2024年10月4日
ドラムブレーキの構造や仕組みについて|ディスクブレーキとの違いは?
皆さんは、ドラムブレーキについてご存知でしょうか。
ドラムブレーキとは、車輪とともに回転するブレーキドラムにブレーキシューを押し付けることで制動力を得るブレーキの仕組みのことです。
現在ではディスクブレーキが主流となり、採用するモデルもごくわずかなことから、その存在を知らない方も多いはず。
しかしながら、1950年代ごろまでは自動車のブレーキの主流とされており、さまざまなモデルで採用されていました。
今回はそんなドラムブレーキの構造や仕組みについてお伝えします。
目次
1 ドラムブレーキとは?
そもそもドラムブレーキとは、車輪とともに回転する円筒形状の部品(ブレーキドラム)の内側に摩擦材(ブレーキシュー、ブレーキライニング)を押し付けることで、制動(減速・停止)させるブレーキシステムのこと。
ドラムブレーキは、シューをドラムの内側に押しつけた際に発生する摩擦力によって、運動エネルギーを熱エネルギーに変換することで制動力を得ます。
そんなドラムブレーキには、ドラム外側からシューを押しつける「外部収縮式」と、内側から押しつける「内部拡張式」、外側と内側の側から押しつける「内外接式」の3種類があります。
主に自動車に装備されているのは、内側からシューを押しつける内部拡張式です。
ディスクブレーキとは頻繁に比較されていますが、ブレーキライニングにより大きな力を加えることができるドラムブレーキの場合、その制動力はディスクブレーキに勝ります。
しかしながら、放熱性の点では劣り、ブレーキが熱をもちやすいのが特徴です。
2 ドラムブレーキの構造
ドラムブレーキの中でも、自動車で採用されているのは内部拡張式です。
内部拡張式では、ブレーキライニングを張ったブレーキシューを車輪とともに回転するブレーキドラムの内側にピストンで押しつけてブレーキドラムの回転を止め、それにより車両を減速・停止させます。
そしてドラムブレーキは、ブレーキシューの配置にさまざまな方式があるのがポイント。
進行方向に対する摺動面(回転方向)がトゥからヒールへ向かう配置のシューをリーディングシュー、その反対はトレーリングシューと呼ばれています。
そのブレーキシューを押しつける構造の違いによって、主に以下の5種類の方式が存在します。
- リーディングトレーリング
リーディングシューとトレーリングシューを対に配置した方式。シューを1つの機構で作動でき、ドラムブレーキの基本となる方式です。 - ツーリーディング
リーディングシューを2つ組み込み、シューを動作させる機構がそれぞれのシューに1つずつ組み合わされた方式。前進では大きな制動力が得られる反面、後進時の制動力が低い特徴を持ちます。 - ユニサーボ
ツー・リーディングを1つの動作機構で動作させる方式。2つのシューは互いに向き合う端が連結され、1つ目のリーディングシューの他端が動作機構によって動作します。一方、2つ目のシューの他端は回転可能に支持され、連結する1つ目のシューによって動作します。 - デュアルツーリーディング
両口ホイールシリンダーを2つ配置し、それぞれが2つのシューの一端を動作させる方式。それぞれのシューは両端が押され、前・後進どちらにもツー・リーディングとして働きます。大型車の後輪に採用されることが多い方式です。 - デュオサーボ
1つの動作機構により2つのリーディングシューを動作させる方式。主に貨物車やバスをはじめとした、大きな制動力を必要とする車両に用いられます。
3 ドラムブレーキが作動する仕組み
自動車では足元のブレーキペダルを踏んだ力が、ブレーキブースターによって増幅され、マスターシリンダーによって油圧に変換。
その圧力がブレーキフルードで満たされた配管を通して、4つの車輪に装着されたブレーキ内のピストンを押す力として伝わります。
ピストンは、ブレーキシューを車輪とともに回転するブレーキドラムの内側に押しつけ、それによって生じる摩擦で運動エネルギーを熱エネルギーに変換し、制動力を得ます。
この一連の流れが自動車がドラムブレーキによって減速・停止する仕組みです。
4 ドラムブレーキとディスクブレーキは何が違うの?
ドラムブレーキとディスクブレーキの違いは、ブレーキをかける際の構造にあります。
ドラムブレーキは、シューをドラムに押しつけた際に発生する摩擦力によって制動力を得ます。
その特徴は、構造が簡単で低コストな点。しかしながら、放熱性が悪いというデメリットがあります。
一方、ディスクブレーキは、ブレーキキャリパーに組み込まれたブレーキパッドを車輪とともに回転するディスクローターに両側から押しつけることによって制動力を得ます。
その特徴は、安定した制動力が確保できる点と、水分や汚れをはじきやすい点、放熱性に優れている点の3つです。
そのため、強く安定した制動力が求められる高級車やスポーツカーには、前・後輪にディスクブレーキを採用したモデルが多く存在します。
ドラムブレーキからディスクブレーキへ
1950年代以前は、自動車のブレーキの主流はドラムブレーキでした。
しかしながら、1960年代になると高速道路が開通。それに合わせて自動車の高速化が進みました。すると、既存のドラムブレーキでは放熱性の悪さを要因としたブレーキトラブルが問題視されるようになりはじめました。
そのため、1960年代ごろからは、放熱性に優れたディスクブレーキを採用するモデルが増えたのです。
現在でも小型車にドラムブレーキが採用されることはありますが、1960年代以降の自動車のブレーキの主流は、ディスクブレーキとされています。
このような経緯から、今ではあまりドラムブレーキを採用したモデルは見られなくなりました。
自動車の制動を支えるブレーキの仕組みを知ることで、運転の安全性を再確認できるのではないでしょうか。
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