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車に欠かせないセルモーター、その役割や故障の原因、対処法や費用まで

車に欠かせないセルモーター、その役割や故障の原因、対処法や費用まで

エンジンをスタートさせる際に欠かせないセルモーター。

当記事でスポットを当てるのはそんな縁の下の力持ち的な役割を果たしてくれているパーツです。

なかなか壊れにくいと言われるセルモーターですが、壊れてしまうと車が動かなくなってしまうので注意が必要です。

今回はそんなセルモーターの基本的な知識や、止まってしまった時の対処法、修理にかかる費用などを解説していきます。

1 セルモーターとは?

セルモーターとは、エンジンをスタートさせるための電動機(モーター)。英語では「starter motor(スターターモーター)」といい、セルモーターという名称は実は和製英語なんです。

乗車したらキーを回したり、ボタンを押したりしてエンジンを始動させます。その時に「キュルキュル」と鳴る音に聞き覚えはありませんか?あの音がセルモーターの音です。

車のエンジンが吸気や圧縮行程を適切に行うためには、外部からの回転力が不可欠。車に回転力を提供するのがセルモーターの役割です。

その特性上、エンジンを始動するための最初の手段として役割を果たすパーツであり、セルモーターが動かなければ車は当然エンジンはかからなくなってしまいます。

2 セルモーターの構造と仕組み

セルモーターは、エンジンを始動するために欠かせない重要なパーツ。そんな重要なセルモーターはどうやって動いているのでしょうか?

セルモーターの最初の仕事はバッテリーの電力を使用して「クランクシャフト」を電動で回転させ、エンジンで最初の爆発を起こすこと。

自動車で一般的な、4サイクルガソリンエンジンで仕組みを考えてみましょう。

そもそもエンジンが動作するの基本的な工程としては

  • 吸気
  • 圧縮
  • 燃焼
  • 排気

のを繰り返すことによって回転します。

セルモーターは、止まっているエンジンのシャフトを回転させることによって、停止しているエンジンが自ら行うことができない吸気、圧縮工程をシャフトを回して強制的に行うことにあります。これによりエンジンに始動のきっかけを与えるんですね。

モーターが回って噛み合ったフライホイールも回転し、同時にクランクシャフトも回転、結果としてエンジンがかかるという仕組みになっています。

セルモーターには「ピニオン摺動式」と「レブリダクション式」の2種類が存在しています。
下記で詳細を記載していきます。

2-1 ピニオン摺動式(直結式)

この方式は、セルモーターの構造や仕組みで解説した通りの内容と同様のもの。モーターの回転をそのまま動力として伝え、フライホイールを動かしています。

別名「直結式」とも呼ばれ、ピニオンギアとフライホイールが直接繋がっている方式です。主にトルクの小さい自動車やバイクなどに使用されています。

街乗りでアクセルを踏んでもあまり加速しないと感じるような車には、このピニオン摺動式を採用しているケースも少なくありません。

2-2 レブリダクション式

この方式はピニオン摺動式に比べてちょっと複雑です。

「モーターの回転を直接ピニオンギアに伝えるのではなく、アイドルギア、プラネタリギア等を介してトルクを増大させ、フライホイールに動力を伝える」という仕組みです。聞き馴染みのない単語が並んでいるように感じられた方もいらっしゃるかもしれません。

この方式のメリットはモーターを小型化、軽量化することができるというもの。しかしその反面、製造コストが高く、構造は複雑になっています。

ピニオン摺動式とは逆に、トラックやディーゼル車などの高いトルクを必要とする車ではレブリダクション式が主に採用されます。また、AT車にもこの方式が採用されていることが多くあります。

