2020年9月4日
愛車や不動車をレストアで復活させる際の手順や注意点、費用感など
「大切な愛車を少しでも長い期間乗り続けたい。」そんな想いは誰しもが抱いていることでしょう。
しかしどんなに丈夫な車でも時間の経過には逆らえません。
一部の部品が故障してしまったり、内装が劣化してしまったり。何らかの事故で車が破損してしまったりすることも考えられます。
「愛車とずっと走っていたいけど、そろそろ劣化が目立ち始めたな」という方には「レストア」という選択肢があります。「不動車をどうにかして動くようにしたい」という方にもレストアは有効な選択肢です。
今回は自動車のレストアの概要やその魅力、混同しがちなオーバーホールとの違いや、レストアを検討されている方へ手順やポイントを詳しく解説していきます。
愛車を大切に乗り続けるための選択肢として、是非頭の片隅に置いていただけると幸いです。
目次
1 車を復活させるレストアとは
レストアは、直訳すると「回復させる」「復活させる」「復元する」などの意味です。
これは車だけではなく、長年使用していたことにより、劣化もしくは故障したバイクや鉄道車両、航空機、時計、ラジコンモデル、ゲーム機などを修復し復活させることも意味する言葉です。
実はレストランもレストアから派生した言葉で、「お腹を元に戻す」という意味が込められているという説も。
自動車におけるレストアは、クラシックカーやヴィンテージカーなど、製造されてから時間が経過した旧車を、もう一度新車同様の状態に復元するという文脈で使用されます。
レストアは、自分自身でパーツを入手してDIY感覚で行うことも可能ですが、自動車の構造などの幅広い知識が必要になるため、基本的には専門店に依頼するのが無難でしょう。
レストアにおける修復方法には大きく分けて2通りあります。「オリジナル部品を極力活かして修復する方法」「動かすことを優先しレプリカなどノン・オリジナル部品を多用する手法」です。
もちろんオリジナル部品を活かした修復方法であれば、車種によってはより多くの時間や費用、技術および知識が必要になることも珍しくありません。パーツ自体が希少になっていることもあるためです。
例えばフルレストアのケースであれば、まずはレストアを行う自動車のチェックを細部まで行います。点検を終えて修復が必要な部品をピックアップし、調達の手配をかけていきます。
次に板金作業の工程へと移り、劣化したボディ表面の再塗装はもちろん、キズの修復や経年で発生したサビや腐りといったダメージを修復していきます。
また長年使い込まれてへたった内装も同様で、シートの張替えやダッシュボードの交換、カーペットの張替えなども対象です。エンジンやミッション、サスペンションなどの機能部分をリフレッシュさせることもレストアの一環。
しかし、これだけ多岐に渡る部分を修復することになると、もちろん費用も高額になってしまいますので、長い期間を経て段階を踏んでレストアを行ったりすることも頭に入れておきましょう。
後々、後悔しないためにも専門店の担当者や作業員とどこをどのように手入れするのかを確認することが大切です。
2 一部分を修復する「セミレストア」と、新車のような状態まで仕上げる「フルレストア」の2種類のレストア
レストアには大きく分けると「セミレストア」や「フルレストア」の2種類に分類されます。
セミレストアは事故を起こした時などに、破損した一部分を修復する作業です。
一方フルレストアは、車の外装や内装部分はもちろんですが、エンジンやパーツまで、全てを新たにのせ変えることで新車のような状態まで仕上げること。
またフルレストアに近い言葉で「レストモッド」があります。これは、レストアと一部を変更する意味の「モディファイ」を掛け合わせた造語。
このレストモッドは旧車をレストアし修復させる手法ではありますが、一部をカスタマイズすることで旧車のクラシックな雰囲気は残しつつも、現代風にアレンジすることができるというもの。
レストアして当時の新車のようにするだけでも相当な時間もお金もかかりますが、それをさらにモディファイするわけですからある意味一番贅沢な選択肢と言えるかもしれませんね。
このようにレストアには様々な手法があるので、それぞれの違いを理解しておきまし
3 レストアの魅力
レストアを行うことで旧車本来の魅力が甦り、愛車を乗り続けられることが最大の魅力と言えるでしょう。そのため旧車ファンの間では、レストア車の需要がとても高く一度乗ったらやめられないなんて方もいる程。
