2024年10月11日
車のインジェクターとは?種類や仕組みなどの基本情報から洗浄方法までご紹介!
車のインジェクターは、ガソリンと空気を混ぜることにより、効率よくエンジンにガソリンを供給する装置のこと。
エンジンへの燃料供給はもちろんのこと、車の始動にも関わる重要なパーツです。エンジンの不調時などは、インジェクターが原因となっているケースも少なくありません。
今回は、その役割からキャブレターとの違い、種類や仕組み、よくあるトラブルと対処法まで、インジェクターについてお伝えします。
目次
1 インジェクターとは
そもそも、車やバイクに搭載されたエンジンは、空気とガソリンを混ぜた混合気を燃料として駆動する仕組みです。
そして、エンジンを動かすためには、燃料を安定して供給する必要があります。インジェクターは、自動車やバイクのエンジン内で燃料を気化して噴射する装置のことです。
また、エンジン内の空気量に合わせ、供給する燃料の量を調節する電子制御燃料噴射システム全体を指してインジェクターと呼ぶこともあります。
そんなインジェクターは一般的に、ポート噴射式と直噴式の2種類。
軽油を燃料とするディーゼルエンジンではほとんどの場合、高噴射圧の直噴式インジェクターが採用されています。
直噴式インジェクターでは、電子制御によりエンジン気筒内に挿入されたインジェクターの先端部から直接、霧状の燃料が燃焼室内部に噴射されます。
2 インジェクターの役割
インジェクターは、電子制御によって最適なエンジンの状況を解析し、噴霧量や噴霧のタイミングを制御。それに基づいて燃料噴霧を調整し、最適な燃料を供給します。
そもそも、自動車のエンジンに広く用いられているのは、4つの仕事を1サイクルで行う、4ストロークエンジンです。
4ストロークエンジンのそれぞれの働きは以下の通り。
- 吸入
ピストンにより吸入バルブが開き、空気とガソリンを混ぜた混合気がシリンダーに吸入される。 - 圧縮
バルブを閉じ、ピストンを押し上げることで混合気を圧縮する。 - 燃焼
圧縮した混合気にスパークプラグで火花を飛ばすことで混合気を燃焼させ、ピストンを押し下げる。 - 排気
排気バルブを開け、ピストンを押し上げることで燃焼後にシリンダー内に発生したガスを排気する。
この4つのうち、吸入の段階で燃料を噴霧するのがインジェクターです。
3 インジェクターとキャブレターの違い
ガソリン車のエンジンをはじめとした内燃機関の燃料供給には、以前はエンジンに入る空気量に合わせて燃料を供給するキャブレターが用いられていました。
一方、現在の主流とされるインジェクターは、エンジンが取り込む空気量をセンサーで測定し、コンピュータが最適な燃料量を割り出すことで適切な燃料を供給する仕組みです。
この電子制御のインジェクターが登場したことにより、気候などの環境から影響を受けず、確実に車のエンジンを始動させ、安定した走行性能の確保が可能となりました。
そして、インジェクターによる最適な燃料供給は、燃焼効率の向上にもつながります。
そのため、インジェクターはエンジンの始動性能だけでなく、車の燃費性能や環境性能の向上にも大きく貢献したと言えます。
4 インジェクターの仕組みと種類
インジェクターは、燃料を噴霧する役割を担います。
そして、ガソリン車の燃料となるガソリンと、ディーゼル車の燃料となる軽油は、燃焼特性が異なるのがポイントです。
そのため、ガソリン車とディーゼル車、それぞれの特徴によって2つの種類のインジェクターが存在します。
本項では、ガソリン車に用いられるポート噴射式と、ディーゼル車に用いられる気筒内直接噴射式(直噴)の2種類のインジェクターのそれぞれの仕組みについてお伝えします。
4-1 ポート噴射式
ガソリンを燃料とするガソリン車には、ポート噴射式のインジェクターが用いられます。
ポート噴射式インジェクターは、4ストロークエンジンの4つの工程の中でも最初の吸入の段階でエンジンポート内にガソリンを噴射し、空気を混ぜた混合気を作ります。
その圧縮された混合気に、スパークプラグで火花が飛ばされることで混合気が燃焼し、エンジンを始動させます。
4-2 気筒内直接噴射式(直噴式)
軽油を燃料とするディーゼル車には、気筒内直接噴射式のインジェクターが用いられます。
