2021年3月26日
スペシャリティカーとして名を馳せたトヨタのソアラシリーズを紐解く
トヨタのスペシャリティカーとして名を馳せた「ソアラ」。多くのファンを魅了したシリーズであり、現在でも人気が高く中古市場では高値で取引されています。
ソアラシリーズは24年間の歴史の中で4世代に渡り、世界レベルで通用する車種を目指した一台。これによりリリースされた歴代車種は、それまで日本車にはなかった高級かつ高性能車として注目を集めました。
今回はソアラシリーズの変遷を振り返りながら、歴代車種を紹介していきます。
目次
1 スペシャリティカーとして名を馳せたソアラとは
ソアラは1981年に初代が誕生し、2005年にまで続いたモデル。トヨタがリリースしているモデルで高級クーペです。世界レベルで通用するヨーロッパの高級GTカーを目標に開発されました。
車名の由来は最上級グライダーを意味する「soarer」に由来しています。その他にも「メキラ」や「フェニックス」などが検討されていたんだとか。
ソアラは、常に時代をリードする先進技術を搭載していることも特徴の一つ。ラグジュアリーなインテリアや、スタビリティの高いダイナミックな走行性能を実現しているスペシャリティクーペ。
24年続いたシリーズですが常に注目され、多くのファンが存在している人気の高いモデルです。
2 トヨタの技術を集結させ完成せた「初代ソアラZ10型」
1981年初リリース時のキャッチコピーは「未体験ゾーンへ」「SUPER GRAN TURISMO」。
当時のトヨタの技術を集結させ完成した一台で、それまで日本車にはなかった高級かつ高性能車として話題となりました。それまで高級車では重要視されていなかった高速走行性能をポイントに、設計されたモデルでもあります。
ボディタイプは2ドアクーペのみをラインナップ。エンジンはDOHC6気筒を搭載し、当時の国産車の中でも最高レベルの170psを発生する程。そのパワーは凄まじく、ロードテストでの最高速度は202km/hをマーク。これは200km/hを超えた国産車として初めての一台でもあります。
トップグレードの2800GTエクストラの外装はミシュランXVSを装備し、フェンダーミラーを装備していました。
内装は実にゴージャスで日本初となるエア式のランバーサポートを装備。その仕組みは背もたれの腰の部分に横3列のエアバッグが内蔵されており、シートの間にあるエアポンプで空気を満たします。その後シート横にあるスイッチで、好みの張り具合まで減圧する仕組み。
その他にも目を引くインパネ周りや、灰皿の上にはタッチ操作式のマイコン制御式オートエアコンのパネルが装着されていました。
提供をスタートした年に日本カーオブザイヤーを受賞するなど華々しくデビューした一台。初代ソアラの新車登録販売台数は約8万台を記録しています。
3 高い居住性と乗降性に優れたインテリアが特徴の「2代目ソアラZ20型」
1986年に提供を開始したのが2代目ソアラ。「世界にひとつ、日本にソアラ」「SUPER GRAN TURISMO」をキャッチコピーに発売されました。
外観は先代のスタイルを継承。曲線を巧みに取り入れ、空力特性に磨きをかけた安定感のあるボディデザインを採用しています。
内装も充実しており、ソファのように乗り心地の良いラグジュアリーシート。後部座席の乗り降りの際に「イージーアクセスドア」など、厳選された高級素材を使用していることも魅力の一つ。高い居住性と乗降性に優れたインテリアが特徴です。
ボディタイプは2ドアクーペと2ドアオープンの2種類。グレードは下から「VZ」「VX」「2.0GT」「2.0GTツインターボ」「3.0GT」「3.0GTリミテッド」の6つ。
パワーユニットは以下のように、性格の異なる4種類を用意しています。
・2.0L直列6気筒OHCエンジン:ベーシックでありながらも優れた経済性と、扱いやすさに定評のあるエンジン
・2.0L直列6気筒DOHCエンジン:軽快な動力性能が魅力