また車好きの方の中には、コレクションとして保管したいと考える人も多く、過去の名車をレストアすることで観賞用としてコレクションされているなんて方もいらっしゃいます。
車を長く乗りたいという要望もありますが、車を直して高額で販売したいというニーズも。人気の車種であれば高額で売却することも可能です。過去の名車は現在でも高値で取引されており、発売当時の値段以上になっている旧車も珍しくはありません。
レストア自体に費用がかかってはしまいますが、人気車種であれば条件次第ではコストを回収して余りあるようなケースもあります。
4 レストアと修理の違い
修理は自動車に不具合が生じた場合に行うもの。故障が原因で正常に走ることができない場合はもちろんですが、車体が凹んだり傷がついてしまった際は修理という手法を選択します。
修理は車を快適に使用するために欠かせないものではありますが、持ち主の好みで行うものではありません。
一方でレストアは、特に車に不具合が生じていない場合でも行われることがあります。
広い意味で言うならレストアも修理の一種ではありますが、レストアは単に修理するのではなく前述した通り新車に近い状態に復元することが目的。
そのため修理とはちょっと異なるわけです。
5 レストアとオーバーホールの違い
オーバーホールは「分解して見直す」「徹底的に見直す」という意味。時計でもよく使われる言葉ですね。
自動車用語においては一定期間使用した機械を分解し、内部部品をチェック・修理を行うことを指します。
内外装の修理ではなく、エンジンやトランスミッションなどのパワートレーン系を分解・洗浄することで、機能面を元に戻すことが目的です。エンジンやトランスミッションは精密部品の集合体なので、大切に扱ったとしても時間が経てば消耗を防ぐことはできません。
そのため消耗が進んでしまうと、オイルシールの劣化や、油脂類の交換を定期的に行わないと、焼き付けや潤滑不良で壊れてしまいます。このような事態を防ぐために行うのがオーバーホールというわけです。
オーバーホールを行うことでのメリットは、改良済みのパーツに取り替えることができること。パーツ単位にまで分解することから、一部分に改良されたパーツを使用することが可能となります。
これにより部品が新品の状態やそれ以上の性能を得られることも。
また各部を隅々まで検査することができるので、トラブルの早期発見に繋がることもメリットの一つ。外からでは見えない部分はメンテナンスを怠りがちですが、万が一故障してしまってからでは多額の費用がかかってしまうなんてことも珍しくありません。
そのため、車を元の状態に戻すというレストアとは目的が異なるのです。
6 レストアの期間や費用は修理内容やパーツの希少性などによって大きく変化する
レストアを行うには時間と根気が必要です。
旧車で使われているのと同じパーツを探すことからスタートし、部品の交換や補修などを時間をかけて地道に行う必要があるからです。
レストアする部分が多ければ多いほど費用は高くなり、期間は長くなってしまいます。また維持するための定期的なメンテナンス費用が必要になることも覚えておきましょう。車の状態によってはレストアにかかる費用と新車を購入するのが同じくらい、あるいはそれを超えてしまうケースもあります。
車をレストアするといってもベースとなる自動車の状態は実に様々。あくまで一例ですが、費用が抑えられるケースと、多くの費用がかかってしまうケースを簡単にご紹介します。
6-1 費用が抑えられるケース
ベースとなる車がすでに過去にレストアされていたり、状態がよかったりするとレストアの費用は大きく抑えられるでしょう。このようなケースであれば最小限のレストアで済むような場合も珍しくありません。
その場合は約数十万円からなど比較的費用は抑えることができます。
例えばエンジンなどの主要部品が比較的新しくて換装の必要がない、ボディのサビ落としや塗装だけで良い、というような場合がこのケースに該当します。
6-2 費用が多くかかってしまうケース
絶版車なため必要なパーツを探すのが困難だったり、状態が悪いため補修作業自体に高額な費用がかかるなんてこともあります。
最も費用がかかってしまうケースとして考えられるのは、全てを換装しなければならないような場合。この場合だとかなりの費用がかかってしまうので、本当にレストアをするのかどうかも含めて検討することも大切です。
外装や内装を整え、さらに機械部品を全て交換するようなフルレストアとなるような場合では、総額で1,000万円を超える金額になるなんてことも。
