2022年12月30日
日産が提供していた高級セダン「セドリック」の歴代モデルの特徴とは
これまで多くの名車を誕生させてきた自動車メーカー「日産」。そして高級セダンとして人気を集めたのがセドリックです。
初代が登場したのは1960年のことで、10世代に渡り2004年まで提供されたシリーズ。
車名はフランシス・ホジソン・バーネットの小説「小公子」の主人公、セドリックに由来。日産を代表する高級セダンで、同社がリリースしていたグロリアとは1971年より兄弟車です。
今回は日産が製造、販売してきたセドリックの歴代モデルについて振り返りましょう。
目次
1 日産初の独自開発によって誕生した初代セドリック
初代セドリックがデビューしたのは1960年のこと。日産初の独自開発された1.5Lクラスの乗用車です。
当時のアメリカ車を踏襲したようなスタイリングが特徴で、Aピラーを前傾させたパノラミックウィンドウやメッキパーツの多用などがみられます。
日産としては初のモノコックボディを採用したこともポイントの一つ。室内も十分なスペースが確保された設計で、ソフトな乗り心地を実現しています。
2 先代よりスタイリングを大幅変更された2代目セドリック
2代目セドリックは1965年に販売を開始し、1971年まで提供された一台。
アメリカンスタイルを採用した初代から、ヨーロッパ調のスタイリングに変貌したことが特徴。デザインを手掛けたのは、イタリアに拠点を置くカロッツェリア・ピニンファリーナ。
ボディタイプはセダン、ステーションワゴン、バンをラインナップ。フローイングラインと呼ばれるフロントからリアにかけて下がっていくベルトラインが特徴です。
エンジンは直4OHVのH20型、直6OHVのJ20型、直6SOHCツインキャブレター仕様のL20型のガソリン3種類。それに加え、タクシー向けの2L直4OHVディーゼルのSD20型及びH20型LPG仕様をラインナップ。
先代よりエンジンラインナップを一新し、全車排気量2Lの5ナンバー仕様となり3ナンバー仕様の設定はなくなりました。
3 グロリアと兄弟車となった3代目セドリック
1971年に登場したのが3代目セドリック。それと同時に同社が販売していたグロリアの4代目もデビューを果たします。
それまで日産オリジナル設計だったセドリックと、日産に吸収合併されたプリンス自動車工業の開発によるグロリアは全く別設計のモデルでした。この代よりフロントグリルやエンジンフード、リアコンビランプ、オーナメント類以外を共有する兄弟車となりました。
スタイリングは、当時最先端の抑揚が効いたコークボトルラインと呼ばれるボディラインに変更。
ボディタイプは4ドアセダン、5ドアステーションワゴン、バンの3タイプ。1972年には国産車初の4ドアハードトップが追加されたこともポイント。
エンジンは、2L直4OHVのH20型及び同直6SOHCのL20型のガソリン2種類。また先代セドリックにタクシー用途向けとして設定された2L直4OHVディーゼルのSD型をラインナップした一台です。
4 排出ガス規制に適応した4代目セドリック
4代目セドリックは1975〜1979年まで提供されたモデル。
デザインは大仰なフロントマスク、流れるようなボディサイドが印象的です。
ボディタイプは4ドアセダン、4ドアハードトップ、2ドアハードトップ、5ドアバンの4種類。先代までラインナップされていたワゴンは廃止されています。
エンジンは昭和50年排出ガス規制に対応した2L直6SOHCのL20型、2.8L直6SOHCのL28型の2つを用意。排出ガス浄化装置(NAPS)が装備されています。その後も昭和51年・53年排出ガス規制に対応された一台です。
5 国産車初のターボエンジン搭載車をラインナップした5代目セドリック
1979年に販売を開始したのが5代目セドリック。国内初のターボエンジン搭載車を発表したことでも大きな話題を集めた一台です。
デザインは直線基調でクリーンなイメージのものへと変更しており、先代のアメリカンスタイルとは一転しています。
ボディタイプは4ドアセダンと4ドアハードトップ、そして5ドアステーションワゴンが2世代ぶりに復活。その代わりに2ドアハードトップは廃止となりました。
