2020年11月20日
突然、車を相続することになった場合に読んでおくべき相続手順
車を所有していた方が亡くなってしまい、車をどうしたらいいのか困っている方も多いのでは。
故人が所有していた車は相続人全員の共有財産となります。例えその車が長い期間、使われておらず価値がないと判断したとしても、そのまま放置することはできません。つまりその車両を廃車や売却する場合でも、まずは相続手続きを行う必要があるわけです。では万が一車の所有者が亡くなられた場合、相続などの手続きはどのような手順が必要なのでしょうか。
今回は車の相続手続きについて必要書類や第三者に譲渡する場合など、様々なケースにおいての注意点を解説していきます。
目次
1 自動車を相続するための手順
故人が遺言状を残さずに亡くなった場合、それぞれの財産を誰が相続するのかを話し合わなければいけません。もちろん、車も財産の一つに含まれています。遺言状があるのであればその内容に従いましょう。
まず行うべきことは車検証を確認し、所有者が誰になっているのかを確認すること。もし所有者がクレジット会社やディーラーになっているのであれば、相続手続きではなくクレジット会社やディーラーから新しい所有者への名義変更手続きが必要です。
故人が車をローンで購入していたり、リース契約にしていることも珍しくはありません。その場合、その後の支払い方法について信販会社などに相談する必要があります。まずは故人が契約していた信販会社に連絡し、どれくらいローンが残っているかなどを確認しましょう。
車両の相続人が残っているローンを支払う必要がありますが、残債が多いなどの理由で車を相続したくないなんてことも。そのような場合は、信販会社などに車両を引き取ってもらい換価処分してもらいましょう。しかし残債が残ればもちろん支払い義務があるので、債務も含めて相続するか相続破棄の選択肢があります。
一方所有者の欄が故人の名前であれば、相続になるので専用の手続きをしなければいけません。
法定相続人は故人の配偶者と子が第一順位となり、次に親・兄弟の順番です。配偶者がいるのであれば必ず法定相続人となりますが、「子」「親」「兄弟」は順位の高い人だけとなります。これは子がいる場合に、それ以下の親や兄弟は相続人から外れるということになるわけです。
誰が車を相続するのかを決定したら、そのことを書面にしなければいけません。これは「遺産分割協議書」と言われ複数の相続人がいる場合に、相続人全員で相続の話し合いが行われ合意が得られた証明書。
作成した遺産分割協議書は相続人の人数分コピーし、相続人すべての署名捺印により完成。後でトラブルになる可能性もあるため、それぞれの相続人が一部ずつ保管しておきましょう。
自動車の相続人が名義変更の手続きを行います。車を相続する場合はもちろんですが、廃車を検討している場合でも名義変更は必ず必要になるので覚えておきましょう。
2 車の相続する際の名義変更に必要な書類
車を遺産として相続する場合、車の名義変更を行う必要があります。名義変更をしないまま車に乗り続けていても法的には問題はありません。しかしながら廃車や売却を検討する際に名義変更を行なっていないとできないため、相続と同時に名義変更手続きを行う必要があります。
車を相続する際に単独で相続するケースと複数で相続するパターンがあります。これは単純に相続人の人数が2人以上であれば共同相続となり、相続人が1人の場合は単独相続というわけです。
単独相続と共同相続とでは揃えるべき書類が異なるため注意が必要です。ここでは名義変更に必要な書類を単独相続と複数相続で解説していきます。
2-1 単独相続の場合
単独相続であれば以下の6つの書類を揃える必要があります。
- 車検証(自動車検査証)
- 故人の戸籍謄本または除籍謄本
- 故人の戸籍の全部事項証明書
- 相続人の印鑑登録証明書
- 相続人の実印
- 車庫証明書
印鑑登録証明書は発行から3ヶ月以内のものでなければいけません。
車庫証明書は相続する方の車両の保管場所を管轄している警察署で、概ね1ヶ月以内に取得したものを準備しましょう。ただ保管場所の変更がないのであれば車庫証明書は不要です。
必要書類が揃ったら運輸支局で手続きを行います。
「手数料納付書」「自動車税・自動車取得税申告書」「申請書」を取得し、印紙を販売窓口で購入します。その際に名義変更の登録手数料を支払い、印紙を手数料納付書に貼り付けましょう。準備した必要書類と取得した3つの書類を窓口に提出し、不備がなければ新しい車検証が交付され名義変更手続きは完了です。
2-2 共同相続の場合
共同相続のケースは以下の7つの書類を準備します。
- 車検証(自動車検査証)
- 故人の戸籍謄本または除籍謄本
