していきましょう。
目次
1 「ハミタイ」とは何か
ハミタイは道路運送車両の保安基準(以下:保安基準)により定義が定められています。
「ハミタイ」とは、車軸から前方30度、後方50度にあたる車体(フェンダーなど)よりタイヤが外に突出することを指します。
この定義は国内で走行する自動車の構造、装置、乗車の定員などの技術的最低限度の基準を定めた省令であり、昭和26年に国土交通省令として制定されました。
公道を走る全ての車は、その装置や構造などがこの省令に適したものでなくてはなりません。検査や点検、整備などもこの基準に沿って実施されます。
しかし平成29年6月22日の法改正後、ハミタイと横出しマフラーについての車検の保安基準が一部改正されました。
法改正後は最も外側になる部分がタイヤの場合は10mm以内ならはみ出しても車検に通るようになっています。
正しい解釈としては「タイヤが一番外の場合のみ」なため、ホイールやホイールキャップが一番外の場合は今まで通りの法律が適用されてしまいます。
簡単に言ってしまうと、
- 10mm(1cm)未満ならタイヤ部分は、はみ出しても「ハミタイ」OK
- 引っ張りタイヤなど、アルミホイールなどがはみ出す場合はNG
と改正されました。
2 新法律が適用される車両
実は新法律が適用される車両は決められています。
- 乗用車であること(3、5、7ナンバー)
- 最大乗車人数が9人以下であること
- 自動車のみであること
です。
主にトラックなどの1ナンバーや、貨物車である4ナンバーでは新法律は適用されません。さらに10人以上乗車できる乗用車にも適用されません。大きい車に乗っている方は注意が必要かもしれません。
ちなみに、登録年月日に関わらず古い車であってもこの新法律は適用されます。
3 ハミタイが車検に通りにくい理由
ハミタイが車検に通りにくい理由は明確です。端的に言えば「危険だから」です。
高速回転をしているタイヤは触れるだけで事故につながる極めて危険な部品です。この部品が車体からはみ出しているとどうなるでしょう?
例えば他の車と接触した際に車体を弾き飛ばしてしまう恐れがあります。もちろん歩行者や何らかの落下物と接触してしまっても大事故につながってしまう可能性があります。
タイヤが露出したF-1マシンなどの接触事故で車体が空中を舞うシーンを見たことはありませんか?これはタイヤ同士が接触した際の運動エネルギーによるものです。F-1では車体が軽く、かつ速度が出ているためあのような事態になってしまいますが、一般道であっても危険であることに変わりはありません。
タイヤがはみ出すことによって事故の被害が拡大したりする場合があるため、車検の規定である道路運送車両の保安基準には、車における回転部分の突出禁止規定が設けられているんですね。
4 基本的に車検に合格するのは「ラベリングのはみ出し」のみ
2017年のはみ出しタイヤに関する保安基準の改正は、決してハミタイを助長するものではありません。
この改正はあくまで国際基準に準じた規定への変更が目的です。
海外と日本では保安基準細部の内容が異なり、これまでタイヤがはみ出し気味だった輸入車は、わざわざフェンダーモールを貼り付けなければ日本の保安基準に適合させることができなかったのです。
2017年の法改正はこの問題を解消するための手段でした。
そのため、実質的にはみ出しが認められるのはタイヤ側面のラベリングのみです。
タイヤのサイドウォールに記載されたタイヤサイズやメーカー名、銘柄などの表記、リムガードと呼ばれるホイールを保護するために設けられたタイヤの突起や、サイドブロックと呼ばれるオフロードタイヤのサイドウォール突起などがラベリングに該当します。
5 中古車を購入した場合はハミタイに気づかないことも
自らタイヤやホイールを交換した場合は記憶している可能性が高いですが、中古車を購入した際に不適合なタイヤに気付かないケースも少なくありません。もしそのまま車検に出して不合格になってしまいます。
車検時期間近の状態で車検に通らない事態になってしまうと、代わりのタイヤを購入しなくてはならず、意図しない高額出費が発生してしまう恐れもあります。
車検のおおよそ2~3ヵ月前を目安に車検の見積りを取り、そのタイミングでタイヤの状態も確認しておきましょう。
保安基準を遵守したタイヤで安心のカーライフを
過剰なハミタイは思わぬ事故を誘発してしまうかもしれません。自分では問題ないと思っていても車検で指摘されてしまう可能性もあります。
「自分の車がハミタイかどうか分からない」「安全なハミタイなはずだけど車検に通るか心配」とお考えの場合はお近くの整備向上などに質問してみてください。最適な答えを教えてくれるはずです。
もちろん弊社へのお問い合わせも大歓迎です。
自分はもちろん周りの方の安全のためにも、必ずタイヤの状態を把握し、コンディションを確認しておきましょう。
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