2021年12月31日
洗練された表情のクーペ、その魅力や特徴、人気の車種を振り返る
趣味性の高いスポーツカーという印象の強い「クーペ」。今回はそんな「クーペ」という車にスポットを当てていきます。
スポーティーで洗練されたクーペ、その魅力の引き込まれた方も多いはず。街を走っていてもグッと目を引くスタイリッシュなデザインと独特の存在感は非常に魅力的。
そこで今回はクーペの種類やその特徴はもちろん、過去に登場したクーペタイプの人気モデルについてもご紹介していきます。
目次
1 そもそもクーペってなに?
クーペとは「車の形状」のことを指す言葉です。
2ドアで車高が低くスタイリング重視の車を指します。走りをメインに設計されたスポーティな乗用車で、広いエンジンルームと流線型のボディデザインが特徴の一つ。
居住性よりも運動性能やデザインを意識しているので、車内空間の広さや荷物の積載量が少なくなってしまうことがネック。
クーペの語源は、フランス語で「切ること・切られた」を意味する「coupe」が由来。2人乗りの箱型馬車を意味する言葉としても使われており、それがクーペという車のボディタイプとして称されるようになった訳です。
現在は、後部座席が追加された4ドアが主流となっており、どちらかというと「セダン」のようなタイプに近くなっています。
2 セダンとの違いとは
セダンはスリーボックス型の乗用車で、2列シート、4人以上が同時に乗車することができます。どの席でも乗り込みやすい4ドアが主流。
エンジンや乗車スペース、トランクが全て分かれていることによって、運転、乗車時の快適性と居住性の高さを実現したことがその特徴と言えるでしょう。
セダンの名前の由来は一人乗りの椅子かご「セダンチェア」に由来します。17世紀前半のヨーロッパでは、セダンチェアという乗り物が流行していました。箱状の乗り物の中にお客を入れ、2人1組の人力で運ぶという日本のかご屋と似たスタイルでした。
「サルーン」もセダンと同じ意味合いがあり、座席が2列合計で4席以上、側面に2枚、または4枚のドアがあり、側面に4枚の窓がある箱型の乗用車を指します。
屋根が開放、格納できるものをコンバーチブルサルーン、箱型で前後の座席の間に仕切りがあり6枚以上窓があるものをリムジンと呼びます。
3 見た目だけじゃないクーペの魅力
クーペは前述した通り、走りを重視したボディデザインになっているため走行の安定性に優れていることが特徴。
また、車高の低さにより空気抵抗が少ないため、運転そのものを楽しめるのもクーペが持つ魅力の一つ。風の影響が少なくなる設計になっていることから前後左右に振られることなく、横転防止にも配慮されています。
現在ではあまり見かけなくなったクーペですが、高級モデルとして登場しており先進技術が搭載されていることがポイント。アクティブセーフティの整備や新技術でのボディ製造、凝ったデザインのパワートレーンなどが採用されています。
カッコよく走行性に優れ、さらに高級感もあるということで、非常に多くの魅力が備わっているのがクーペです。車好きであれば一度は性能面を無視してでもカッコいい車に乗りたいという方も多いでしょう。
クーペは、そんな車好きの夢を叶えられる車であると言えます。
4 スタイリッシュなクーペにもデメリットが…
スポーツ性やデザイン性を特に重視しているため、大人数での移動や家族での使用には不向きです。
クーペは2ドアが基本となっている車種であるため、後部座席が狭く大量の荷物も載せられないなど、実用面では不便なシーンも。
クーペは高級モデルとして販売されているので、それに応じて自動車税が高くなる傾向にあります。クーペは、プレミアムガソリンに対応した排気量の大きいエンジンを搭載していることがほとんど。これにより燃費といった観点での費用もかさんでしまい、維持費が他の車種に比べ高額になりがちです。
またクーペは維持費だけではなく、車両本体価格が高い傾向にあります。生産台数の少なさや凝った装備のため、コストがかかってしまうんです。
このようにクーペは、高い走行性能などの観点を魅力と感じる方もいれば、実用性やコスト面からネックと捉える方も少なくありません。車を選ぶ際は、自分のカーライフにあったモデルを選択したいですね。
5 「ダットサン10型」からスタートしたクーペの歴史
クーペの歴史は1932年に生まれた「ダットサン10型」からスタートします。
1933年にはダット自動車製造の製品を受け継ぎ日産自動車が創業し、1936年の「ダットサン15型」が誕生しました。それに伴いクーペという形態がセダン、フェートン、ロードスターに加えられることに。
1960年にはマツダから「R360クーペ」が発売され、1960年の累計生産台数23,417台と軽乗用車の生産シェア64.8%に達しました。またR360クーペは、国産車最軽量の380kgだったこともあり、燃費と走行性能の向上にも貢献しました。
1965年には日産自動車から、「シルビア」が発売され、さらに1968年には、いすゞ自動車の「117クーペ」が誕生しています。
さらに1970年代に登場したトヨタ「カローラクーペ」は、その優れたデザイン性で当時爆発的な人気を誇りました。
この頃から乗用車の生産台数がトラックを抜き、マイカー時代が徐々に顔を覗かせるようになります。
このように長い歴史を経て多くのファンを獲得してきたスタイリッシュなクーペですが、残念ながら最近では販売台数が少なくなってきているようです。
軽自動車の登場などにより車にあまりお金をかけなくなっているという背景もあるかもしれません。
6 実は色々あった!クーペの種類
クーペは「ノッチバッククーペ」「ファストバッククーペ」「カムテール」といった3タイプがあります。