7 ヴァ・ベーネでレストアした事例とその手順
ヴァ・ベーネでは、旧車の買取を行っています。以前マツダのコスモスポーツが入庫したことがあります。これは世界で初めて、ロータリーエンジンを搭載する量産車として発売された車として知られている車ですね。
コスモスポーツはリリースされてから50年以上の月日が経
っているにも関わらず現在の取引価格は安くても600万円、高い場合であれば、1000万円を超える金額で取引される程。
そんなコスモスポーツを実際にレストアした際の手順をご紹介していきます。
このレストアは内外装チェック、ボディ状態チェック、エンジンなどの駆動系の分解、ボディの修復の順番で進みます。
7-1 部品の有無や状態がポイントとなる「内外装のチェック」
まず内外装のチェックを行っていきます。外見では特に不備が無いように見えても、実は中身がボロボロだったなんてことも珍しくないからです。
ですがこれが旧車レストアの奥深いところでもあります。
入庫したコスモスポーツは、ボディにおいて部分的に塗装が剥がれているものの全体的には悪くない印象でした。剥がれ方に特徴があるため、過去に全塗装もしくは部分的に塗装し直されている様子がうかがえました。
しかし過去に塗装が直されている旧車の場合は、外見で判断しては絶対にいけません。なぜなら理由があって直しているはずだからです。
次に重視したいのが専用部品の確認です。
エンジンや足回りは、万が一故障していても新しい物に変更が利くので対応は可能です。一方で外装や内装の専用部品は探しても、そうそう見つかるものではなく、探すだけでも時間と費用がいくらかかるか分かりません。
つまり、入庫時に全ての内外装部品が付いているかどうかがポイントとなります。
その点、このコスモスポーツは灯火類やエンブレム、メッキパーツなど外装品はほぼ揃っていました。 内装でも変更されがちなステアリングホイールが残っており、メーター類もキレイな状態と言えます。
シートは破れてはいるものの純正生地のまま。 何よりダッシュボードに割れがないというのは高ポイントです。このように、まずは入庫した旧車の現状を把握することからスタートします。
7-2 さらに車の正確な状態を知る「ボディ状態の確認」
次に外装部品を取り外してボディの状態を確認します。
入庫したコスモスポーツは左フロントの塗装が剥がれていたり、ひび割れが見受けられました。ランプケースやエンブレムを外すなら、まずこの塗装をなんとかしなくてはなりません。
そこで部品を外すのと同時に軽く塗装を剥いでみると、面白いようにポロポロと取れました。 おそらく過去に事故を起こしたかぶつけてしまったりしてこの部分を再塗装したのでしょう。
次に外装から灯火類を外したら、ボンネットやトランク、ドアも外していきます。ここまで外した時点で「フルレストアしかない」と判断しました。
そこでボディからはガラスも全て取り外し、エンジンやミッション、それにプロベラシャフトなどの駆動系も外してしまうことに。 こうして部品を外していくことで、車の正確な状態が見えるようになるわけです。
前述した通り、左フロントフェンダーの傷み具合から事故歴アリと判断しましたが、実際は、それだけではありませんでした。
ガラスを外してピラーやルーフの状態を確認すると、ルーフにまでダメージが広がっていたんです。 最悪の場合、横転した可能性も考えられます。
この時点でボディは総剥離をしてイチから板金する必要があります。 そうなると短期決戦というわけにはいきません。
自動車の塗装は鉄板の上に下地と呼ばれる塗装を施した上で、何層にも塗料を重ねて新車になります。それを剥がすわけですから、簡単な作業ではありません。
元のプレスラインを崩さないよう根気よく、慎重に塗装を剥がしていきます。過去に何度かボディ自体を修復された形跡がありました。
腐りやすいフェンダーの下側などには当て板を溶接して修理した跡がクッキリと残っており、新車製造時に使われていないパテも盛り込まれていました。
ボディの表面だけではなく、フロアにも相応のダメージが。 ブレーキやクラッチのマスターシリンダーがある下側は、フルード漏れによる腐食が進行していましたし、シートの後ろにあるバッテリー置き場周辺のパネルも腐って穴が空いている状態です。
入庫した時点の印象では、問題なく乗れるように見えたコスモスポーツでしたが、本格的に部品を外してチェックをすると、これだけの改善箇所を発見することができました。
