2022年2月25日
タイミングベルトは10年が目安!交換のタイミングや仕組み、役割を知ろう
エンジンの正常な動きを助けるために活用されるタイミングベルト。
他のパーツ同様に寿命を迎えるとエンジントラブルに発展するため、適切なタイミングで交換を行う必要があります。
専門業者や普段から車いじりをしている方でない限りタイミングベルトに馴染みがないという方も多くいらっしゃいます。そのため、交換時期や判断方法がわからず放置してしまっているなんてことも珍しくありません。
そこで今回は、タイミングベルトの役割や位置、仕組みなどの基本的な内容から、交換のタイミングや費用に関しても触れていきます。
目次
1 タイミングベルトの役割や仕組み
まずはタイミングベルトの基本的なポイントを確認しておきましょう。
1-1 タイミングベルトの役割
タイミングベルトは、カムシャフトとクランクシャフトのタイミングを連動させる役割があります。
カムシャフトにはエンジンの回転運動の「吸気」と「排気」の工程でバルブを開閉する役割があります。一方のクランクシャフトはピストン動作から回転動作に変換させることが主な役割。
エンジンの規則的な回転運動「吸気」「圧縮」「燃焼」「排気」をベストなタイミングで繰り返す必要があります。このうち吸気と排気を担うカムシャフトの動作を支えているのが、タイミングベルトと繋がっているクランクシャフト。
カムシャフトとクランクシャフトのタイミングは、エンジンの回転運動における非常に重要なポイント。このタイミングがずれると、エンジンの故障に繋がってしまうことを覚えておきましょう。
1-2 タイミングベルトの仕組み
タイミングベルトはグラスファイバーやナイロンといった繊維のワイヤーが入っている、切れにくいゴム製のベルトです。
カムシャフト・クランクシャフトのプーリーと噛み合うための「コマ」という突起が内部についていることも特徴。
また各シャフトのプーリーだけでなく「オートテンショナー」「オイルポンプ」「ウォーターポンプ」など、エンジン内部の他のプーリーとも噛み合っています。
タイミングベルトがダメージを受けると、エンジンの大部分が停止するため非常に重要な部分。万が一タイミングベルトが切れるとその瞬間にカムシャフトとクランクシャフトのタイミングがずれるため、エンジンが停止してしまいます。
1-3 タイミングベルトの位置
「カムシャフトとクランクシャフトのタイミングを連動させる役割がある」と前述しました。そのためタイミングベルトは、エンジン内部にある「カムシャフト」と「クランクシャフト」を連結する位置にあります。カムシャフトやクランクシャフトと言われてもピンとこない方は、エンジンの側面に設置されていると覚えておきましょう。
タイミングベルトの設置場所にはベルトケースも設置されているため、エンジンルームから目視での確認はできません。ただし、エンジンの向きや駆動に関して知っておけば、大まかな位置が確認することができます。
前輪駆動車に多い横置きエンジンの場合は、エンジンの向かって左側。後輪駆動車に多い縦置きエンジンであればエンジンの直前に設置されています。
2 タイミングベルトの寿命は約10年(走行距離10万km)
タイミングベルトの寿命は車の使用頻度などによって異なりますが、およそ10年間、走行距離が10万kmになったタイミングを目安にしてください。
その他に悪路での負担が続いてしまう場合や、濡れた道路でベルト本体が濡れてしまうことも劣化が早まる可能性が高くなります。また冷却液が適切に管理されていないケースや、エンジンオイルの劣化もタイミングベルトを劣化させる原因になることを覚えておきましょう。
軽自動車と普通自動車でも劣化速度が異なります。そのためタイミングベルトの具体的な寿命を判断することは難しく、上記の劣化原因に注意することがポイント。
タイミングベルトの厄介なところは、異常に気づけるサインのようなものがないところです。
エンジンが停止する直前に異音が発生する場合もありますが、ほとんどは前触れもなく切れてしまいます。
そのため、前述した「走行距離10万キロ」などの数値を目安とするしかありません。もしくは、点検や車検の際にタイミングベルトを一緒に確認してもらい、交換が必要かどうかを判断してもらいましょう。
3 タイミングベルトが劣化する主な3つの原因
急発進、急加速、急停止といった負荷の大きい運転はタイミングベルトの劣化につながりますが、実は原因が他にあることも。
主に考えられるのは下記の3つのケースです。
3-1 エンジン内部への浸水
パッキンなど、エンジンのゴム部品が劣化していると雨天の走行時に水が浸入してしまいます。その浸水により劣化が発生する可能性も。
