2022年6月9日
ワンオフマフラーを検討している方へ。気になる車検などについて解説
マフラー交換は車におけるカスタマイズやチューニングの定番メニューの一つ。
エンジン特性やサウンドの変化などを体験できることから、多くの車好きの方が取り入れています。
しかしながら車種によっては、アフターマーケットパーツがないなんてこともしばしば。またオリジナルのマフラーが欲しいなんて方も少なくありません。このような場合は、一から製作するワンオフマフラーを検討するといいでしょう。
今回はワンオフマフラーについて、取り入れることでのメリットやデメリット、注意すべきポイントについても解説していきます。
目次
1 ワンオフマフラーとは
マフラーは車の排気管の一部で、車のリアバンパーの下にある金属でできた筒状のパーツを指します。
ドレスアップや性能を向上させるためにカスタマイズやチューニングされることが多く、車のカスタマイズの中でも定番のパーツの一つ。そんなマフラーを、自分好みにオーダーメイドできるのがワンオフマフラーです。
一言でマフラーと言っても多くの種類が存在していますが、大きく純正品と社外品に分類されます。
純正品は自動車メーカーが設計し、製造販売している部品。社外品は自動車メーカー以外の自動車部品メーカーが設計を行い、製造販売しているパーツになります。
ワンオフマフラーはオーダーメイドで製作するため自動車メーカーでは取り扱ってはいません。専門業者に依頼し製作するため社外品に分類されます。
車におけるマフラーについて役割や機能、交換することでのメリットを知りたい方はコチラもご覧ください。
2 ワンオフマフラーを採用することでのメリットやデメリット
ワンオフマフラーは形や太さ、素材、サウンドなどオリジナルのマフラーを製作できることが最大のメリット。
例えばマフラーは円柱形状が一般的ですが、ワンオフマフラーであれば四角や三角、ハート型に作ることだって可能です。基本的にワンオフマフラーは車種を問いません。つまり市販品に設定されていない車種やグレードへも対応しています。
一方でワンオフマフラーを採用することでのデメリットがあることも忘れてはいけません。
オリジナルのマフラーを製作できるため、市販品に比べ高額になります。金額は部品数や使用する素材によっても変動しますが、3万円程度で購入できる市販品に比べ、ワンオフマフラーは8万円程度は必要になることを覚えておきしょう。
3 ワンオフマフラーを採用する際の注意点
ワンオフマフラーを取り入れる際に「道路運送車両法」と「保安基準」を守る必要があります。
これらを守らないと車検には通すことができず、一般道を走行することはできません。道路運送車両法は車が道路を走る上で部品が保安基準に達しているか、車の状態が安全に走行できるかを定めた法律です。
規定内容は以下の通り。
第41条 (自動車の装置)
自動車は、次に掲げる装置について、国土交通省令で定める保安上又は公害防止その他の環境保全上の技術基準に適合するものでなければ、運行の用に供してはならない。
第41条の11 消音器その他の騒音防止装置
第41条の12 ばい煙、悪臭のあるガス、有毒なガス等の発散防止装置
次に保安基準は前述した道路運送車両法で定められているもので、技術的かつ具体的な定義を定めた規定になります。
道路陸運車両法における道路運送車両の保安基準は以下の通りです。
第30条 (騒音防止装置)
自動車は、騒音を著しく発しないものとして、構造、騒音の大きさ等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない。
車検を実施する際に規定に沿って検査が実施されており、ワンオフマフラーの構造や音量なども細かく検査されます。次章では保安基準についての詳細を説明していきます。
4 保安基準について
マフラーは車の騒音に関わる大切なパーツなので、車検時に厳しくチェックされます。
そもそも車のマフラーは運転中に加速走行騒音を防止することができ、さらに性能を損なう恐れがないものでなければならないと定められています。騒音問題などマフラーにおける社会問題が多くなってきていることから、マフラーの規制は年々厳しくなっていることを覚えておきましょう。
ここでは車検時の検査項目を説明していきます。
4-1 触媒装置の装着
触媒装置はキャタライザーとも呼ばれるもので、車体底面のエンジンから伸びるマフラーの中間を立方体に膨らませた様な形状をしています。これはエンジンの排気から排出されるゴミや、環境破壊に繋がる成分の除去装置になる大切な装置です。
当然ながら、これを装着していないと環境にも悪影響を与えるため整備不良となり車検には通りません。
触媒は基本的に劣化しないためメンテナンスも不要です。取り外していなければ車検を通すことができるので、カスタマイズした場合でも触媒を外すことは避けましょう。
4-2 音量
ワンオフマフラーに限らず、マフラーの出口から出る排気音の音量が普通車であれば96db以下でなければなりません。軽自動車の場合は97db以下に定められています。
マフラーには排気音を押さえる「サイレンサー」と呼ばれるパーツが装備されており、外れていた場合や適性に働かないと非常に大きな音になります。
ワンオフマフラーなど交換用マフラーを取り入れる際は、新車時の近接排気騒音に5dbを加えた値以下でなければいけません。近接排気騒音は車検証に記載されているので覚えておきましょう。
4-3 最低地上高
マフラーは、取り付け位置に関しても厳しい規定があることを覚えておきましょう。車検時に車体の一番低い部分が地上から9㎝以上ないといけません。
