2024年12月13日
ハチロクでお馴染みのトヨタ「スプリンタートレノ」の歴代モデルを振り返る
1972年にリリースされ2000年までの間、販売されていたトヨタの小型クーペ「スプリンタートレノ」。
同じくトヨタの「カローラレビン」の兄弟車種としても知られ、同モデルとはプラットフォームや内外装のほとんどを共有していることでも広く知られています。
そんな7代に渡る歴代スプリンタートレノの中でも、1983年に登場した4代目のAE86型はハチロクの愛称で親しまれ、人気漫画「頭文字D(イニシャルD)」に登場したことから現在でも根強い人気を誇ります。
その名前の由来は、スペイン語で雷鳴を意味する「Trueno(トゥルエノ)」。ちなみに、兄弟車である「Levin(レビン)」は英語の古語で「稲妻」を意味し、対となるモデル名が与えられています。
今回は初代から7代目まで、スプリンタートレノの歴代モデルを振り返ります。
目次
1 初代 TE27型
1972年3月に登場した初代スプリンタートレノTE27型は、カローラスプリンターのクーペをベースに誕生したモデルです。
全長3,965mmと、4mを下回る小柄なボディに上位車種のセリカ1600GTと同様の2T-G型1.6L DOHCエンジンを搭載。出力はベース車両のカローラの86馬力から115馬力へと性能を向上しています。
865kgという軽量さもあり、最高速度はなんと190km/h。小柄ながらに当時のトップレベルと言えるスペックを備えていました。
兄弟車の初代カローラレビンと並び、トヨタの市販車として唯一のオーバーフェンダーを装備したモデルとしても知られています。
そんな初代スプリンタートレノの販売期間は、登場した1972年から1974年までのわずか3年間のみ。販売期間は短期間ではありますが、当時のトヨタを代表する名車として現代まで語り継がれる1台です。
2 2代目 TE47型(前期/中期/後期)
1974年4月にフルモデルチェンジし、2代目スプリンタートレノをリリース。
初代のベースとなったカローラがE30型、スプリンターがE40型と分岐したことで、兄弟車種のカローラレビンはTE37型、スプリンタートレノはTE47型に変更されています。
2代目では、カローラレビンがクーペから2ドアハードトップとなったことにより、歴代の中でも唯一スプリンタートレノとボディが異なるのが特徴です。
初代からホイールベースが35mm長くなり、車両重量は60kg増加。さらに、スプリンタートレノには「GT」グレードがラインナップされ、レビン/トレノシリーズで初めてグレード展開されました。
しかしながら、1975年にスプリンタートレノで採用されている2T-G型および2T-GR型エンジンが昭和50年排出ガス規制、いわゆる日本版マスキー法に対応していなかったことから生産中止となり、同年11月で2代目スプリンタートレノ、カローラレビン前期型の販売が終了します。
前期型の販売終了からおよそ1年後の1977年1月、EFI(電子制御燃料噴射)と酸化触媒により2T-G型エンジンが昭和51年排出ガス規制に適合。それぞれ2代目の中期型としてスプリンタートレノTE61型、カローラレビンTE51型は復活を果たします。
中期型ではマイナーチェンジにより、スプリンタートレノにはハードトップ、カローラレビンにはクーペが追加され、車種のラインナップが統一されました。
1978年4月には当時、世界で最も厳しい規制とされていた昭和53年排出ガス規制に対応した2代目スプリンタートレノTE65型、カローラレビンTE55型を発表。
車両重量は前期型からさらに40kg増加した965kgとなり、年々基準が厳しくなる排出ガス規制のあおりを受け、初代のような性能からはかけ離れてしまいました。
3 3代目 TE71型
1979年3月、フルモデルチェンジが行われ、3代目スプリンタートレノが登場。当モデルは2T-G型エンジンを最後に搭載したモデルでもあります。
ボディラインナップは、ハッチバック機構を採用した3ドアファストバッククーペのみに設定。
3代目からはスプリンタートレノのセダンや2ドアハードトップ、リフトバックにも2T-G型エンジンを搭載するグレード、GTが設定されたのも特徴です。
1981年8月に発売した後期型からは、スプリンタートレノにサンルーフを標準装備したグレード「アペックス」や、衝撃吸収バンパーを単純構造のバンパーへ変更するなど軽量化され、機械式LSDを標準装備したグレード「S」が設定されました。
4 4代目 AE85/86型