- 故人の戸籍の全部事項証明書
- 遺産分割協議書
- 相続する代表の方の印鑑登録証明書
- 相続する代表の方の実印
- 車庫証明書
単独相続と同様に印鑑登録証明書に関しては発行から3ヶ月以内のものに限ります。また手続き方法も同様で、運輸支局で名義変更手続きを行いましょう。
3 名義変更に必要な書類を揃える際の注意点
前述したとおり、名義変更には様々な書類が必要になります。書類を揃える際に見落としやすい注意点があります。万が一、書類に不備があった場合に出直すことになるので事前にしっかりと確認しておくことがポイント。
ここでは名義変更に揃える書類の注意点を説明していきます。
3-1 相続する方の姓名に変更があるケース
相続人の姓名が婚姻などで変更されていると、相続人が代表相続人であってもなくても相続人の戸籍謄本、または姓名の変更が記載されている住民票が必要です。
例えば故人の戸籍の全部事項証明書を発行し、相続人の姓名が旧姓で記載されていると遺産分割協議書に記入されている姓名とは異なるため、別途姓名の変更履歴が確認できる書類が求められるわけです。
3-2 相続人が相続放棄を希望される場合
複数相続だった場合に相続人の中に相続権放棄を希望する方がいる場合、家庭裁判所での相続放棄の手続きが必要です。裁判所で申請後「相続放棄申述受理証明書」を発行してもらい、運輸支局へ持参しましょう。
また相続放棄を申請すると原則撤回することはできません。
万が一、相続放棄を考えているのであれば、専門家への相談をおすすめします。
3-3 相続人に未成年者が含まれる場合
相続人に未成年者がいるのであれば特別代理人を立てる必要があります。これは未成年者がいる場合、遺産分割協議ができないためです。
特別代理人は原則親権者が立つことになりますが、車の相続で未成年者の父母にも相続権があった場合、どちらも相続人になるので利益相反行為となります。このような場合、父母が特別代理人になることはできません。
第三者の立場に立つ人物を家庭裁判所の審判で決定し、特別代理人の証明書を発行します。遺産分割協議には特別代理人が参加し、代理人の住所氏名の記入と実印の押印などが必要です。
4 第三者に相続する際の手続き方法
第三者に車を譲渡する場合、別の手続きが必要になります。譲渡が決定したら、その旨を記載した遺産分割協議書や揃えるべき書類は様々。
このようなケースでも、まずは車検証に記載されている自動車の所有者欄を確認することが重要です。
相続人全員が準備すべき書類は以下の通り。
- 自動車検査証
- 故人の戸籍謄本または全部事項証明書
- 相続人の譲渡証明書
- 印鑑証明書
- 実印または委任状
また代表相続人が手続きを行う場合は以下の通りです。
- 遺産分割協議書
- 譲渡証明書
- 印鑑証明書
- 実印または委任状
新所有者と車を使用する方が異なる場合、使用者の「住民票」「委任状」「車庫証明書」が必要です。また遺産分割協議書にも譲渡する旨を記載しなければいけません。
5 車は相続税の対象
車を相続した時は、預貯金や不動産と同様に相続税の対象となります。ただ車以外のものを含めた遺産総額が相続税の基礎控除額以下なのであれば、相続税は課税されることはありません。
相続税は遺産全体の価額をもとに計算します。車の価値を評価して遺産の価額に加える必要があります。車以外の土地や家屋などの不動産については、細かな規定により算定されていることが特徴。車については個別に評価方法がなく「一般動産」として扱われます。
相続税評価額の算出方法は「売買実例価格による評価」「減価償却による評価」の2通り。売買実例価格による評価方法は市場で実際に売買されている実例価格、またはその動産に精通している人の意見を参考に決定するもの。具体的には中古市場における売買価格や中古取扱業者の査定額です。オークションや中古車ディーラーで取引されている価格が参考になります。相続する車両の車種や年式、走行距離などが近い車の買取価格を調べましょう。
減価償却による評価は相続する車両が出回っていない場合、市場の買取実例を参考にできないケースも。このような場合、新品価格から故人が亡くなるまでの期間の経年や使用による価値の減少分を差し引くことで算出します。
まとめ
今回は車の相続手続きについて解説してきました。
相続手続きと聞くと面倒なイメージが先行し、後回しにされがちです。しかしながら早めに対応しなければ後々、トラブルになるケースも…。
また相続方法には様々な方法があるため、それぞれにあった書類を揃える必要があります。手続き方法を理解しスムーズに行うことで対応しましょう。
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