2021年4月23日
扁平タイヤとは?特徴やメリット、注意点を理解してから楽しもう
扁平タイヤは、その見た目のカッコよさからドレスアップに人気のパーツの一つ。しかしながら扁平タイヤを装着することでのメリットは思いついても、デメリットはパッと出てこないかもしれません。
せっかくかっこいい扁平タイヤを装備しても、後々になって思わぬトラブルに繋がるなんてことも考えられます。扁平タイヤの特徴を理解すればよりカーライフを楽しめるはず。
そこで今回は扁平タイヤについて概要から、装着することでのメリットやデメリットについて解説していきます。
目次
1 そもそも扁平タイヤ(ロープロファイルタイヤ)とは
扁平タイヤは、タイヤの平べったさを表す扁平率が低いタイヤのことです。一般的には扁平率が55%以下のタイヤを扁平タイヤと言います。扁平率が低くなるにつれ縦に薄くなり、横幅が広くなることが特徴。
プロファイル(断面形状)が潰れたように薄いことから、ロープロファイルタイヤ(Low Profile Tire)と呼ばれることもあります。
扁平タイヤを装備することで、ホイールが大きく見えることがメリットの一つ。そのためドレスアップに人気のパーツの一つで、スポーツカーに装着されていることがほとんどです。
このようにドレスアップにも活用される扁平タイヤは、主にタイヤの外径を変えずリム径を大きくする「インチアップ」や、リム径を変えずに扁平率を下げる「セイムリム扁平化」などの方法によってタイヤを薄くしています。
2 タイヤのサイズを確認するには
自分の車のタイヤのサイズを知りたい際は、サイドウォールに刻印されている数字などを確認しましょう。
例えば「255/40 ZRF 20 91 V」と表記されていた場合は、以下のような意味合いになります。
- タイヤ断面幅:255mm
- 扁平率:40%
- タイヤ構造:ZRF
- リム径:20インチ
- ロードインデックス:91kg
- スピードレンジ:V
ロードインデックスは、タイヤ一本で支えられる最大負荷能力を示す指数。またスピードレンジは最高速度を記号化したもので、詳細については各タイヤメーカーのサイトで確認しましょう。
また、「タイヤの断面高さ÷タイヤの断面幅×100」という計算式で算出することができます。タイヤの偏平率はタイヤ幅に対するタイヤの高さの比率となっているためです。
3 扁平タイヤを装備することで得られるメリット
前述した通り見た目がカッコよくなることはもちろんですが、その他にも扁平タイヤを装着することでのメリットは様々。
まずはメリットを確認していきましょう。
3-1 ハンドリング、コーナリング性能の向上
扁平タイヤは接地幅が広く、たわみやよじれがなくなることがメリット。これにより高速走行時における安定性がアップするほかハンドリングが機敏になり、コーナリング性能がアップすることが期待できます。また高い横剛性を発揮してくれるので、より大きいコーナリングフォースを確保できることも特徴の一つ。
これによりコーナリングがシャープになるほか、カーブでの安定感が高まります。スポーツカーなどの走行性能を重視している車に多く使用されていることが特徴です。
3-2 ブレーキング性能の向上
ブレーキを踏んだ時にタイヤのたわみによって変形しにくいので安定した状態でしっかりと止まることができます。また、ブレーキを踏んでから摩擦が発生するまでの時間が短いことも、ブレーキ性能に影響します。
ブレーキ性能を向上させるためには、ブレーキディスクを大きくする必要があります。そのためにはホイール径を大きくしなければいけません。しかしながら、直径は一定でホイール径を大きくするにはゴム部分を薄くする必要があるので偏平タイヤを装着することで解消されます。
4 扁平タイヤを装備する上での3つの注意点
扁平率の低いタイヤを装備していても、メリットばかりではありません。ここでは扁平タイヤを装着した際のデメリットや、運転時に気をつけるべきポイントを説明していきます。
4-1 維持費が高くなる傾向
扁平タイヤは生産コストが扁平率が高いタイヤに比べ、費用がかかってしまうことがネックの一つ。これは薄いタイヤを作成するには、強度を保つためにも生産コストが割高になってしまうためです。
4-2 乗り心地や燃費性能の悪化
扁平タイヤはゴム部分が薄い分、路面の凹凸を通過する際のショックを吸収しにくくなるため乗り心地が悪くなることも。これはタイヤの幅が太くなるので道路との設置面が広がるためです。
