2021年10月15日
車の重要パーツ「ブレーキ」について迫る
車にとってブレーキは大切な装備の一つ。制動装置とも呼ばれ車の走行を停止させたり、減速させたりする装置のことです。当然ながらブレーキに不具合があれば車は止まることはできず、大きな交通事故を発生させてしまうことも。
交通事故を発生させてからでは遅いので、調整するタイミングや依頼する場所を把握しておかないといけません。
そこで今回は車にとって重要なパーツの一つでもある、ブレーキについて調整すべきタイミングや依頼する場所などについて解説していきます。
目次
1 自動車における3つのブレーキシステム
車のブレーキシステムは、大きく「フットブレーキ」「エンジンブレーキ」「サイドブレーキ」の3つに分類されます。
ここではそれぞれの特徴について説明していきます。
1-1 運転中最も使用頻度が高い「フットブレーキ」
フットブレーキはペダルを踏んでかける、一番使用頻度が高い油圧式のブレーキ。これにはディスク式とドラム式の2種類が存在しています。
ディスク式は車軸に取り付けたローターを締め付けて車を停止させます。一方ドラム式は円筒形のドラムにブレーキシューを押しつけて制動をかけるもの。
それぞれ1~2トンの車重が時速50~100kmものスピードで走行しているものを停止させる訳ですから、非常に大きなブレーキ力を発揮します。
1-2 フットブレーキを補助するための「エンジンブレーキ」
エンジンブレーキとは、エンジンの抵抗を利用したブレーキのこと。ギアを入れてアクセルを踏めば車は加速しますが、アクセルを離せばブレーキを踏まなくても徐々に減速します。この減速のことをエンジンブレーキといいます。
フットブレーキを利用する前に車のスピードを減速させることで、フットブレーキを補助することが主な役割。エンジンブレーキで減速すれば、フットブレーキの使用も短時間になるのでフットブレーキの消耗を軽減できることがポイント。
主に長い下り坂や高速道路での走行中、信号の手前など多くの場面でエンジンブレーキは有効な手段です。
1-3 主に駐車時に必要な「パーキングブレーキ」
パーキングブレーキは、主に駐車の際に使用するもの。運転席の横にあることからサイドブレーキという名でも知られています。
役割は駐車時に車が静止している状態を保つこと。車はわずかな傾斜でも、フットブレーキを離してギアがニュートラルの場合は動いてしまいます。
そのためパーキングブレーキが必要になる訳です。4つのタイヤ全てにブレーキがかかるフットブレーキに対し、パーキングブレーキは後輪のみにかかることがポイント。
ブレーキとしては制動力が弱いですが、下り坂でブレーキがフェードして効かなくなったときなどの緊急時の補助ブレーキとしての役割も担っています。
2 ブレーキパッドが重要なパーツ
ブレーキは「ディスクブレーキ」と「ドラムブレーキ」の2種類に分類されます。
放熱性に優れていることから、近年の車では前輪にディスクブレーキを採用されていることがほとんど。後輪はドラムブレーキを採用している車とディスクブレーキを採用している車があります。
ディスクブレーキの主なパーツは、「ディスクローター」「ブレーキキャリパー」「ブレーキパッド」の3種類。
ディスクローターはタイヤのホイールと同調して回るディスク型の部品。ブレーキキャリパーは油圧でディスクローターにブレーキパッドを押しつけるためのパーツ。ブレーキパッドはブレーキキャリパーからの圧力でディスクローターを挟み込み、その摩擦で回転を減速させるための部品です。
ブレーキの仕組みは、まずブレーキペダルを踏むとブレーキフルードと呼ばれるオイルを通してブレーキキャリパーへ力が伝達されます。
その圧によってブレーキパッドがブレーキローターを挟み込み、その際に摩擦力が発生。運動エネルギーを熱エネルギーに変換し制動力を生み出すことで、車を停止させます。
ブレーキ周りはどれも重要なパーツですが、中でもブレーキパッドは車を停止させるための重要な部品と言えます。それだけに、ブレーキパッドは消耗したら必ず交換しなければいけません。
3 ブレーキパッドを交換すべき3つのタイミング
3-1 ブレーキからの異音や警告灯
ブレーキパッドの残量が少なくなると音やランプで警告してくれるものも。これはブレーキパッドにパッドウェアインジケーターと呼ばれる機能が一部の車両に搭載されています。