AT車だけでなく、低燃費走行をするディーゼル車などの登場もあり、この方式を採用している車が大半を占めていると言っても過言ではありません。

3 セルモーターはどのように動くのか

セルモーターの動きを詳しく解説していきましょう。セルモーターが正しく作動するためには、モーターとピニオンギアの動きがキモです。

実際のセルモーターの動きを、「リダクション式」を例に解説してみましょう。

3-1 イグニッションキーを回す

イグニッションキー(車のキー)を回転させる、もしくはスタートボタンを押して車を始動させようとします。

この合図をきっかけにセルモーターの軸についた小歯車(ピニオン)がレバーで押し出され、回り始めます。

3-2 リングギアと噛み合う

この回転運動でピニオンはさらに前に押し出されていきます。

クランクシャフトのフライホイールの外周についたリングギアに噛み合いリングギアを回転させようとします。

3-3 リングギアが回転し、エンジンサイクルがスタート

ピニオンが噛み合ってリングギアが回転。

それに伴いクランクシャフトも回転し、エンジンのサイクルが開始されます。

3-4 セルモーターに回転が伝わらないように保護

エンジンが回転している時はセルモーターが保護されます。

今まではセルモーターの力でピニオンが回転していましたが、エンジンがスタートするとピニオンはエンジンの力で回転します。

ですがその回転がセルモーター自体に伝わらないようクラッチによって切り離されており、モーターが保護されます。

3-5 セルモーターの停止

エンジンを止めるプロセスの中で最終的にピニオンギアは元の位置に戻り、モーターの電源が切れ、セルモーターも止まります。

4 アイドリングストップ車は、セルモーターの使用頻度が高い傾向に

燃費改善や環境性能向上のため、近年ではアイドリングストップ機能を備える自動車が増えてきていますね。

アイドリングストップ機能とは、「車速の低下を検知し、電子制御でエンジンを止め、運転者の運転操作をしようとする動き(ブレーキペダルを離す、ハンドルを動かす、セレクトレバーを動かすなど)を感知して、自動的にエンジンを始動させる」という仕組みです。

この再始動にもセルモーターが使用されます。アイドリングストップ機能が搭載されていない車に比べて、セルモーターの使用頻度が多くなるため、

  • モーターの耐久性を高める
  • ピニオンの押し込みは別モーターで制御する
  • 機構の故障を防ぐためにピニオンとリングギアが常に噛み合っている状態に設計変更する
  • 停止したエンジンの気筒にガソリンを噴いておくことで、エンジン再始動時に直ちに着火・爆発行程に移行して、セルモーターの負担を減らす

などの対策や工夫が行われています。

さらにエンジンの回転により発電し、バッテリーを充電するオルタネーター(発電機)がモーターと同じ構造であることを利用し、オルタネーターをセルモーターとして使うという手法も実用化されています。

ハイブリッド車では、モーター走行とエンジン走行で切り替えがあり、エンジンの始動・停止が繰り返されますが、このエンジン始動は走行用モーターで行われます。また、最近普及が進んでいる、ガソリンエンジンを発電のみに使う電気自動車では、発電機をエンジン始動のセルモーターとして使っていたりすることも。

5 セルモーターの寿命は10万km〜15万km

このセルモーターにももちろん寿命があります。

一般的には10万km〜15万kmくらいが寿命と言われています。エンジンの始動やアイドリングストップを頻繁に繰り返していると、10万km程かもしくはそれ以下で寿命が訪れてしまう可能性も否定できません。

セルモーターがなければエンジンがスタートできなくなってしまうため、定期的に車のメンテナンスをしておきましょう。

余談ですがバイクにもセルモーターがありますが、自動車に比べると寿命は短く3年〜5年程度と言われています。

6 セルモーターが回らない場合は原因特定を!バッテリーチェックをし、残量がある場合はセルモーターの故障の可能性を疑う

自分の車のセルモーターの寿命が尽きたり、故障してしまったと考えられる場合どう判断し、どう対処すればいいのでしょう?

