2023年3月6日
車のバッテリーの寿命を判断するための3つのポイント
車の消耗部品の中で、バッテリーは身近な部品。バッテリーは消耗品なので定期的に交換が必要です。
突然バッテリーに不具合が生じてしまうこともあり、そうなるとトラブルの原因となってしまうかもしれません。
しかしバッテリーの寿命は車の使用状況によって変化するため、いつ寿命が訪れるのか判断がつきません。
今回は車のバッテリー寿命をどのように判断するのかを考えていきましょう。
目次
1 バッテリーの寿命を軽視するのは危険
バッテリーは使用状況が良好であれば平均寿命よりも長く使用することもできます。しかし「まだ交換しなくても大丈夫だろう」と軽く考えてしまうと思わぬトラブルに巻き込まれてしまうかもしれません。
バッテリーは放電充電を繰り返すことで「バッテリー内部に電気を通さない白い結晶」を生成します。「サルフェーション現象」と呼ばれますが、この作用によって劣化したバッテリーが元の状態に戻ることはありません。
劣化が進みバッテリーが寿命を迎えると、電飾・電装品・電子機器が突然動かなくなる可能性も。
急いでいる日、遠出した日、深夜帯などにバッテリーが寿命を迎えてしまうと非常に厄介です。バッテリーの寿命はこまめに気にしてあげてくださいね。
2 バッテリーの寿命は平均すると2~5年ほど
バッテリーの寿命は車種や乗り方などによって変化します。そのため、必ずしも2~5年で寿命を迎えるとは限りません。
各車種の平均的な寿命は下の表を参考にしてみてください。
車種 | 寿命 | 概要 |
---|---|---|
一般的な車 | 2~5年 | 一般的なガソリン車は寿命の幅が広め。こまめな配慮やメンテナンスが必要。 |
アイドリングストップ搭載車 | 2~3年 | 停止・再始動を繰り返すため、バッテリーへの負荷が大きく寿命が短い傾向に。メーカー保証も1年半程度と短期間のものが多い。 |
ハイブリッド車 | 4~5年 | 駆動バッテリーと補機バッテリーの2つを備えている。駆動バッテリーの保証期間は約5年と長め。 |
3 バッテリーの一般的な交換頻度は10年で3〜4回ほど
バッテリーの一般的な交換頻度は、おおよそ10年に3~4回。
車検の時期にあたる2~3年に1回のタイミングで交換する方が多いはず。ただしバッテリーの交換タイミングは乗り方次第。
半年に1度のペースで交換する方もいれば、10年間1度も交換せずに乗り続けられる方も稀にいるため、おおよそ10年に3~4回という頻度はあくまで参考程度に考えてください。
特に車検の際は安全性や交換・点検のタイミングなどなどの観点から、まだ寿命に若干余裕があると判断された状態でも交換を推奨することもあります。
できれば2年ごとに交換し、バッテリーの劣化によるリスクを大幅に下げながら運転しましょう。
4 バッテリーの寿命を判断する3つの項目
バッテリーの寿命は、
- 電圧
- 電流値
- 比重
の点検結果で判断します。
もちろんセルフ点検も可能ですが、計測に必要な専用機材を用意する必要があります。そのため町の車屋さんやディーラー、ガソリンスタンドなどに依頼するのがおすすめです。
無料で測定してもらえるところが多いので、気になったタイミングで声をかけてみてください。
4-1 バッテリーの電圧
普通車の場合、バッテリーの正常数値は12.5V~13V未満。
11.5V~12Vであればバッテリーのパフォーマンスが落ちていると判断できます。対して、11.5V未満になるとバッテリー上がりの危険性が。
目安として12V未満になった時点で、バッテリー交換を検討し始めてください。
ただし、劣化しているバッテリーであっても充電状態が長ければ、表面上は電圧が維持されることも。そのため一時的に正常数値が出るケースがあります。この場合、電気を通す(負荷をかける)と数値が急降下するので注意が必要でしょう。
4-2 バッテリーの電流値
バッテリーの電流値は「現時点でエンジンをかける力がどれほどあるか」を測定する項目。
CCA(コールド・クランキング・アンペア)とも呼ばれます。
電圧とは異なりバッテリーの劣化具合の判断をすることはできませんが、バッテリーの現状を正確に把握できるため、交換時期の見極めに有効です。
4-3 バッテリーの比重
比重計を使ってバッテリー液の比重を測定し、バッテリーの充電量を調査します。
バッテリーが十分に充電されていれば、比重は1.280です。
しっかり充電されているのに、比重値が正常に戻らない場合はバッテリーの寿命が近いと判断します。比重値は、下記の数値を目安に判断してください。
- 正常:280‐1.250
- 注意:240‐1.210
- 危険:210以下 ※気温20度の時
5 バッテリーの寿命が考えられる5つの前兆
寿命寸前まで活躍してくれるバッテリーは便利なものの、不調に気付かず突然停止してしまうことも珍しくありません。