7-3 車の心臓部分「エンジンなどの駆動系の分解」
次の工程ではエンジンなどの駆動系の分解を行っていきます。コスモスポーツは、2ローター・ロータリーエンジンを搭載しています。
このエンジンは3万キロほど走っただけで圧縮が抜けたりする例も確認されており、耐久性に関しては未知のエンジン。基本的にマツダ製の2ローターエンジンはローターハウジングを2つ重ねてあり、それをエキセントリックシャフトが連結する構造になっています。
そんなエンジンが、50年経つとどうなるのか興味深いところではないでしょうか。
分解するには前後のカバーを外してエキセントリックシャフトを抜く必要があります。 カバーを外してエキセントリックシャフトを抜くと、油分が内部でヘドロ化しており、それがゴミなどと一緒に固形化していたんです。
ここはレシプロエンジンで言えば燃焼室にあたる部分。カーボンが溜まりやすいのは理解できますが、これはなかなかの状態。 しかも、ハウジング内で円運動をするローターには大きな線傷まで入っていました。
よくロータリーエンジンはハウジングとローターが接触する面に取り付けられているアペックスシールの耐久性に難があると言われています。
50年以上経ったロータリーエンジンだから当然シール類は全交換になることは想定できましたが、肝心のローターがこの状態では他にも大きなダメージを負っている箇所があるかもしれません。
さらに分解を進めます。
2つのローターを分離し、ハウジングからローターを取り出すと、当然のように磨耗したアペックスシールが現れました。
これが円運動するたびにシールを攻撃していたので、磨耗していないわけがありません。 この状態でちゃんと回っていたのが不思議な程。
コスモスポーツと同じエンジンを搭載している車種は他にもあるので、それらの部品を使用すればオーバーホールは可能です。しかし前述した通り、補修部品を手に入れることは時間と労力がかかってしまいます。
今回のコスモスポーツに関してはオーナーの意向と、弊社代表の判断によりオリジナルにこだわることなく、最新のテクノロジーと部品を使って再生することが決定しました。
7-4 最終工程「ボディの修復」
最終工程はボディの修復ですが、修正したい部分に鉄板をあてがって作業することが一般的。
しかしコスモスポーツの場合、ライト周辺にはカバーをつけるための溝やフィンがあり、ボディサイドには2本のプレスラインとエラのようなフィンがある設計です。
こうした部分を後から修正すると、非常に時間がかかりロスも多くなります。ヴァベーネには熟練したメカニックが多数在籍していますが、鈑金作業となるとどうしてもスペシャリストの手を借りる必要があります。
コスモスポーツのように構造の複雑な車は、修復しやすく設計された現代の自動車と異なります。慣れていない者の目には「どうしてこうなっているの」と理解に苦しむ程。
ライト周辺などの鉄板は新規に作り直したくらいで、サビが進行する個所もほぼ作り直しました。 歪みのひどかったルーフはさすがに鈑金で修正していますが、極力パテを残さないように修復完了。
職人がいくら腕がいいからといって、こうした作業は1か月や2か月で終わるものではありません。 それなりの時間がかかってしまいます。
今回も職人が手間暇惜しまず丁寧な仕事をしてくれたため、塗装が入ったコスモスポーツは新車時よりキレイな状態に。
このように生産されてから40年も50年も経った車を甦らせるには、様々な工程や人々が関係してくるんですね。
8 不動車をレストアする場合の注意点
ここからは不動車にスポットを当てていきましょう。
レストアを検討されている方の中には不動車をお持ちの方も珍しくありません。しかし不動車は状態の良し悪しを見抜くのが難しい車でもあります。
不動車を購入する際のポイントなどを含め、簡単にご紹介していきます。
8-1 不動車を購入する場合に知っておきたいベース車の選び方と相場
不動車を購入してレストアを行う場合、成功させるためにはベース車選びがとても重要。
選ぶ際のポイントとしては、できるだけボディの状態が良いものを選ぶことが大切です。
あまりにも状態がひどい場合、修復に期間が長くなってしまい、費用も膨れ上がってしまいます。また損傷が激しすぎると、そもそもレストア自体ができないなんてことも。多少の傷は仕方ありませんが、その中でも状態のいい車を見極めることを意識してみてください。
またベース車を選ぶ際に気になるのは、それにかかる費用ではないでしょうか。
