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ガソリン車と電気自動車を5つの観点から比較

ガソリン車と電気自動車を5つの観点から比較

近年、各所で取り沙汰され、注目を集めているEV(電気自動車)。

電気自動車は走行時に温室効果ガス(二酸化炭素)を排出しないため、一般的にはガソリン車よりも環境にやさしいとされています。

これまで長らくガソリン車を愛用してきた方の中には、電気自動車に興味がなかったり、少し抵抗を持っているなんて方も少なくないはず。

しかしながら、電気自動車について知ることで、車についてより深く理解できたり、新たな気づきが得られることもあります。

今回はガソリン車と電気自動車を5つの観点から比較します。

1 ガソリン車・電気自動車それぞれの特徴について

ガソリン車と電気自動車を比較するにあたり、まずおさえておきたいのがそれぞれの特徴です。

本項ではガソリン車と電気自動車の特徴をそれぞれ分けて見ていきましょう。

1-1 ガソリン車

普段から親しんでいるガソリン車はご存知の通り、ガソリンを燃料にエンジンを動かして走行する自動車です。

その仕組みは吸入、圧縮、燃焼、排気の4工程。これによりガソリンを運動エネルギーに変換し、車を動かします。そんなガソリン車は、これまで長い間人々の暮らしを支えてきたということもあり、修理・整備はもちろんのこと、レストアや改造などの環境も整っているのが特徴です。

そのため、数十年前に製造された旧車であっても、愛着を持ってメンテナンスをすることで長期間乗り続けることができます。ただし、走行の際には二酸化炭素が排出されるのがポイント。この二酸化炭素が環境に悪いとされ、問題視されています。

1-2 電気自動車

ガソリン車がガソリンを燃料とする一方、電気自動車は車載バッテリーに充電した電気を使い、モーターを駆動させることで走行します。そのため、走行時には二酸化炭素を排出しません。

そして最大トルクを発揮するタイミングが異なるのも特徴です。

エンジンの回転数に応じてトルクが増加するガソリン車に対して、モーターを用いる電気自動車はアクセルを踏んだ瞬間に最大トルクが発生します。そのため、電気自動車はガソリン車と比べて加速性能に優れていると言えるでしょう。

そんな電気自動車に使われるバッテリーの主流は、スマートフォンの携帯充電器などのも使われているリチウムイオンバッテリーです。

ガソリン車が燃料タンクの容量や燃費によって航続距離が計算されるのに対して、電気自動車の場合はバッテリーの容量や交流電力量消費率(電費)によって航続距離が決まります。

この電費とは電気自動車の燃費にあたる数値のこと。

ガソリン車の場合は、ガソリン1Lあたり何km走行できるかを示すkm/L表記が一般的です。一方、電気自動車の場合は、メーカーのカタログなどの公式資料で用いられる、1km走行するのにどれだけの電力量が必要かを示すWh/km表記と、インストルメントパネルなどに用いられるkm/kWh表記の2つで表すのが一般的です。

Wh/kmは、電気自動車の電力消費効率を表す値。燃費とは反対に、数値が小さくなればなるほど電費が良いとされます。km/kWhの場合は燃費と同様に、数値が大きいほど電費が良いとされているのがポイントです。

そして、電気自動車の航続距離は、年々増加してはいるものの、軽電気自動車で200km程度、普通車クラスで400〜500km程度にとどまります。

満タンに給油した際に平均して600~800km程度走行できるガソリン車と比べて、航続距離が短いと言えるでしょう。

2 ガソリン車と電気自動車の比較

ガソリン車と電気自動車の特徴をおさえたところで、本項では「燃費」「環境面」「給油・充電」「車両価格」「税金面」の5つを比較します。

2-1 燃費の比較

現時点で電気自動車の動力となる電気は、ガソリン車の燃料となるガソリンと比べて安価です。

2024年8月時点のガソリンの全国平均価格は約170円/L。同時点の電気の全国平均価格は31円/kWhです。

ただし、単純な価格比較だけでは燃費・電費による差が生まれるため、自動車の平均年間走行距離の1万kmに、ガソリン車の平均燃費15km/L、電気自動車の電費6km/kWhをそれぞれ当てはめて比較します。

