2022年9月2日
愛車の乗り心地を左右する「車高調」と「減衰調整」の基礎知識
サスペンションパーツは車のアフターパーツとして一般販売されています。その多くに「車高調整機能」が付いていることもあり、別名「車高調」と呼ばれることも。
サスペンションパーツには、しばしば「減衰力調整機構付き」や「◯◯段階の減衰力調整可能」などという文字が記載されているのを目にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
この減衰力とは、簡単に言えば「サスペンションのベースとなるショックアブソーバー(伸縮する本体の部分)の伸縮速度を抑える力」のこと。
これによって車の乗り心地が大きく変化してきます。
今回は車高調の減衰力調整について記載していきましょう。
目次
1 車高調とは「車高調整式サスペンション」の略称
車高調とは「車高調整式サスペンション」の略称。
この正式名称の名の通り、車高の調整をするサスペンションを意味しています。
車高調を取り付けることでサスペンションの動作を制限する力を調整することも可能です。
これを「減衰力」と呼びます。
乗り味やハンドリングを自分好みにカスタマイズすることが減衰力調整の魅力と言えるでしょう。
2 減衰力とは何か
走行中に路面等から受けた振動や衝撃をスプリングが吸収、さらにスプリングの振動をダンパー(ショックアブソーバー)が吸収し収束します。
これがいわゆる車のサスペンションの役割。
このダンパーによるスプリングの振動を収束する力のことを「減衰力」と言います。
減衰力を変化させることでサスペンションの硬さを体感的に理解できるようになるはず。
結果としてこれが車の乗り心地に直結します。
3 異なる減衰力の調整段階
減衰力の調整段階も車高調の製品により異なります。10数段階の調整のものもあれば、40段階ほどまで調整できるタイプも存在しています。
ハードに調整すると、クイックで爽快なハンドリングに。
対してソフトに調整するとしなやかで快適な乗り心地になります。そのため、街中走行として普段使いに適しているのはソフトな調整です。
高速道路の走行が多い場合は、中間に調整するのもおすすめ。フラットライド感のある走行感を楽しむことができます。
また、減衰力調整は、乗り心地を変えるだけではなく、ロールやピッチングをおさえ、直進安定性を高めるなどの効果も。
走行機能の向上に重要な役割を果たしているんです。
4 減衰力が強いと硬く、弱いと柔らかな乗り心地に
減衰力が高いと、スプリングの伸び縮みが素早く行われ、硬い乗り心地に。
反対に減衰力が低いと、スプリングの伸び縮みはゆっくり。
乗り心地は柔らかく感じるようになるはずです。
サスペンションが硬過ぎると感じる場合は場合は減衰力を低くし、逆に柔らか過ぎると感じる場合は減衰力を高くします。
5 車高調の調整方法
六角レンチを使用して回すタイプもあれば、ダイヤルが付いていて手で回せるタイプも存在します。
車高調サスペンションの多くは、アッパーマウント部やダンパー下側に減衰力調整のつまみがついているはず。
基本的につまみを時計回りに回すと減衰力は高くなり、反時計回りに回すと低くなります。
S/Hと書いてある場合は、S(ソフト)の方に回せば柔らかく、H(ハード)の方に回せば硬くなります。
調整は1段か2段ずつなど、徐々に回して試してみてください。
急な調整はせず、自分にとって最適なポジションを探すようにチューニングを行いましょう。
また、車の設計上どうしても手が届かない場所につまみが配置されていることも。
場所がわからない場合はプロに相談してみるのも手です。
6 伸び側、縮み側で異なる減衰力
さて、ここからはちょっと専門的なお話も。
この減衰力調整には2種類あります。伸びも縮みも一緒に調整する方法と、別々に調整する方法があります。
ショックアブソーバー内部の構造によってどちらかが適切なのかが選択されます。
単筒式という構造では伸び縮み一緒に、複筒式という複雑な構造では別々に調整可能なことも。
伸び側と縮み側を別々に調整する意図としては「舗装路を走る車の場合はカーブを曲がる時に縮み側 (外側の車輪) の減衰力を下げて積極的に傾けさせる一方、伸び側(内側の車輪)の減衰力を上げて、ショックが伸び切らないようして踏ん張らせる」などの効果を狙う場合などがあるためです。
しかし悪路を走る車の場合はその逆。
縮み側減衰力を上げて激しい悪路でもショックが縮みきらないようにしながら、伸び側減衰力を上げて凹凸の激しい路面に対する追従力を上げ、車体をできる限り水平に保たせるチューニングを行います。
このように車がどのような走行を想定しているのかによって適切なチューニングが異なるのです。
7 車高調でも減衰力調整が無いものも
車高調だからすべて減衰力調整式かと言えば、実はそんなことはありません。元から減衰力調整機能を持たないものも存在しています。
減衰力調整は言ってしまえば「細かな好みをさらに微調整するための機能」。
無ければ無いなりにスプリングやタイヤで調整しても問題はありません。
減衰力調整機能付きのサスペンションを使ったことがある方ならお分かりかと思いますが、実際には減衰力のセッティングはそんなに頻繁には行わないはず。
車高と同様にある程度セッティングが煮詰まると、そこから必要以上に変更しても大きな効果が見込めない可能性もあるためです。結果としてタイヤの空気圧をいじるだけで済ませてしまう場合もあります。
そのため、減衰力調整ができない場合でも、乗り心地のカスタマイズは十分可能です。
乗り心地を良くするコツは
減衰力調整によって好みの乗り心地が実現できればベスト。ですが実際はなかなかそう簡単にはいきません。
車の乗り心地は、タイヤの銘柄や空気圧、シートのクッション性などによっても大きく変化します。
たとえば減衰力一つとっても、見るべき点は様々。例えばスプリングのバネレートとのバランスもその一つ。
バネレートの高いスプリングを使っているのに、減衰力だけを低くして乗り心地を良くしようとしても限界があるんです。
確かに減衰力調整は簡単に設定できて、ある程度の効果も見込める方法です。
乗り心地を良くするためにいろいろ工夫して車を触ってみることが大切です。
乗り心地を良くするために、試行錯誤してたくさん愛車と触れ合ってみてくださいね。
WEBでカンタン無料査定!
旧車の買取なら、ヴァ・ベーネにお任せ!
業歴35年は信頼の証!お急ぎの方はお電話でも承っております。