・2.0L直列6気筒ツインターボDOHCエンジン:ダイナミックな走行性能が特徴
・3.0L直列6気筒インタークーラー付DOHCターボエンジン:トルクを低い回転域から広く感じ取れる、優れた動力性能を発揮するエンジン
どれもスペシャリティクーペに相応しい、スポーティな走行を実現してくるエンジンです。
またソアラらしい4輪ダブルウィッシュボーン式サスペンションを採用していることも特徴の一つ。どのような状況でも、フラットで重厚感のある乗り心地を誇る電子制御式エアサスペンション。その他にも電子制御サスペンションTEMSが設定されています。
これにより質の高い走行安定性能を実現し、発売から約5年で販売台数を30万台以上を記録する程。現在でもファンが多く、中古市場では高値で取引されている一台です。
4 高い走行性能と先進の安全性能を備えた「3代目ソアラZ30型」
3代目ソアラは1991年に誕生したモデルで、先代より外観が丸みを帯びたスタイルを採用。これによりイメージを一新した一台でもあります。しかしながらインテリアやパワートレインは引き続き、スペシャリティクーぺらしい充実した装備が特徴。
ボディタイプは先代では用意されていた2ドアオープンが外され、2ドアクーペのみラインナップ。
インテリアは先進的なインテリアデザインを採用した先代モデルから、洗練された落ち着きのある上品な仕様へと変更。贅沢に天然皮革を使用した本革シートや、乗車した方だけが感じられる静粛性の高いモダンリビングをイメージさせる上質な室内空間が魅力です。ドライバーがストレスを感じにくいコックピットデザインを採用しており、機能性も重視していることもメリットの一つ。
また世界初の採用となる後部座席へのアクセスを容易にする、パワーウォークイン機構付助手席シートを採用。その他にもクリアで立体的に聴こえるソアラスーパーライブサウンドシステムや、オートドライブの装備など充実した一台です。
エンジンは「2.5L直列6気筒ツインターボエンジン」「3.0L直列6気筒自然吸気エンジン」「4.0L V型8気筒自然吸気エンジン」の3タイプ。
3代目ソアラは安全性能を備えていることも特徴の一つ。後退時の安全確認をアシストするバックモニターや、超音波雨滴除去付ドアミラーを装備。車の高い安定性を実現する電子制御スロットルシステムの採用など、先進の安全性能を備えています。
販売期間はおよそ10年程度で販売台数は5万台を記録した一台です。
5 内外装の質感がさらに向上した「4代目ソアラZ40型」
2001年にリリースされたのがソアラの最終モデルでもある4代目ソアラ。
ボディタイプは電動格納式ハードトップ仕様の、2ドアコンパーチブルのみをラインナップ。フロントデザインはモダンな印象に変更された一台です。
それまでのモデル同様に、その乗り心地は快適でサスペンションの優れた収束性によりフラットな乗り心地を実現しています。またオプション設定ではあったものの、タイヤはトヨタの量産車としては初めてのランフラットタイヤを採用。これはパンクした後でも100 km程度の走行であれば可能なタイヤのことで、多くのファンから注目を集めました。
インテリア部分も充実しており、シートは革シートと木目パネルを標準装備。そのカラーリングは3パターンの木目色と、4つのカラーのシート地が設定されていました。
エンジンはシリーズ最大のパワーを誇る4300ccのV型8気筒エンジンを搭載。
このように内外装の質を向上しましたが、販売価格は先代の約2倍まで上昇しています。販売台数は4年間で6千台程度。2005年に惜しまれつつも24年の歴史に幕を閉じた、ソアラシリーズの最後のモデルです。
まとめ
今回は昭和の名車として現在でも人気を集めているソアラについて紹介してきました。
世界レベルで通用するヨーロッパの高級GTカーを目標に開発された一台で、トヨタの技術を集結させ完成したモデル。それまで日本車にはなかった高級かつ高性能車として、上質な内外装が特徴です。
常に時代をリードしてきたソアラ、機会があれば是非体験してみてくださいね。