すると、ガソリン車の場合は年間11万円程度なのに対して、電気自動車の場合は年間5万円程度と、電気代はガソリン代の半分以下。

燃料代は、走行コストを考慮しても圧倒的に電気自動車の方が安いと言えるでしょう。

2-2 環境面の比較

前述の通り、電気自動車は二酸化炭素を排出しないため、ガソリン車よりも環境にやさしいとされています。ただし、製造過程で排出する二酸化炭素に関しては、ガソリン車よりも多いのが特徴です。

その原因とされているのが、電気自動車には欠かせないリチウムイオンバッテリー。その製造時にはガソリン車の製造時と比べて、およそ倍の二酸化炭素を排出すると言われています。

さらに、電気自動車のバッテリーのリサイクル環境整備は未だ不十分なため、利用されなくなったバッテリーは廃棄する必要があります。そのため、バッテリーの廃棄時にも二酸化炭素を排出します。

走行時の二酸化炭素排出量に関しては、電気自動車がガソリン車に勝ると覚えておきましょう。

2-3 給油・充電の比較

ガソリン車の場合はタンクの容量による差はあるものの、ものの数分程度で満タンまで給油できます。

一方、電気自動車の場合はそうはいきません。普通・急速充電やバッテリー容量による差はあるものの、出力の大きい急速充電器を用いた場合でも少なくとも30分程度は要します。

航続距離がガソリン車よりも短いことも相まって、電気自動車の欠点と言えるポイントです。

さらに、場所によっては充電スポットが少ないこともあります。現在、日本政府は充電インフラの整備を推進しているものの、現時点でまだまだ充分に充電器が設置されているとは言えない状況。そのため、長距離ドライブの場合などは充電スポットを考慮した経路選択が重要です。

電気自動車は電費は良いものの、給油時間に関してはガソリン車に軍配が上がります。

2-4 車両価格の比較

現在、車両価格は、ガソリン車と比べて電気自動車の方が高額とされています。

近しいクラスの大衆車で比較すると、ガソリン車が300万円程度で購入できるのに対して、電気自動車の場合は400万~600万円前後と、少なく見積もっても100万円以上高額です。

2024年時点で電気自動車の購入に対して上限85万円の補助金が交付される制度、CEV補助金はあるものの、それを考慮しても高額と言えるでしょう。

その原因は電気自動車に必須のバッテリーにあります。電気のエネルギー密度はガソリンと比べると低いため、同程度の航続距離を実現するためには大容量のリチウムイオンバッテリーを搭載する必要があります。

そして、現在の電気自動車では、原材料にニッケル、マンガン、コバルトなどのレアメタルを使ったバッテリーが主流です。これらの原料の一部は、近年の電気自動車の需要増により価格は高騰傾向にあります。大容量のバッテリーともなるとコストが上がってしまうのはいうまでもありません。

近い将来には新技術により、ガソリン車と同程度の価格になるとされていますが、現時点では電気自動車の方が高額です。

2-5 税金面での比較

税金面では電気自動車が優遇されています。

2024年1月以降、2025年5月1日以降に段階的に軽減対象の排出ガス基準・燃費基準は引き上げられるものの、自動車税環境性能割は2026年3月末まで非課税です。

さらに、排気量に応じて課税額が変動する自動車税(種別税)も、電気自動車は最も低い税額2万5000円で済みます。

そして、グリーン化特例やエコカー減税を利用できるのも特徴です。

グリーン化特例とは、燃費や環境性能に応じて新車登録年度と翌年度分の自動車税が軽減される制度のこと。電気自動車の場合は25,000円からおよそ75%が軽減され、翌年度の税額が6,500円になります。

一方、エコカー減税は、排出ガス性能および燃費性能に優れた車に対する自動車重量税を、燃費基準の達成割合に応じて25%から100%までの間で軽減・免税する制度のこと。電気自動車の場合は、新車登録時と初回車検時が免税されます。

電気自動車の場合は、ガソリン車と比べて税金面で優遇されると覚えておきましょう。

ガソリン車と電気自動車、それぞれを知ることで車の良さを再確認する

今回はガソリン車と電気自動車を比較しました。

自動車選びには、これまで乗ってきた愛車に乗り続けたい、やっぱりガソリン車が良い、このモデルにしか乗らないなど、人それぞれ好みや主義があるのではないでしょうか。

しかしながら、電気自動車など新しいジャンルを知ることによって、これまで乗ってきた愛車の良さを再確認できたり、気づけなかった良さに気づく、人によっては電気自動車に興味を持つなど、発見があるのも事実です。

それぞれの特徴や違いについて理解することで、より車への愛着が深まるのではないでしょうか。

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