例えば人気車種のスカイラインシリーズのハコスカや、フェアレディZのS30型であれば、購入するのに50〜150万円程度の予算を考えておく必要があります。
グロリアやブルーバードであれば30〜80万円程度で購入ができる可能性もあるでしょう。
人気が高いとは言えない車であれば10〜50万円程度で購入できることもあり、車種によってはほぼタダ同然で手に入ってしまうことも。
8-2 不動車を購入する際の注意点
さて、不動車を購入する際にいくつか注意点があります。不動車を購入するには、オークションやフリーマーケットサービス、解体業者、友人から購入するなど様々なシチュエーションで手に入れることが可能です。
その中でも個人間で不動車をやり取りする場合は、金銭トラブルに注意しましょう。口約束で売買を進めることで、後々お金を巡る問題が発生することは珍しくはありません。
そのため契約書を交わし、やりとりを進めていくことを徹底してください。
友人や知人だからと契約書を交わさず行うと、お金は支払ったものの自動車を入手できないなどのトラブルに発展しかねないためです。
8-3 不動車を購入した後の注意点
不動車を購入してレストアする時には、まずメンテナンスを行う必要があります。車は長期間放置しているとオイルが劣化している可能性が高いため、オイル類は全て交換しましょう。
オイル交換に慣れている方であれば自身で対応しても問題ありませんが、整備工場でやってもらうことをおすすめします。
また不動車の購入後には、「ナンバープレートの届出」「名義変更」などを自分自身で対応する必要があります。もちろん、この段階では不動車は公道を走らせることはできないため、積載車などの手配などかかる費用は様々。
このように不動車を購入する際には、時間や手間、資金が必要になることを覚えておきましょう。
9 不動車をレストアした後は「予備検査」と「新規車検登録」を
不動車をレストアしたからといって終わりではありません。さらに必要な手続きとして「予備検査」と「新規車検登録」があります。
新規車検登録と予備検査における概要と、それに必要な書類やかかる費用についてに説明していきます。
9-1 新規車検登録の際に必要な予備検査
新規車検登録を行うためには段階があり、まず予備検査を受ける必要があります。予備検査は通常の車検の検査と同様で、同じ設備で検査を行い、問題なく車検に通ることができるのかをチェックしてくれます。
予備検査を実施しているのは陸運局と、民間が運営する予備検査場です。検査を実施し、受検に合格すると「自動車予備検査証」が交付されます。
この段階では整備の部分では合格したけれども、新規車検登録申請をしないと公道を走ることができない状態なので注意しましょう。
自動車予備検査証は有効期限が3ヶ月と決められています。この期間内であれば、新規車検登録を行えば検査が不要で車検証とナンバープレートが交付され、次回の車検は2年後に通常通りの継続車検を受けることになります。
つまり不動車を公道で走らせるためには、最終的に新規車検登録が必要で、その前の段階が予備検査というわけです。検査や申請方法は似ていても、どちらも結果が異なるということが分かっていただけたのではないでしょうか。
9-2 予備検査に必要な書類と申請にかかる費用
新しい車検証を発行するために必要書類は、「自動車検査証」「印鑑」「自動車納税証明書」「自賠責証明書」です。
またナンバープレートを発行してもらうために必要な書類は、「自動車予備検査証」「車庫証明」「実印」「印鑑証明書」「自賠責保険証書」があります。
予備検査を行うための費用は、検査を行った場所によって異なります。予備検査場で行う場合は、単独検査であれば2000〜3000円。全体検査は3000〜5000円で設定されていることがほとんど。
陸運局へ自分自身で車を持ち込んで予備検査を受けた場合は、印紙と証紙の費用のみで、2000円程度で済みます。
一時抹消登録されている車の場合、当然ながらナンバープレートがついていないため、積層車などで車の陸送費用がかかります。陸送する距離によりますが、数千円〜10000円程度かかることを覚えておきましょう。
9-3 予備検査の5つのチェック項目と検査内容
予備検査は陸運局もしくは民間の予備検査場で行っているので、まずは予約を入れましょう。
予備検査には、主に5つのチェック項目があり検査内容は以下の通り。
- 【排気ガスの測定】専用の測定器をマフラーに入れて基準値に達しているか
