2022年3月4日
オーバーフェンダーは車検に通る?サイズや注意点、取り付け方を知ろう
自分の愛車に、幅の広いタイヤを装備する際にオーバーフェンダーを取り付けた方も少なくないでしょう。しかしながら、オーバーフェンダーを取り付けると構造変更が必要になります。
構造変更を申請しないと車検に通らなくなり、違反車両として判断されてしまうので注意が必要です。
今回は、オーバーフェンダーとは何か、その概要や車検との関連性、取り付け方についてご紹介します。
目次
1 オーバーフェンダーとは
オーバーフェンダーは幅の広いタイヤを収めるためにボディを拡大するパーツのこと。
簡単に言ってしまえば、車の全幅を広げるためにメーカー純正ボディのノーマルフェンダーに被せる、三日月形の追加のボディパーツを指します。タイヤやホイールがボディからはみ出さないようにするためのパーツです。
ボディからはみ出るほど幅広いタイヤを装着してしまうと保安基準から外れるため、違法行為に該当します。
保安基準では、タイヤ・ホイールが(フェンダー等)より車両の外側方向に突出してはならないと規定されています(道路運送車両法保安基準第178条)。
そこで活用されるのがオーバーフェンダーです。前タイヤにつけるフェンダーは「フロントフェンダー」、後ろのタイヤにつけるのは「リアフェンダー」とも呼ばれます。
純正のタイヤ・ホイールを使用し続ける場合はフェンダーの交換は不要です。しかし大きいものに付け替えた場合に、ボディからはみ出していた場合は保安基準に則ってフェンダーを交換しましょう。オーバーフェンダーは既存のフェンダーの上から被せるように取り付けられるので自分でも実施できます。
2 道路車両運送法法における車幅規制とオーバーフェンダー
日本の道路を通行できる車両には、サイズと重量に一定の制限が設けられています。それは多くの車両の通行、移動、物流、緊急事態対応などを円滑に行うためです。
全幅については2.5mが上限。これを超える車両は特殊車両として通行予定道路の管理者に通行許可を願い出でる必要があります。許可が降りた指定道路のみ通行が許可されます。
そのため、法律上は全幅2.5mまでなら日本の道路を通行することが可能と言えるでしょう。すなわち全幅1.8mの車両なら、片側350mmのオーバーフェンダーを取り付けることができるということになります。
しかし2.5mまで全幅を拡大した場合は日本の交通事情では利便性がいいとは言えません。見合う幅のホイールやスペーサーもなく、ボディだけが拡幅されてしまい、逆に不恰好になってしまうかもしれません。
オーバーフェンダーを装着する場合はその車に適したサイズのものを選択することが大切です。
3 ブリスターフェンダーとの違いは?
またオーバーフェンダーと似た言葉に「ブリスターフェンダー」があります。
ブリスターフェンダーとは「膨れ上がったフェンダー」という意味。
オーバーフェンダーとは異なり、ブリスターフェンダーは最初からフェンダー全体がドアやリヤバンパーの方まで膨らんでいます。最近の車はブリスターフェンダーも多く出回っていますね。
オーバーフェンダーとの決定的な違いは、タイヤやホイールの幅に合わせて後付けが可能なオーバーフェンダーに対し、ブリスターフェンダーは車と一体化しているので後付けができない点です。
4 車幅が20mm以上拡大した場合は構造変更届が必要
オーバーフェンダーを取り付けた車は「改造車」と認定されます。
車幅がノーマルの全幅より20mm以上拡大する場合、構造変更届けを出さないと車検が通らなくなってしまいます。
車検に使用する「車検証」には、車両幅が記載されています。オーバーフェンダーは幅の広いタイヤを覆う目的で取り付けるため、車検証に記載のある車両幅から変動があります。具体的には、車検証に記載されている全幅から20mm以上増えた場合に構造変更の申請が必要です。
構造変更申請は、所有者が籍を置く本拠の管轄である陸運局などへ車両を持ち込むことで受けられます。構造変更を実施すると新たに車検を取り直すことになるため、車検のタイミングで実施すればコストの削減につながるでしょう、
ちなみに幅の増加が20mm未満でも、車の種類によって設定されている幅を超える場合は構造変更の対象です。
- 軽自動車の場合は1,480mm以内
- 小型自動車で1,700mm以内
- 普通自動車は2,500mm以内
となることを覚えておきましょう。
5 車検を通すための主な3つの注意点
そもそも車検を通すためには、フェンダーが設置されていることが前提になります。
フェンダーを取り付けた車を車検に通すためにはいくつかのポイントを押さえておく必要があります。下記の点がクリアできないと、NGと判断されてしまう可能性があるので注意が必要です。
5-1 フェンダーの内側にタイヤが収まっているかどうか
フェンダーの内側にタイヤが収まっているかどうかがポイント。ハンドルを切った時などにタイヤとフェンダーが接触するとみなされて不合格になる場合もあるためです。
もしフェンダーからタイヤがはみ出している場合は前述の保安基準から外れるため、違法行為に該当します。
オーバーフェンダーに関する車検の注意点は、後付けしたフェンダーとタイヤにある程度の隙間があるかどうかです。取り付け後の隙間が少ない場合、フェンダーとタイヤが干渉すると判断され、車検が通らなくなってしまうことを覚えておきましょう。
5-2 固定方法
次に固定方法です。
両面テープだけでの取り付けは避けましょう。
購入したオーバーフェンダーが両面テープだけで取付けるタイプであったとしても、必ずビスかリベットでしっかり固定しましょう。
固定されていないと判断され不合格になってしまう可能性があります。
5-3 爪折り加工の有無
タイヤがフェンダーの内側に接触しないように施される「爪折り加工」の有無も車検時にチェックされるポイントです。
爪折り加工そのものは安全のために実施されるため、安全基準内であれば車検時には特に問題になりません。
6 オーバーフェンダーの取り付け方
オーバーフェンダーには決まった取り付け方はありません。しかし、キレイに設置するためにはそれなりの準備と知識が必要です。まずは、以下の工具を用意しましょう。
- ドリル
- 両面テープ
- マスキングテープ
- 脱脂剤
- リベット
これらを用意したら、以下の手順でオーバーフェンダーを取り付けます。
- マスキングで仮止めして設置場所を決める
- 固定する場所を決めてドリルで穴を開ける
- 車にオーバーフェンダーを仮止めする
- 車側にペンで印をつける
- 仮止めしたオーバーフェンダーを取り外し、印を参考にドリルで穴を開ける
- リベットで固定しないオーバーフェンダーの場所に両面テープを貼り付ける
- 両面テープで仮止めしながら、リベットを打ち付ける
- オーバーフェンダーを車両に押しつけ、両面テープをしっかりとくっつける
両面テープがくっつきづらい場合は、ドライヤーなどで温めると効果的です。
場合によっては仮止めせずそのまま穴を開けてナットで取り付けることもあります。もし自分で設置するのが不安な場合は、専門業者に依頼しましょう。
交通ルールと適正なサイズ感を意識したオーバーフェンダー選びを
今回はタイヤの幅に合わせて設置する、オーバーフェンダーについて紹介しました。
純正のものからお気に入りのタイヤやホイールに変更する場合など、車両幅が変更になる場合に必要になるのが、オーバーフェンダーです。
格好を意識するあまり利便性が落ちてしまったり、交通ルールを違反してしまっては意味がありません。適切なオーバーフェンダーを適切に取り付けることで、愛車でのドライブはより楽しくなるはずです。