ここでは、クーペの種類別にそれぞれの特徴について解説していきます。
6-1 落ち着いた印象を与える「ノッチバッククーペ」
ノッチバッククーペは「トランクルーム」「ボンネット」「キャビン」の、3つの区別がはっきりした外観を持つスリーボックススタイルのクーペです。
セダンのような落ち着いた印象が特徴で、高級感のあるフォーマルな一種として知られています。また、後部座席のトランクリッドやヘッドクリアランスの開口面積を確保しやすい実用性にも優れていることがメリット。
一般的なノッチバッククーペは、トランクリッドが独立しているものが多いですが、ハッチバックという開口部の大きなバックドアを持ったスタイルになっているものもあります。後述するファストバッククーペとの境界線が年々曖昧になってきており、多様化が進んでいるというのもノッチバッククーペの特徴です。
6-2 クーペの中で最もポピュラーな「ファストバッククーペ」
ファストバッククーペは寝かされたリアウインドウ、リアデッキの間に明確なノッチを持っていないのが特徴のスタイル。
ハッチバックには、開口部の大きなバックドアを持つものと、トランクリッドが独立したものがあります。ハッチの開き方には横開き式と跳ね上げ式の2つがあり、日本車は跳ね上げ式をメインに採用していることがほとんど。
クーペの種類の中でも多く採用れているもので、最もポピュラーなスタイルです。
6-3 計算されたボディデザインが特徴的な「カムテール」
カムテールは屋根からのラインが下がり切らない段階で、ボディの後端が切り落とされたボディデザイン。ファストバッククーペの類型で、「カムバック」や「コーダ・トロンカ」などと呼称されることもあります。
カムテールの最も注目するべきポイントは計算されたボディデザイン。これはドイツのヴニバルト・カム博士が提唱した理論に基づき設計されたものです。
当初はレーシングカーに取り入れており、1960年代以降にカムテールを採用した市販車が続々と登場しました。
7 時代を彩った人気のクーペ3選
国産のクーペと言えばトヨタGRヤリス、マツダロードスターRF、トヨタスープラ、レクサスLC500、ホンダCR-Z、スバルR1など、錚々たる名前が並びます。もちろん他にもたくさんのクーペがあります。
ここからは厳選して3車をご紹介しましょう。
7-1 世界でも高い人気を誇る「フェアレディZ」
フェアレディZは日産が提供しているクーペタイプのスポーツカー。日本を代表するスポーツカーとして多くのファンを虜にしたブランドで、その人気ぶりは海外でも人気を集めている程。
2019年に誕生50周年を迎えたフェアレディZは未だに多くのファンを魅了し続けるスポーツクーペです。
初代がリリースされたのは1969年のこと。その後6世代に渡りアップデートされ、現在でも提供されている長寿シリーズです。
最新車にあたる6代目 Z34型は、VQ37VHR型エンジン搭載によるパワートレインや高水準の動力性能、6速MTなどが導入されていることがポイント。
フェアレディZのアイデンティティとも呼ばれる「ロングノーズ」を忠実に再現しながら、初代フェアレディZ-S30型のスタイルを踏襲した原点回帰のデザインとなっていることが特徴です。
7-2 国内有名自動車メーカーのトヨタとスバルが共同開発した「86」
86はトヨタがスバルと共同開発したスポーツカー。
初代が2012年に登場し、2021年まで活躍し続けている歴史の新しいモデル。その後、2代目が誕生し現在でも人気を集めている一台です。
希少なコンパクトクーペとしていまだ存在感を発揮する86は2012年に登場後、細かい改良やマイナーチェンジ、特別仕様車の追加などが行われてきました。特に足回りは改良が重ねられた結果、デビュー時と比べ大きく進化していることにも注目です。
トヨタのコンセプトカーである「FT-HS」を彷彿とさせるようなデザインとなっており、重量感や張り出しといった観点が従来のライトスポーツカーにはないデザインを実現しています。
後方の視認性に配慮されたフレームレスミラーや、ロールバーに干渉しない位置に設定されたインサイドドアハンドルなど、インテリアにもこだわりが詰まっていることが魅力。
7-3 技術の日産が開発した「GT-R」
GT-Rは日産が2007年より提供している、ノッチバッククーペタイプの高級スポーツカー。日産GT-Rは人気モデルのスカイラインGT-Rの後継車で、多くのファンを虜にした一台です。
2007年のデビュー後、すでに10年を超えるロングライフとなったGT-R。しかしその走行性能は、未だライバルたちに引けをとっていません。
車両前方にエンジンを置き、後方にクラッチ・トランスミッション・トランスファーを配置した世界初の独立型トランスアクスルが採用されていることがポイント。
職人が手作りする「VR38DETT型 3.8L V6 ツインターボエンジン」や、電子制御式ショックアブソーバーが採用されたシャーシ、標準装備されたランフラットタイヤなど、こだわりの強いメカニズムが搭載されているのも特徴です。
魅力いっぱいでスタイリッシュなクーペをカーライフの選択肢に
今回は流麗なデザインと車高の低さが特徴のスポーツカー、クーペについて紹介してきました。
維持費や購入のコストはやや高くなってしまいますが、走ることの楽しさを感じられるクーペはぜひ体験していただきたいところ。スタイリッシュなクーペは中古車で手に入れるというのも選択肢としておすすめです。
クーペに魅力を感じたらぜひ色々な車種を調べてみてください。その洗練されたデザインや足回りなどのこだわりに魅了され、きっと運転したくなるはずです。