エンジンは2L直6SOHCキャブレター仕様のL20型、同EGI仕様のL20E型、2.8L直6SOHC EGI仕様のL28E型のガソリン3タイプ。また国産車初の直列6気筒ディーゼルエンジン、国内初のターボエンジンL20ET型エンジンを搭載したモデルをラインナップしています。
6 新開発のV6ユニットを搭載した6代目セドリック
6代目セドリックは1983年に登場し1987年まで提供されたモデル。
先代との大きな変更点はプラットフォームの刷新と、国内初となる新開発されたV6ユニットが搭載されたこと。
フロントサスペンションがダブルウィッシュボーン式からストラット式に変更され、リアは5リンク式を踏襲。
エンジンはVG20E型と同ターボのVG20ET型、VG30E型の3種類をラインナップ。また先代より引き継いだ2.8L直6SOHCディーゼルNAのLD28型と、タクシー用途向けに2L直4SOHC LPG仕様のCA20S型が用意されていました。
電子制御サスペンションを装備した上級グレード「V30EブロアムVIP」が登場したことも大きな話題を集めました。
7 シリーズ初の4輪独立懸架式サスペンションを採用した7代目セドリック
1987年にデビューしたのが7代目セドリック。
先代よりプラットフォームが一新され、シリーズ初の4輪独立懸架式サスペンションが採用された事がトピック。
ボディタイプは4ドアセダンと4ドアハードトップの2種類で、先代より搭載されたV6ユニットを採用しています。
サスペンション形式はフロントはストラット式を踏襲。リアはタクシー仕様車を除き5リンク式からセミトレーリングアーム式(4輪独立懸架)に変更された一台です。
8 プラットフォームを刷新した8代目セドリック
8代目セドリックは1991年に登場し1995年まで提供されたモデル。
先代よりプラットフォームの刷新されたことがポイント。サスペンション形式はフロントは先代のストラット式を踏襲。リアはセミトレーリングアーム式からマルチリンク式に変更されています。
ボディタイプは4ドアハードトップのみをラインナップ。
エンジンはVG20E、VG30E、VG30DE、VG30DETとディーゼルのRD28の5タイプ。
当時は高級車ブームの真っ只中ということもあり、クロームメッキのフロントグリルを使用するなど高級志向の高いユーザーを狙った一台です。
9 新開発エンジンを採用した9代目セドリック
1995年にモデルチェンジをし登場したのは9代目セドリック。
ボディタイプは先代を踏襲し4ドアハードトップのみをラインナップ。
先代より踏襲されたエンジンはVG30E型、ディーゼルNAのRD28型。また新開発されたVQ30DE型、VQ30DET型のガソリン3L V6ユニットの3種類が用意されました。
全車にSRSデュアルエアバッグシステムが標準化されたことがポイント。1996年には全車種にABSが標準装備されるなど、安全面にも配慮された一台です。
10 シリーズ最後のモデル10代目セドリック
セドリックシリーズ最後のモデルは1999年に登場した10代目セドリック。
「新世代高級パーソナルサルーン」をコンセプトにフルモデルチェンジされた一台。液晶モニターを標準装備し、エアコンの状態やカーステレオのチャンネル表示などを集約しています。
搭載エンジンは直噴技術であるNEO Diシステムを採用したV型6気筒DOHC VQ30DD型、VQ25DD型や、ターボ付VQ30DET型、および四輪駆動車専用の直列6気筒DOHCターボ付RB25DET型の4種類。
上級感を強調したグレード「300LV VIP」の登場や、特別仕様車「NAVIエディションII」などが追加ラインナップされています。
今後も語り継がれる高級セダンの系譜
初代セドリックは1960年に登場し、高級セダンとして60年を超える歴史に幕を閉じました。その背景にはセダン市場の低迷や、SUV人気などが影響していると言えます。
シリーズ最後の10代目セドリックが生産を終了し、後継車として2004年にリリースされたのが「フーガ」。日産のフラッグシップセダンとして、ラグジュアリーかつ、ハイパフォーマンスなモデルとなっています。
しかしながらフーガの歴史も2世代に渡り、18年間で幕を下ろすことに。今後はスカイラインやエルグランドが後継車と噂されていますが、今後の動向に注目したいところです。
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