これにより、パターンノイズやロードノイズが大きくなってしまい転がりが悪くなることがデメリット。転がり抵抗が大きくなることによって、結果的に燃費性能に影響することも覚えておきましょう。
4-3 こまめな空気圧のチェックを忘れずに
扁平タイヤはメリットでも記載した通り、サイドウォールが薄くたわみにくいことから、見た目では空気圧の低下を判断できません。そのため、月に一度は空気圧をチェックし適正な数値を維持することが大切です。
空気圧不足になることで、扁平タイヤのメリットでもある操縦安定性が損なわれてしまいます。また摩耗ライフや燃費の低下に繋がることも。その他にもハイドロプレーニング現象やバースト、コード切れが起こりやすくなるので注意が必要です。
自然空気漏れが気になる場合は、窒素ガスがおすすめ。これは難燃性で透過性が低いことから、空気に比べて抜けにくいため空気圧を長く保つことができます。
5 扁平率を上げたい場合はインチダウンを
もし扁平率を上げたいのであれば、インチダウンをしましょう。
インチダウンとは、タイヤのホイールのインチを小さくすること。ホイールを小さくする分、厚みのある扁平率の高いタイヤを装着することが可能です。
一般用の車でもインチダウンすることによって乗り心地が向上し、特に雪道での走行性能が向上するというメリットもあります。その上、インチを下げることによってタイヤの価格が安くなるのも魅力的です。
インチダウンをする注意点は必ず外径を変えないようにすること。
外径を変更してしまうと、スピードメーターが狂ってしまったり、車体にタイヤに触れてしまうなど悪影響が出てきてしまうかもしれません。
場合によっては車検に通らないということもあるので注意が必要です。
6 扁平率を下げたい場合はインチアップを
扁平率を下げたいのであれば、先ほどとは反対にインチアップをする必要があります。
インチアップとは、その名の通りホイールのインチを大きくすること。ホイールのサイズを大きくすることによって、扁平率の低いタイヤの装着が可能です。
扁平率を下げることによって、前述のようなメリットを享受することができますが、インチアップにも当然注意点があります。
インチダウンと同じく外径を変えないようにすること。ホイールが大きくなることによって、車体からはみ出してしまったり、干渉してしまうことがあるためです。
前述しましたがハンドリング感覚の変化や、空気圧不足などにも十分気をつけてくださいね。
7 運転時に気をつけるべきポイント
扁平タイヤを装備すると、それまでのハンドリングと感覚が異なるので運転の際には注意が必要です。特にコーナーリング時にはハンドル操作が重く感じたり、逆にそれまでよりもハンドリング操作が機敏になったりなど運転に慣れるまでに時間がかかる場合もあります。
扁平タイヤを装着するのであれば、わだちやキャッツアイ、チャッターバーなどに注意しましょう。キャッツアイやチャッターバーを扁平率の低いタイヤで走行時に踏んでしまうと、車両にかなりの衝撃が伝わります。最悪の場合にはホイールのリムを歪めたり、アライメントを変えてしまうなんてことも。
アライメントについて詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
また扁平タイヤを装備することで、その構造上からホイールを縁石や段差に擦りやすくなります。これはタイヤのサイドウォールのたわみがなく、ホイールが先に縁石などに触れてしまう構造になるためです。その他にもホイールリムが地面に近くなるので、本来扁平率の高いタイヤの場合には当たらない高さだったものが、当たるようになってしまうわけです。
縁石に寄せすぎたりすると、ホイールに傷が入ってしまうので注意しましょう。せっかくのカッコいいホイールに傷が入ってしまわないように、日頃から車両感覚を磨いておく必要があります。
スタイリッシュな扁平タイヤを使用する際は十分配慮をした上で
今回はドレスアップに人気の扁平タイヤについて概要から、装着することでのメリット・デメリットについて解説してきました。
さまざまなメリットがある扁平タイヤですが、気をつけるべき点も複数挙げられます。
最悪の場合事故につながってしまう可能性も考えられるので、十分注意した上で扁平タイヤを選択してくださいね。不慣れな場合はプロに相談しながら進めるのが安全です。