2022年6月16日
ドレスアップの王道「ツライチ」とは?メリット・デメリットや車検時の注意点まで
シャコタンと並び車のドレスアップにおける王道スタイルとして知られている、ツライチ。カーフリークであれば、一度は試してみたいと考える方もきっと多いはず。
タイヤホイールとボディの面が揃った状態に調整することで、外観の迫力が増すのがツライチの大きな魅力。
ただしルックスだけでなく「走行時の安全性」にも関係してくるため、しっかりと基本を押さえた上でセッティングを行うことが大切です。
ツライチのメリット・デメリットを中心に、気になる車検時の注意点に至るまで詳しく解説します。
目次
1 ドレスアップの王道「ツライチ」
「ツライチ」とは、簡単に言ってしまうと「車のホイールとボディ(フェンダー)の面が揃った状態」にするためのドレスアップ手法のこと。ヘラフラッシュと呼ばれることもあります。
シャコタン(車高短)と並ぶ、ドレスアップ手法の王道です。
元は建築用語で「2つの面の間に段差が無くシームレスな状態」になっていることを「面一(ツライチ)」と呼んでいたものが、いつしか「ホイールとボディの面を揃える」という意味のドレスアップ用語としても用いられるようになりました。
純正のセッティングよりも外観の迫力が増す上に、コーナリング時のグリップ力アップといった走行性能面のメリットもあります。
2 ツライチはどんなメリットがあるのか?
2-1 ワイルドで迫力のあるルックスが手に入る
ツライチの最大の魅力は、何と言ってもワイルドで迫力のあるルックスです。
純正の場合、ホイール面はボディあるいはフェンダーよりも凹んでいるのが一般的です。しかしながら、このホイール面の凹みがどうしても小ぢんまりと見えてしまうこともよくあります。
一方でツライチの場合、ホイール面はフェンダーとほぼ同じか僅かに内側の位置になるよう、タイヤやホイールのサイズで調整を行います。これによりホイールとボディに一体感が生まれ、ホイールの存在感もグッと際立つわけです。
これは車好きの間におけるある種の通念のようなものかもしれませんが「車のホイールとボディ面は揃っているほど格好良い」という考え方が幅を利かせているのも事実です。
※もちろん感性は人によって異なるため中には「ツライチの雰囲気が苦手」という方も当然いらっしゃいます。
2-2 ワイドトレッドによる走行安定性の向上
ツライチにするということは、車体のトレッドが広がることを意味します。
ちなみにトレッドとは、左右のタイヤ接地面の中心間の距離のこと。この距離が広い状態のことを「ワイドトレッド」と呼び、コーナリング時にグリップが効きやすくなるなど特定のシーンにおける走行安定性の向上が期待できます。
ただし、こうした走行性能面のメリットよりも「ルックスの格好良さ」を求めてチューニングするケースの方が大多数。シンプルに走行安定性の向上を目指すのであれば、高性能タイヤに交換する等ほかにも手段は沢山あるからです。
トレッドの広がりによる走行安定性の向上は、あくまで副次的なメリットとして考えておいた方が良いでしょう。
3 ツライチのデメリット
前述した通りツライチは、どちらかというと「ルックス」重視のドレスアップ手法です。性能よりも格好良さを追求する手法のため、以下のようなデメリットも覚悟したほうが良いでしょう。
【ツライチによって発生するデメリットの例】
- 泥や小石がボディ(サイドスカートやリアバンパー)に直接あたって傷や汚れが付きやすくなる
- ホイールが太くなることでハンドル操作が重くなりコントロール性能に影響を及ぼすこともある
- ギリギリを攻めすぎると走行時にフェンダーを巻き込んでしまう可能性もある
- タイヤの幅を広くした場合は地面の凹凸を拾いやすくなる
- セッティング方法次第では車検に通らない可能性もある
実は純正車のタイヤがフェンダーよりも内側に位置するのは、車検における保安基準を厳守しているから。ツライチはいわば、車検における保安基準の思想とは逆のドレスアップ手法と言えるでしょう。
そのため、胸を張って公道を走るためには「合法な」ツライチに仕上げる必要があります。
4 車検を通す「合法」なツライチに仕上げるために
車検を通すためには「保安基準」と呼ばれる基準を満たす必要があります。中でもツライチに仕上げた車が引っかかりやすい代表的な項目を2つピックアップしてみました。
4-1 「前側に30°、後側に50°」の大原則
「ホイールの前側に30°、後側に50°がフェンダー内に収まっていること」、これは「合法」なツライチに仕上げるにあたって必ず守るべきルールの1つです。このルールは、突出禁止規定とも呼ばれています。
「前側に30°、後側に50°」と言われてもイメージしづらい方は、画像をご覧ください。
まずホイールの中心から地面と垂直になるよう真上に向かって線を引きます。
この線を基軸にフロント側(画像向かって右側)に30°、リア側(画像向かって左側)に50°、この範囲がフェンダーからはみ出ないように気をつければ良いわけです。