具体的な対処例を挙げながら解説していきます。

6-1 バッテリーをチェックし、キーを回して音を聞いてみる

まず、エンジンが動かない時にバッテリーをチェックしてみましょう。残量がある場合にはセルモーターが故障している確率が高いです。

しかし、セルモーターの故障であるとしても、セルモーター内のパーツの固着のせいでセルが回らなかったり、ギアの噛み合わせが上手くできていない場合なども考えられます。

ちなみに、セルモーターが故障している場合にはキーを回しても音は鳴りません。キーを回しても「カチッ」と音がするだけか、無音になることがほとんど。

尚、バッテリー上がりの時もこのセルモーターが無音状態であることがあるので、音をよく聞いてみてください。

もしも無音だった場合、セルモーターの故障かバッテリー上がりの2択が考えられます。

6-2 セルモーターが動かない場合の対処法

やや荒技ですが、セルモーター本体を棒などで叩きながらキーを回すことでエンジンがかかる場合もあります。これはセルモーター内のパーツが固着している場合や、少しのズレでギアが噛んでいただけ、というケースには対応できる可能性があります

また、MT車の場合にはセルモーターが回転していなくてもエンジンをかける「押しがけ」という方法があります。

一人が車に乗って、イグニッションスイッチを入れてギアを1速に入れ、もう一人がその車を人力で押します。そして車の速度が少し出てきたところでクラッチを繋ぐとエンジンが始動します。

しかし最近の車はほとんどAT車。AT車はクラッチの代わりにトルクコンバーターで変速しており、エンジンの回転で生み出される油圧がなければトルクコンバーターは作動しません。そのため押し掛けをしてもタイヤの回転をエンジンに伝達できないのです。「オートマチック車では基本的に押しがけが不可能」と考えて差し支えありません。

6-3 もし動いたとしても整備工場やディーラーへ連絡を

もしも自力の対処に成功してエンジンが作動しても注意が必要。

なぜなら根本の原因解決になっていない可能性があるためです。

一応整備工場やディーラーなどで確認してもらうことをおすすめします。

7 セルモーター(スターターモーター)は故障しにくい?

セルモーターは、あくまでエンジン起動に使う補助的な機器。

一度エンジンが始動すればセルモーターの役目は一旦終了します。

1回の使用で最大30秒程度使用するものとして設計されており、その使用時間の短さに比例して故障率も高くありません。

使用頻度の高いアイドリングストップ車でも、故障が頻発するなどの話を耳にすることはほとんどないと言っていいでしょう。

8 もしセルモーターが故障してしまった場合の費用は部品交換に3〜5万円、工賃が3千〜1万5千円ほど

実際にセルモーターが故障してしまった際の修理費用はいくらくらいになるのかといえば、部品の交換費用は大体3〜5万円で、工賃が3千〜1万3千円ほどが相場。

新品の部品ではなくリビルド品であれば約1〜2万円で交換ができ、5千円程度の工賃で修理できる可能性もあるので都度確認しましょう。

交換の際は、なるべく質の良い物を選んでおきましょう。質の低いものだと故障までのサイクルが早まってしまい、結果的に余計な出費を招く可能性があるためです。そのため質の良いリビルド品を購入し、8千円くらいの工賃で新しいセルモーターを取り付けておければベター。

また、ディーラーよりも整備工場で修理をされた方が出費を抑えることができるケースが多いこともポイントです。

セルモーターが故障してしまった、不調を感じた際は必ず修理工場へ!

セルモーターが壊れてしまった場合は、必ず修理工場に相談してください。

前述のようにセルモーターを叩いて一時的に回復したように思えても、修理工場への相談をおすすめします。

一度止まってしまったかに思えたセルモーターが無事に動いたら、そのまま車で走って修理工場へ向かうのがベスト。

セルモーターはエンジン始動用のパーツであり、走行中に支障をきたすことは極めて稀だからです。

自力で直してからしばらくして走行中にエンジンが止まってしまい、結果的に状況が悪化してしまったり、余分に費用が発生してしまったりする可能性もあります。

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