- 【ライトの測定】ライトの光軸にずれが生じていないか
- 【サイドスリップの測定】まっすぐに走行が可能か
- 【ブレーキの測定】ブレーキがしっかりと効いているか
- 【スピードメーターの測定】スピードメーターが正常に動作しているか
万が一、検査項目に不備が見つかった場合には不合格となってしまうため、担当者に修理や部品交換を依頼しましょう。当然ながら、修理後に再度予備検査を受けなければいけないことを忘れてはいけません。
9-4 新規車検登録
予備検査が終わったら次は新規車検登録です。
新規車検登録は登録されていない車を登録することで、公道を走れるようにすることです。不動車は一時抹消登録されており、検査を通さないと公道を走ることはできません。
一時抹消登録は、言葉の通り一時的に車の使用を中止する場合に行う手続き。
新規車検登録するケースは、新車の新規登録や一時抹消登録した自動車を再び使用するために行います。新規車検登録申請を行う場所は、現住所を管轄する運輸支局で登録することができます。
9-5 新規車検登録に必要な書類と申請にかかる費用
新規車検登録の手続きに必要な書類は、所有者と使用者の名義が同じケースと異なる場合によって必要になる書類は異なります。
どちらの場合でも必要な書類は以下の通り。
- 【申請書】OCRシート第1号または第2号の押印欄に実印を押印
- 【手数料納付書】印紙または証紙を添付。「完成検査終了証(新車)」または「登録識別情報等通知書(中古車:一時抹消登録証明書)」または「自動車通関証明書(輸入車)」
- 【自動車損害賠償責任保険証明書】自賠責保険
- 【自動車検査表】持ち込み検査を受ける場合
- 【譲渡証明書(所有者が変わった場合のみ)】新旧の所有者の実印を押印する
- 【自動車重量税納付書】重量に応じた印紙を添付する
所有者と使用者の名義が同じ場合であれば、以上の書類に追加して「印鑑」「印鑑証明書」「委任状」「自動車保管場所証」を用意しましょう。
オークションなどで購入した場合などは、所有者と使用者の名義が異なります。このような場合に、準備しておくべきものは以下の通りです。
- 【所有者の印鑑】本人申請の場合は実印、代理人申請の場合は記名
- 【所有者の印鑑証明書】発行後3ヶ月以内のものに限る
- 【所有者の委任状】代理人申請の場合は実印を押印、本人申請の場合は不要
- 【所有者が個人なら住民票または印鑑証明書で、法人なら登記簿膳本等】発行後3ヶ月以内のものに限る
- 【使用者の印鑑】本人申請の場合は認印、代理人申請の場合は記名
- 【使用者の委任状】代理人申請の場合は認印を押印、本人申請の場合は不要
- 【使用者の自動車保管場所証明書】発行後1ヶ月以内の車庫証明書
以上を必要書類に追加し提出します。
新規車検登録には費用がかかってしまいますので、あらかじめかかる費用を把握しておくことが大切です。
内訳としては、申請書代に100円と登録手数料が700円。車検の検査手数料とナンバープレート代はそれぞれ2,000円前後を想定しておきましょう。
次に自動車重量税ですが、自動車の重量により金額が異なるため、事前に確認しておくことが必要です。また自動車税・自動車取得税は各都道府県により異なるため、金額は事前に確認しておきましょう。
10 レストアした愛車をより長く乗るための9つの自己点検チェック項目と検査内容
時間とお金をかけてせっかくレストアした愛車。少しでも綺麗な状態で長い期間乗っていたいですよね。そのためには定期的に自動車の状態を把握しておくことが不可欠です。
定期的に行える自己点検の9つのチェック項目とポイントは以下の通り。
- 【ライト・ランプ】しっかりと点灯しているか
- 【タイヤ】1.6mm以上の溝が残っているか
- 【フロントガラス】損傷がないか
- 【警告灯】メーターに警告灯のランプが点灯していないか
- 【ワイパー】正常に作動するか。またウォッシャー液が作動するか
- 【クラクション】正常に作動するか
- 【マフラー】排気漏れがないか
- 【ドライブシャフトブーツ】損傷がないか
- 【発煙筒】使用期限が切れていないか
どの項目も比較的簡単に確認することが可能です。必要であれば修理や部品の交換を依頼しましょう。また上記のチェック項目は車検で行われる検査内容を網羅しているので、車検の時期になってあたふたしたりなどの心配もありません。
ここでは、それぞれの項目を「外観・内装」「機能・装置」で分類し、チェックポイントをさらに詳しく解説していきます。