ちなみに「タイヤ」に関しては、外側方向への突出量が10mm未満に抑えられていれば問題ありません。逆にホイールやナットなどは1mmであってもはみ出しNGなので気をつける必要があります。
厳格なルールのように思えるかもしれません。しかし、本来フェンダーによって弾かれるはずだった小石等がツライチによって歩行者に当たってしまう可能性を考えれば、このルールの厳しさも納得です。
4-2 タイヤ外径の変化に伴うスピードメーター誤差にも注意
ツライチに仕上げた車の車検時に意外な落とし穴となるのが、タイヤ外径の変化によって生じるスピードメーターの誤差です。
実は、車に装備されているスピードセンサーはタイヤの回転から速度を計算する仕組みになっています。
強気の「攻めた」ツライチによってタイヤの外径が大きくなると、1回転の外周も長くなるため、スピードメーターに表示されている数値と実際のスピードに誤差が生じ始めるわけです。このスピードメーターの誤差が大きくなると、車検に通らなくなる可能性が高まります。
とはいえ、余程純正から逸脱したサイズのタイヤを装着さえしなければ、車検を通過できないほどの誤差が発生することもないので基本的には心配しなくて良いでしょう。(※概ね上下合わせて10km/h以内の誤差であれば問題ないと言われています。)
もちろんスピードメーターの表示は正しい数値であることに越したことはありません。走行安全性の観点からも、あまりに”キワを攻めたツライチ”を求めない方が無難です。
5 車によって変わる「セッティング」も醍醐味
5-1 どのホイールにどんなタイヤを履かせるか考える
ツライチに仕上げる際考慮すべき要素はたくさんありますが、最も大切なのはホイールとタイヤ選びです。
どのホイールにどんなタイヤを履かせるか、これをしっかりと考える必要があります。慣れるまでが非常に大変ですが、この手間もまたツライチにおける醍醐味の1つと言えるでしょう。
まずは、純正の状態よりも少しだけ外に出す位の感覚からスタートしてみましょう。いきなりギリギリを攻めるのは、あまりおすすめできません。大切なのはスタイルの良さと走行性能のバランス。走りやすさとルックスがトレードオフにならない程度のラインを見極めることが重要です。
好みのツライチに仕上げるには、ホイールのオフセット計算をはじめ、他にもサスペンション、フェンダー、インナーの形状、タイヤの引っ張り具合、ホイールの前後バランス等々考慮すべき要素は多岐にわたります。
車検とも関わってくるため、理想のツライチに仕上げたい方はメカニックマンのいる専門店に依頼するのがベストと言えるでしょう。
5-2 細かな調整は「ホイールスペーサー」でも可能
ツライチにピッタリのホイールとタイヤを探すのは骨が折れます。
なんとかホイールとタイヤを手に入れて装着してみたはものの「理想のツライチまであと数mm足りない」なんてことも。
そんな時は、ホイールスペーサーと呼ばれる専用の器具を用いることで微調整を行うと良いでしょう。ホイールスペーサーはハブボルトを通った車輪の中心部にあるハブとホイールの間に挟み込むだけで、比較的簡単に装着が可能。
挟み込んだ分のスペーサー厚みの分だけ、ホイールを外側へオフセットできます。
3mm〜5mmが一般的ですが、10mm〜の調整にも使える「ワイドトレッドスペーサー」といった製品も用意されています。理想のツラに必要な厚みのスペーサーを選ぶと良いでしょう。
「スペーサーを使わずに調整してこそツライチ」だなんて言われることもありますが全く気にする必要はありません。
6 ツライチのドレスアップ費用はどれくらいかかる?
どのパーツをどのくらい調整するのかによって金額が変動します。
スペーサーの取り付けで済ませるのか、タイヤとホイールのサイズで調整するのか、それともサスペンションを始めとした複数の部品を総合的に調整してバランスを取るのか、セッティング方法は幾通りも考えられるからです。
こうしたバランスの調整を自力で行うのは非常に大変です。可能な限り専門店のプロフェッショナルに依頼することをおすすめします。愛車の詳細情報を添えた上でツライチにしたいという旨の要望を伝えれば、適合サイズのスペーサー、ホイール、タイヤなどを提案してもらえるはずです。
自力で調整する方法もありますが、相当の知識と経験が必要です。車検や安全性の面を考慮するとプロに依頼した方が結果としてコスパが高いと言えるでしょう。
基本を押さえて自分好みのドレスアップを
ツライチは、マイカーの雰囲気をグッとクラスアップしてくれる素敵なドレスアップ手法の1つです。
ただし、セッティング方法次第では走行性能を損ねてしまったり、車検に通らなくなってしまうこともあるため注意しましょう。
タイヤ、ホイールの前後のバランス、サスペンション、フェンダー、インナーの形状等々さまざまな要素のバランスを見ながらセッティングするのも、ツライチの魅力です。車検における保安基準をしっかりと満たした上で、スタイルと安全性を両立した素敵なドレスアップを楽しんでみてください。
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