突然のトラブルを避けるため、バッテリーが寿命を迎える前兆を知っておきましょう。
5-1 エンジン音や回転力に違和感を感じる
エンジンの始動に欠かせないセルモーターはバッテリーからの電流が動力となり起動します。
「エンジンをクランキングする音がなんだか鈍い」「回転力が弱い気がする」などの違和感を覚えた際は、バッテリーの寿命が近いかもしれません。
5-2 停車中のヘッドライトが暗い
LEDライトやHIDライトでは明るさでバッテリーの寿命を見極めるのは至難。ですがハロゲンライトを使用していて、いつもとヘッドライトが暗いなと感じる場合は、バッテリーの劣化による電力供給不足の可能性があります。
ただしバッテリーのパフォーマンスが低下していても走行時は充電されるため、明るくなることも珍しくありません。「明るい」「暗い」を正確に見極める際は、停車中のヘッドライトの明るさで判断しましょう。
5-3 パワーウィンドウやワイパーの動きが鈍い
パワーウィンドウやワイパーなどの電気を必要とする各パーツの動きが悪化しているような場合もバッテリーの劣化が関係しているかもしれません。
しかしこれらは必ずしもバッテリーが原因とは限らないため、他の前兆と組み合わせて総合的に判断しましょう。
5-4 バッテリー本体に異変を感じる
寿命を知らせるサインはもちろんバッテリー本体にも現れます。下記のような異変を確認した場合は、バッテリーの寿命が近いと判断できます。
- バッテリー本体が膨らんでいる
- バッテリー液が減りやすい
- バッテリーの天板にバッテリー液が漏れている
- バッテリーの端子付近に粉がふいている
- バッテリー液が変色している
このような場合は速やかに交換してください。
5-5 アイドリングストップしなくなった
アイドリングストップ機能搭載車であるにも関わらずアイドリングストップをしなくなった場合、バッテリーの劣化が原因かもしれません。
バッテリーの電圧確認を行ってください。
6 バッテリーの寿命を延ばすためにできる5つの対策
バッテリーの交換周期が早くて困っている方もいらっしゃるかもしれません。
バッテリーの寿命を延ばすために下記の対策を検討してみてください。
6-1 定期的な点検と補水
バッテリー液はバッテリー内部の極板と化学反応を起こしながら放電し、蒸発することで徐々に減っていきます。
もしもバッテリー液が減って内部の極板が露出してしまった場合、発火や破裂の引き金となってしまうため大変に危険です。
1ヶ月、遅くとも半年に1回のペースでバッテリー液の残量を確かめましょう。
もしもLOWER LEVEL側に寄っていたらUPPER LEVELを超えない量を補水しましょう。バッテリー液の適量は、LOWER LEVEL とUPPER LEVELの間です。
6-2 週1回30分程度の走行
バッテリーはエンジンの回転で充電されます。走行時間が短くなるほど充電量が不足してしまいます。
週1回は30分程度の走行を心がけてください。
充電が足らない状態でエンジンスタート・ストップを繰り返してしまうとバッテリー上がりの原因となってしまいます。
6-3 夜間走行の頻度を少なくする
夜間走行は昼間よりも電飾・電装品を多く使用します。
これはすなわち、バッテリーへの負担が高くなる傾向にあるということ。
夜間走行がメインの場合は、電気使用量が蓄電量を上回る「過放電」に陥りやすいため注意しましょう。比較的電気使用量が少ないライトに変えるなどして、バッテリーへの負荷を下げるのがおすすめです。
6-4 停車中の電気使用量に配慮
停車中(エンジンが回転していない状態)の電気供給は、バッテリーに蓄電された量から使用されます。そのため電気の消費量が多いと充電が不足し、バッテリー上がりの要因に。
停車中にライトや車内機器を長時間使ったり、複数の車内アクセサリーを使用しないようにしましょう。
6-5 外気温による影響の防止
バッテリーは気温差に弱く、外気温の影響を受けやすいという特徴があります。
バッテリー本来のパフォーマンスを引き出せる適度な温度は、おおよそ20~25度。
寒い時期になると0度で約2割、マイナス20度では約5割もの性能低下が引き起こされてしまいます。
バッテリーの劣化を感じたらすぐに交換を
長期間車を動かさなかったり、室内灯やヘッドライトなどの消し忘れなども含め、バッテリー上がりを経験した車は、充電不足から回復したとしてもバッテリー交換を検討してあげた方がいいかもしれません。
また、こまめにバッテリーに配慮してあげることで突然のトラブルを避けることができるはず。
愛車に長く乗り続けるためにも、ぜひバッテリーにも配慮してあげてください。
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