10-1 自動車の外観・内装の4つのチェックポイント
自動車の外観や内装の項目には、「灯火装置」「タイヤ」「フロントガラス」「メーター廻り」の4つのチェック項目があります。
10-1-1 ライト・ランプ
まず車の外観についている、全ての灯火装置が点灯しているかを確認しましょう。投下装置は、「ヘッドライト」「テールランプ」「ブレーキランプ」「バックランプ」「ナンバー灯」「ウィンカー」などがあります。
普段から意識してチェックをしておかないと、意外とランプが切れていることに気づかないものです。切れている場合は、バルブを交換しましょう。またバルブを被うレンズが破損していると、光が漏れてしまいますので、そのような場合はレンズ自体を交換します。
10-1-2 タイヤ
次にタイヤの溝の残量や亀裂・ひび割れが生じていないかを確認しましょう。
タイヤの溝の残量は、一番磨耗している箇所を計測し、1.6mm以上残っているかがポイント。
また亀裂・ひび割れが無いかを確認します。当然ながら、溝の残量が1.6mmに満たない場合や、タイヤに亀裂やひび割れがあればタイヤの交換が必要です。もしタイヤを交換することがあれば、タイヤの大きさも注意しましょう。決してどのタイヤでもいいわけではありません。
フェンダーからタイヤが1cm以上、またはホイールが少しでもはみ出している場合、車検時に不正改造車扱いとなり、整備命令などが発令されますので注意が必要です。
10-1-3 フロントガラス
続いてフロントガラスにヒビや、損傷が無いかを確認しましょう。不備が見つかれば交換、もしくは補修を行います。
フロントガラスや側面ガラスに、外から内側が見えにくくなる着色フィルムが貼られている場合は、車検時に不正改造車扱いとなります。後部座席側のガラスには着色フィルムが貼られていても問題はありません。
10-1-4 警告灯などのメーター周辺
最後にメーター廻りは、シートベルト警告灯やエアバック警告灯などの警告表示灯が点灯していないかを確認しましょう。万が一、点灯している場合はディーラーへ持ち込み点検・修理依頼を行います。
10-2 自動車の機能・装置の4つのチェックポイント
自動車の機能や装置には、「ワイパー・ウィンドウォッシャー」「ホーン」「マフラー」「ドライブシャフトブーツ」の4つのチェック項目があります。
10-2-1 ワイパー・ウィンドウォッシャー
ワイパーが正常に作動するか、またその際にウィンドウォッシャー液がでるかを確認しましょう。
10-2-2 クラクション
次にホーンやクラクションと呼ばれる警報器が、正常に機能しているかを確認します。
10-2-3 マフラー
続いてマフラーから排気漏れが無いかを目視します。また空ぶかしを行い、排気音に異常が無いかを確認しましょう。万が一、排気漏れのある場合は、交換依頼かパテで補修を行います。
10-2-4 ドライブシャフトブーツ
最後にタイヤの内側と車体中央側についている、ゴム製のドライブシャフトブーツを確認します。確認方法は、まずハンドルを左右のどちらかにめいいっぱい切り、タイヤの内側と車体中央側を覗き込みましょう。その際に、ドライブシャフトブーツに損傷が無いかを確認します。
左右についていますので、片方だけで終わることのないように左右のドライブシャフトブーツの確認を忘れてはいけません。
車種によってはついていないこともありますが、車体の中央側に付いているゴム製のステアリングラックブーツという部品があります。確認方法は前述したドライブシャフトブーツと同じやり方ですので、損傷が無いかを確認しましょう。これも左右についているので、片方だけで終わらないように注意が必要です。
大切な車とより長く過ごすための選択肢、レストア
今回は旧車を蘇らせる手法のレストアについて解説してきました。
愛情を注いで人生を共にしてきた車が動かなくなってしまうこと、望まぬ劣化が進んで行ってしまうことは非常に心が痛みます。愛車とより長く過ごしたいという想いがあれば、いずれレストアを心に決める時がくるかもしれません。
もしも不動車を動く状態にしたいという場合はレストアは心強い選択肢となってくれるはずです。
車によって期間も費用も大きく変化してしまうレストアですが、カーライフの選択肢として覚えておいて損はありません。
もしもレストアをする際は車に愛情を持って接してくれる、信用できるプロにお願いしてくださいね。
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