2023年10月20日
自動車の歴史に名を刻んだハイソカーとは
突然ですが「ハイソカー」という言葉をご存知でしょうか。
ハイソカーは現在では使われることも少なく、あまり聞き馴染みのない言葉かもしれません。
日本がバブル期を迎えた1980年代を中心に、ハイソカーブームは巻き起こりました。しかしながら厳密にはハイソカーには明確な定義はなく、時代の流れと共に流行へと進化していきます。
そんなハイソカーですが、一体どのようなモデルを指すのでしょうか。そこで今回はハイソカーについて、どのようなモデルなのか、または特徴などについて深掘りしていきます。
目次
1 ハイソカーとは
ハイソカー(high society car)は直訳すると「上流階級の車」を意味します。1980年代のバブル期に定着した和製英語で、当時に人気を誇った自動車のカテゴリです。
冒頭でも触れた通り、ハイソカーには明確な定義はありません。
上流階級向けの高級なものや、上質で品があるなどを意味するhigh societyを略したハイソから、自動車業でも一部の自動車に使われるようになったんだとか。
ただ上流階級の方が乗っていた高級車ではなく、ベースはあくまでも国産車で、高級車風の車を指します。
当時人気を集めていた代表的なハイソカーは、トヨタが提供していたソアラやマークⅡ。日産が手掛けたローレルなどが挙げられます。
それまでは車は移動手段の一つでしたが、ハイソカーの誕生で女性が男性に求めるステータスの象徴へと変化していきました。
2 ハイソカーの特徴
5ナンバー枠のモデルに豪華絢爛なインテリアや電装アイテムを備え、ツインカムやターボといった贅沢なメカニズムを採用したことが、ハイソカーの条件でした。
ここではハイソカーの特徴について、更に深掘りしていきます。
2-1 ボディーカラーと内装色
全てのハイソカーではありませんが、白いボディに内装色はワインレッドが定番でした。
これは、マークⅡにラインナップされた「スーパーホワイトⅡ」にワインレッドの内装色を合わせたのが人気の始まり。他のモデルでも同じ組み合わせのカラーリングが人気を集め、多くの方から支持を集めました。
また、モケットシートと呼ばれるシートを採用していたこともポイントの一つ。
モケットシートは、しっとりとした手触りが特徴の素材を使用したシートです。現在では、映画館やバスなどの椅子に使用されているので、イメージしやすいのではないでしょうか。
一般的な布シートではなく、どこか上質なイメージを抱かせてくれるモケットシートは、ハイソカーの特徴の一つと言えるでしょう。
2-2 デジタルメーターなどの最新技術の搭載
ハイソカーは、当時の最新技術が搭載されていることもポイント。
その中でもデジタルメーターは、当時の国産高性能車や高級車の代名詞でした。
ハイソカーに搭載されているデジタルメーターと言えば、緑の液晶でデジタル表示されるスピードメーター、そしてゲージのように移動するタコメーターが印象的です。
またエンジンのパワーを補強してくれるターボチャージャーや、電子制御サスペンションなどの当時の最新技術が搭載されていたことが特徴的です。
4 ハイソカーブームが起こった理由
前述したように、ハイソカーブームが巻き起こったのは国内がバブル期だった1980年代のこと。
それまでの車の位置付けは移動手段の一つであり、車にオシャレなどを求めている時代ではありませんでした。
それがバブル期に突入し経済成長のピークを迎えたことで、個人所得も当然ながら増加していきます。それをきっかけに洋服などの見た目が華やかになり、車にもかっこよさなが求められるようになったんです。
外車の高級車であれば値段が高く、当時の若者では手に入れることはできませんでした。
そこで注目されたのが、ハイソカーという訳です。
5 旧車の中で人気のハイソカー
ハイソカーブームでは多くのモデルが人気を集めました。
ここでは当時、支持を集めた人気のハイソカーを紹介します。
5-1 GX71 マークⅡ
GX71 マークⅡはトヨタが開発したモデルで、1984年に登場。
1968年に販売を開始した、マークⅡシリーズの5代目にあたる一台です。
現行車のセダンにはみられない直線的なボディデザインが特徴的。
その中でも国内初となるツインカムターボエンジンを搭載したモデルは、ハイソカーブームを牽引する一台です。
内装は上質な印象を抱かせるワインレッドのシート、最新のデジタルメーターが採用されていました。
5-2 Z20 ソアラ
Z20 ソアラはトヨタが提供していたシリーズで、1981〜2005年まで4世代に渡り続いたシリーズ。
初代及び2代目ソアラはハイソカーブームの人気モデルで、多くの方から支持を集めた一台です。
特に2代目ソアラは、初代の人気を加速させ爆発的なヒットモデルでもありました。初代のイメージを引き継ぎながら、より洗練されたスタイリングを採用。更に最新技術を搭載したことがポイント。
ハイソカーらしい豪華なスウェード調のシートや液晶パネルなどを採用しており、エンジンは当時最速を誇ったターボエンジンを搭載しています。
5-3 GX71 クレスタ
GX71 クレスタはトヨタが開発したモデルで、初代が登場したのは1980年のこと。
前述したマークⅡやチェイサーの姉妹車でもあります。初代クレスタもハイソカーブームの波に乗り人気を集めましたが、更に拍車をかけたのが2代目クレスタ。
初代クレスタを上回る販売台数を記録するなど、ハイソカーブームを牽引した一台です。
2代目クレスタのトピックは、電子制御サスペンション(TEMS)や2モードプログレッシブ・パワーステアリングなどのハイテク技術を採用したこと。また折れガラスを採用したリアウィンドウも特徴的なモデルです。
5-4 C32 ローレル
C32 ローレルは日産が開発したモデル。
1968年に初代がデビューし、8世代に渡り2003年まで続いたシリーズです。
前述してきたモデルと同様にハイソカーブームで多くの支持を集めた一台。また国内初のハイオーナーカーとしても知られているモデルです。
世界初となる電動格納式ドアミラーをはじめとした、多くの先進装備が搭載された一台でもあります。
5-5 F30 レパード
レパードは日産が開発したモデルで、1980年より4世代に渡り2000年まで続いたシリーズです。
初代レパードは、ハイソカーブームの火付け役とも言われているモデルで、先進装備を搭載していたこともポイント。
また2代目レパードは人気ドラマ「あぶない刑事」シリーズの劇中車としても採用され、多くの方に支持を集めた一台です。
一時代を築いたハイソカー
明確な定義は存在しないハイソカー。
日本がバブルを迎え、それまで移動手段であった車にステータスを求めたことで生まれた和製英語です。
現在では燃費や安全性などを基準に車を選ぶことが主流ですが、当時は豪華絢爛な内装装備や上質なシートを採用した車が人気を集めたことがハイソカーブームの始まり。
そして多くのモデルがハイソカーブームを牽引し、一時代を築きます。
まさに時代の象徴と言えるハイソカーに注目してみてはいかがでしょう。
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