パッドウェアインジケーターには、「機械式」と「電子式」の2種類があります。国産車は主に機械式が搭載されていますが、高級国産車や輸入車では電子式が採用されることも。
電子式の場合はブレーキパッドの残量が少なくなるとブレーキパッドに取り付けてある電線が切れ、インパネの警告灯ランプが点灯する仕組みです。
一方機械式であれば、ブレーキパッドの残量が少なくなると金属片がローターに接触するので「キーキー」と異音がなります。「カラカラ」や「ゴー」という音がする場合は、特に注意が必要です。
「カラカラ」という異音がしたら、ブレーキパッドが割れているかもしれません。割れてしまうと均一にブレーキローターを挟めなくなるのでカラカラと異音がすることがあります。
また「ゴー」と、なにか擦れるような音がする場合、ブレーキパッドの金属プレートがブレーキローターと接触していたり、高温で溶けた摩材などが付着していたりする可能性があります。
どちらにしてもブレーキ周りから異音がするケースは、早めに点検を受けましょう。
3-2 ブレーキパッドの厚さの確認
ブレーキパッドの厚みによって、点検や交換するタイミングを判断しましょう。
ブレーキパッドの厚みを確認する手順はホイールを外し、ブレーキキャリパーに取り付けられたブレーキパッドを目視することでチェックできます。
その際に、「外側と内側の両方を確認する」ことがポイント。ブレーキパッドは内と外の2枚でローターを挟み込む構造のため、外側が十分残っていても内側が減っているなんてことも。内側のパッド残量はキャリパーをのぞき込めばチェックできるので、忘れずに確認しましょう。
メーカーによって新品時のブレーキパッドの厚みは異なりますが、10mm程のものが標準的です。まずブレーキパッドの厚みが5mm以下の場合であれば、次回の車検や点検時に交換を検討しましょう。3mm以下の場合は交換するべきタイミング。1mm以下になっていれば早急に交換しましょう。
ブレーキパッドの厚みが1mm以下になってしまうと、ブレーキパッドの摩材がなくなってしまい、ブレーキローターにダメージを与える恐れがあります。ブレーキの効きが突然悪くなることもあるので、注意が必要です。
3-3 走行距離で判断する場合
ブレーキパッドの調整するタイミングの目安は、走行距離であれば5万km程度。走り方や車種によっても異なりますが、一般的にブレーキパッドは1万kmで1mm減ると言われています。
5万km走行すればブレーキパッドの残量は5mm程度になるため、これを目安に点検してみるといいでしょう。
しかしブレーキを多用する場所を走行する機会が多いと、当然ながらブレーキパッドの減りは早くなってしまうもの。逆に高速道路を多く走行している場合などは、エンジンブレーキを使用すること増えるのでブレーキパッドの減りは少なくなります。
一概に走行距離で判断するのは難しいですが、一つの目安として判断しましょう。
4 依頼する場所と交換にかかる費用
ブレーキパッドを交換できる業者はどこでもできるわけではありません。これは運輸局長が認定・指定した場所に限ります。その際に発行される「自動車分解整備事業」や「指定自動車整備事業」と書かれた標識を店舗内に提示していることが目印です。
ただ、認証を受けずに分解整備を受けている整備工場も存在するので注意しましょう。
ブレーキパッドを交換する際にかかるコストは、新品のブレーキパッド本体の費用とそれにかかる工賃が必要です。車種や依頼する場所によって金額は異なりますが、普通車であれば一般的にブレーキパッド左右1セットの価格と工賃ともに各8,000円程度が相場。車種やブレーキパッドの種類によっては本体価格、工賃共に高額になるケースもあるのであらかじめ確認しておきましょう。
ブレーキパッドのみの交換であれば時間は30〜40分程度。混雑状況によっては待ち時間が変動するため、金額同様にあらかじめ問い合わせておくと安心です。
車におけるブレーキ周りは重要なパーツになるので、当然ながら取り付けミスは許されません。そのため信頼できる業者に依頼する必要があります。
まとめ
今回は命にも関わる車のブレーキについて、調整すべきタイミングや依頼する場所などについて解説してきました。
ブレーキの周辺には重要な部品が多く、その中でもブレーキパッドは車を停止させるためのマストマイテム。そんなブレーキパッドを点検・交換する、3つのタイミングは以下の通りです。
- ブレーキからの異音や警告灯
- ブレーキパッドの厚さの確認
- 走行距離
当記事を参考に、万が一のトラブルに備えておくと安心です。