軽油を燃料とするディーゼルエンジンでは、ガソリンの場合とは異なり、吸入時には空気のみが吸入されるのがポイント。軽油はインジェクターにより、直接エンジンのシリンダー内に噴霧されます。
そして、ディーゼル車のエンジン内の空気圧縮は、ガソリン車のエンジンの1.5~2倍ほどの高圧縮。ディーゼルエンジンが重たいとされているのは、この圧縮比に耐え得る耐久性を要するためです。
高圧縮の空気は500~800℃の高温となり、燃料が噴霧されるとシリンダー内で自然発火が起こります。ディーゼル車にスパークプラグがない原因は、このように点火が不要なことが原因です。
また、一部モデルでは、ガソリンエンジンでも直噴方式を採用したモデルも存在します。
5 インジェクターのトラブルとその対処法
車にとって重要な役割を担うインジェクターは、エンジンが駆動している間は、常に高圧縮、高温の厳しい環境で作動しています。
そのため、インジェクターは時間と共に次第に消耗するのがポイントです。
さらに、燃料の燃焼によるカーボンやスラッジ、ワニスなどにより、目詰まりを起こすことも。長期間放置された車両の場合だと、これらの汚れが固着し、エンジンの始動不良を引き起こすケースも多々見られます。
そうならないためにも、インジェクターの定期的な洗浄をおすすめします。
5-1 燃料添加剤や洗浄剤を使った洗浄方法
インジェクタークリーナーや洗浄効果のある燃料添加剤を燃料タンクに注入することで、インジェクターの洗浄が可能です。
クリーナーや添加剤はカー用品店などで購入することができます。インジェクタークリーナーや添加剤は、車種やディーゼル車・ガソリン車などによって複数の種類が存在するため、愛車に適したものを購入しましょう。
洗浄方法は、給油口から洗浄剤を入れるだけ。最も簡単にインジェクターの洗浄ができる方法です。
しかしながらクリーナーは、燃料タンクに入れて使用することから、ガソリンで薄待ってしまうため、定期的に使用しないと効果がわかりづらいのが特徴です。
5-2 インジェクターを取り外して洗浄する方法
インジェクター自体を取り外して洗浄する方法は、インジェクタークリーナーや添加剤を利用するよりも汚れを落としやすいのが特徴です。
一方、手間がかかるのはもちろんのこと、作業が1日で終わらないこともあるのがデメリットと言えるでしょう。
インジェクターを取り外して洗浄する手順は以下の通り。
- タンクから燃料を抜く
- インジェクター周辺の部品を取り外す
- インジェクターを取り外して洗浄する
- インジェクターと周辺の部品を再び取り付ける
- 燃料を入れ直す
インジェクターを交換する際も、同様の手順で付け替え可能です。
ただし、この作業は手間がかかるうえ、簡単には行えない作業なため、プロに依頼することをお勧めします。
ヴァ・ベーネでは、インジェクターの洗浄・交換はもちろんのこと、修理やメンテナンス、車検まで、どんな修理や整備でも柔軟に対応可能です。
車に関してお困りのことがあれば、こちらの修理・整備依頼フォームよりお気軽にご相談ください。
5-3 インジェクターの交換時期
前述の通り、インジェクターは消耗する部品です。
交換の目安は、新車購入時から約10万km走行、もしくは10年程度とされています。
ただし、これはあくまでも目安なため、エンジンの始動性能が低下したなどの場合は、早く交換する必要があります。
エンジンの燃料供給を支えるインジェクター
今回は、車のインジェクターについてお伝えしました。
インジェクターとは、エンジンにガソリンもしくは軽油を供給する装置、もしくはエンジンに供給する燃料の量を調節する電子制御燃料噴射システム全体のことを指します。
そんなインジェクターは、ガソリン車とディーゼル車で異なるのがポイント。一般的に、ガソリン車ではポート噴射式、ディーゼル車では気筒内直接噴射式(直噴式)が採用されています。
そして、インジェクターは消耗品です。さらに、燃料の燃焼によるカーボンやスラッジ、ワニスなどにより、目詰まりを起こすこともあるため、燃料添加剤や洗浄剤を使った洗浄方法で定期的に洗浄することをおすすめします。
正しくお手入れすることで、大事な愛車とより長く付き合って行けるのではないでしょうか。
WEBでカンタン無料査定!
旧車の買取なら、ヴァ・ベーネにお任せ!
業歴35年は信頼の証!お急ぎの方はお電話でも承っております。