また、マフラーがフロア・ラインから10mm以上突出していると車検に通すことができません。ただ仮に10mmを超えていても、排気管の端部に丸みがついた2.5mm以上の曲率半径を有していれば問題はありません。歩行者との接触やそれに伴うケガ等を防止するために、車体からのはみ出しや形状には注意が必要です。
5 ワンオフマフラーの製作手順
前述した通りワンオフマフラーは、一から製作するマフラーです。車種によってマフラーのレイアウトは異なるため、使用する素材や形状などを業者と決定していかなければいけません。
ワンオフマフラーの製作は、触媒以降からテールパイプまで、サブサイレンサーからテールパイプまで、メインサイレンサーとテールパイプのみの3種類に分類されます。
5-1 テールパイプの本数とレイアウトの選定
テールパイプはリアバンパーから見える、排気出口。マフラーの見た目を決める大きな要素でもあるパーツです。
業者に依頼する際にテールパイプは1本なのか、複数本にするのかを伝えましょう。複数本を選択する場合、どのようなレイアウトにするのかを決めておく必要があります。
2本出しや3本出し、左右ともに2本を配置し合計4本出しなどバリエーションは実に様々。複数本にすることで排気効率の向上が期待でき、見た目についてもスポーティにカスタムできることがメリット。
また業者によっては、テールパイプの向きが車体真後ろよりも外側に向けることができたり、テールパイプの先端を下方向に曲げたりすることも可能な場合があるので、予め確認しておくと選択できる幅が広がるでしょう。
5-2 サイレンサーの形状
マフラーには、サブサイレンサーとメインサイレンサーの2つのサイレンサーが取り付けられています。サイレンサーの形状や大きさによって排気音に大きく関わるパーツです。
前述した保安基準で音量規制があるため、音にこだわりすぎるがあまり車検に通らなくなってしまうことも覚えておきましょう。またサイレンサーを取り付ける際に、最低地上高との兼ね合いもチェックしておくべきポイントの一つです。
5-3 素材の選定
マフラーに使用される素材は、ステンレス・チタン・スチール・カーボンなどがあります。
ステンレスは近年の標準マフラーとして用いられる素材。汚れがつきにくく、錆びにくいことが魅力です。
チタンは軽量で強度が高いことがポイントで、錆びにくいことも魅力の一つ。音質は甲高く乾いた音が特徴的で、その音色に魅了されているファンも存在するほど。
スチールは、ステンレスが主流になるまでは純正マフラーに多く採用されていた素材です。加工が簡単でコストを抑えられることもメリット。他の素材に比べ、低めのエンジン音が出ることが特徴です。
カーボンは製造方法によって「ウェットカーボン」「ドライカーボン」の2種類に分類されます。ウェットカーボンはコストが低く済みますが、、強度が低く熱に弱いことが欠点。一方ドライカーボンはコストが高いことがネックですが、強度が高く熱に強いことがポイントです。
このようにマフラーに使用する素材には、それぞれの特徴があるため自分の希望の音にあった素材を選択しましょう。
6 ワンオフマフラーにおける価格の相場や期間
ワンオフマフラーは一点物になってしまうので、価格や製作までの時間が必要です。
カー用品などで販売されているマフラーを取り付けるのとは違うので、どうしても時間がかかってしまいます。業者によって異なりますが、車の預入にかかる期間は1日から1週間程度はみておきましょう。
ワンオフマフラーにかかる価格ですが、車種や形状、希望の音質、使用する素材によって値段は大きく変動するため一概に適正な価格はありません。
テールパイプを一本にした場合の参考価格は、90,000円(税抜)〜が必要になるでしょう。複数の2本出しに設定した場合の参考価格は、150,000円(税抜)〜です。
業者によっての価格は変動してしまうので、あくまでも目安として覚えておきましょう。
また所有している車によっては、車検のために別途費用がかかってしまうことがあります。
2010年4月以降に生産された車は、加速騒音規制適応車と呼ばれるマフラーの機能そのものに規定を設けています。そのため排気音量以外にも、走行騒音も公的機関で計測した性能等確認済みマフラーの事前承認を取得しなければいけません。これを取得しないと車検に通すことができないため注意が必要です。
自分が所有している車が、加速騒音規制適応車かどうかを判断しましょう。車検証の備考欄の記載事項に、マフラー加速騒音規制適用車と記載されていれば認証制度対象車両です。もし適応していなければ、およそ20〜30万円が別途必要になります。
不明な場合は、車検証を業者の方に見てもらえばすぐに分かるので不安な方は相談しましょう。
愛車の性能向上とドレスアップが期待できるワンオフマフラー
見た目を変えられる点やエンジンのパワーアップにも繋がることから、車のカスタマイズの中でも人気を集めているマフラー交換。そんなマフラーを、自分好みにオーダーメイドできるのがワンオフマフラーです。
ワンオフマフラーであれば、形や音量などをカスタマイズできることから取り入れている方も少なくありません。しかしながら道路運送車両法」と「保安基準」をクリアする必要があります。
特に保安基準については車検時にチェックされるため、ワンオフマフラーの採用を検討しているのであれば当記事を参考にしていただき、自分のこだわりが詰まった世界に一つだけのマフラーを手に入れてみてはいかがでしょうか。
WEBでカンタン無料査定!
旧車の買取なら、ヴァ・ベーネにお任せ!
業歴35年は信頼の証!お急ぎの方はお電話でも承っております。