特に、冠水した道路の走行はエンジンが水に触れる可能性が高いため、旧車は特に注意が必要です。
3-2 エンジンオイルの劣化
エンジンオイルが古いまま運転を続けると、エンジンの動きが鈍化してきてしまいます。結果としてタイミングベルトへの負荷が大きくなり劣化に繋がる恐れも。
エンジンオイルは定期的な点検、交換を意識してください。
3-3 冷却液の不足による加熱
エンジンは動かすと熱を帯びるため、冷却液が必要です。しかし、冷却液が少ない状態では十分にエンジンが冷却されず、熱によってタイミングベルトのゴム劣化が加速してしまいます。
もしもオーバーヒートした覚えがあれば、その時タイミングベルトに大きな負荷がかかった可能性があります。一度点検に出すことをおすすめします。
4 タイミングベルトの交換を怠ると、エンジン損傷による修理費の増加に繋がる恐れも
タイミングベルトをずっと交換せずに寿命を迎えると、エンジンが停止してしまいます。
エンジン内部の損傷や破損の可能性も高くなってしまい、修理費が高騰してしまうかもしれません。
修理費用が上がるだけならまだいいのですが、もしも運転中にエンジンが停止してしまうと大事故が起きてしまうかもしれません。そうなると人命に関わります。
そのためタイミングベルトが寿命を迎える以前の交換が大切。
点検時に「タイミングベルトは大丈夫ですか?」など質問してみるのも効果的です。
5 タイミングベルトの交換方法
タイミングベルトは、以下の手順で交換ができます。
タイミングベルトを交換することは自分でも実施することができますが、専門的な技術が必要になる部分もあるので不安な方は業者に依頼することをおすすめします。
- 交換用のタイミングベルト、各所シール類、整備書などの用意
- バッテリーのマイナス端子を取り外す
- カバーを取り外し、タイミングベルトを露出させる
- タイミングベルトにオイルや水が付着していないか、ベルト自体が断裂していないか確認する
- オイルや水が付着している場合は漏れ止めを、切れている場合は次のステップに進む
- 各プーリーと旧タイミングベルトにマーキングし、位置ずれを防ぐ
- 旧タイミングベルトを取り外す
- 旧タイミングベルトのマークをもとに、新タイミングベルトの同じ位置にマーキングする
- クランクシャフトとカムシャフトを調整しながら、1番ピストンを圧縮上死点に合わせる
- 9の状態を維持しながら、マーキングを頼りに新タイミングベルトを取り付ける
- 手で4回~5回ほど回転させて、干渉がないか確認する
- 異常がなければ取り付け完了
実はこの作業、ギア1コマの狂いもなく設置する必要があります。
さらにエンジン周りの部品に触れることも多いため、余程慣れていない限りは交換時のリスクを考えると業者へ依頼するのが最も安全です。
私たちヴァ・ベーネでも国土交通省認証の自社工場を完備しているので車の点検や車検なども対応可能です。もし心配な場合はお気軽にご連絡ください。
6 タイミングベルトを交換する際にかかる費用
タイミングベルトの交換を依頼する場合は、ベルト本体の費用と工賃がかかることが一般的です。
ベルト本体は5,000円程度で購入できるものの、工賃に30,000〜50,000円程かかる場合があるため、決して安い金額では交換できません。
また、タイミングベルト自体が断裂してしまっている場合、他のエンジン部品も大きなダメージを受けている可能性があります。そのようなケースの場合は8万円~40万円ほどかかってしまうこともあります。
タイミングベルトを交換するにはエンジン周りを解体する必要があるため、他の箇所を整備するよりコストがかかってしまうことを覚えておきましょう。
またタイミングベルトを交換する際に、ファンベルトや各シャフトのオイルシールなど関連するパーツの交換が必要なこともあります。
当然ながら関連部品を交換するのであれば、その分費用もかかることを覚えておきましょう。
交換コストを考えたときには10年目の節目で廃車や買取依頼の検討もあり
タイミングベルトの平均寿命10年(走行距離10万km)という数字は、修理部品や修理費用が増える時期でもあります。さらに数年後には自動車税や自動車重量税の重課が始まるため、車にとって一つの節目と言われています。
タイミングベルトの交換に大きな費用がかかってしまうのであれば、その車を下取りに出して新しい車を購入するというのも選択肢として考えられます。
そのまま乗り続けるにせよ新しいパートナーを探すにせよ、カーライフを見直す時期であることに変わりはありません。
タイミングベルト交換の時期が近い方は、今後のことも含めて検討してみてください。もちろん弊社へのご相談も大歓迎です。