1983年5月にリリースされた4代目スプリンタートレノはハチロクの愛称で親しまれ、現在まで絶大な人気を誇ります。
4代目からは4ドアノッチバックセダンと5ドアリフトバックセダンには、FF(前輪駆動)レイアウトが、カローラレビン、スプリンタートレノに関してはFR(後輪駆動)レイアウトが採用されました。
カローラレビン/スプリンタートレノとして販売された最後の後輪駆動車としても知られているモデルです。
そして、3代目をベースとしたシャシーの改良が行なわれたことにより、2ドアで900〜925kg、3ドアで935〜940kgと、大幅に軽量化されました。
エンジンは、新開発の4A-GE型を搭載。スプリンタートレノには、リトラクタブルヘッドライトを採用することで、カローラレビンとの差別化されたのがポイントです。
1987年5月に販売が終了、北米市場では1988年1月まで販売が継続されました。
4代目スプリンターとレノについて、さらに詳しく知りたい方はコチラも併せてご覧ください。
5 5代目 AE91/92型
1987年5月に登場した5代目スプリンタートレノは、キューイチ・キューニーの愛称で親しまれる3ボックススタイルの2ドアノッチバッククーペです。
5代目からは、FF化されたことにより好セールスを記録し、1991年に販売が終了するまでの約5年間で9万5,321台が生産されました。
AE91型には、最高出力85馬力のシングルキャブレター仕様の5A-F型1.5Lハイメカツインカム、およびEFI仕様の5A-FE型1.5Lハイメカツインカムエンジンが搭載。
後期型では5A-FE型エンジンをチューンした、最高出力105馬力の5A-FHE搭載のZSをラインナップ。
一方、AE92型は最高出力120馬力の4A-GE型エンジンを搭載。1989年5月に登場した後期型では、エンジンの改良により最高出力が140馬力にアップし、ハイオクガソリンが指定されました。
スーパーチャージャー付きの4A-GZE型エンジンを搭載した最上位グレード「GT-Z」は、前期型で最高出力145馬力、後期型で最高出力165馬力のハイスペックを実現。
後期型はホンダのVTEC搭載B16A型エンジンの160馬力を上回り、クラス最高峰のパワーを実現したことでも知られています。
6 6代目 AE100/101型
1991年6月にリリースされ、1995年まで販売されていた6代目スプリンタートレノは先代までとは異なり、ライトウェイトスポーツではなくスペシャリティカーとしての要素を強く打ち出した1台です
ボディサイズを歴代モデルより大型化し、 重量は1,110kgに増加。薄型ヘッドライトにグリルレスのフロントマスクなど、当時の流行を反映した外観を採用しています。
一方、5代目と同じく最高出力170馬力の1.6L スーパーチャージャー付き4A-GZE型エンジンを搭載したグレード、GT-Zを設定することで、走行性能を重視したモデルを用意していたのもポイントです。
1.6L 4A-GE型エンジンを搭載したグレードGT APEXは、1991年度のグッドデザイン賞を受賞しました。
7 7代目 AE110/AE111型
1995年6月、フルモデルチェンジにより7代目スプリンタートレノが登場。
7代目はプラットフォームを6代目から引き継ぎ、ボディデザインやインテリアコンセプトを踏襲。6代目に比べてボディは最大で70kg軽量化され、運動性能は大幅にアップグレードされたのがポイントです。
スーパーチャージャー付のグレードは廃止され、最上級のBZ系グレードには、最高出力165馬力を誇る1.6L 4A-GE型20バルブスポーツツインカムエンジンを搭載。
そして、足回りには高いコーナリング性能を誇るスーパーストラットサスペンションを装備しています。車両旋回時など、タイヤと路面のなす角度をコントロールするキャンバーコントロールアームによって安定したコントロール性能を実現しました。
ところが2000年8月、スペシャルティカーの人気が下火になったこともあり、スプリンタートレノはカローラレビンとともに販売終了。28年の歴史に幕を下ろしました。
往年のトヨタを代表するライトウェイトスポーツ「スプリンタートレノ」
1972年に初代が登場し、7世代に渡り約28年間続いたクレスタシリーズ。
1972年3月にリリースされ、当時のトップレベルのスペックを誇ったライトウェイトスポーツ初代スプリンタートレノ。
1974年4月に2代目がリリースされるも、1975年11月には排出ガス規制により生産が中止。それ以来規制に苦しめられ、初代からはかけ離れたスペックになるも3代目へとバトンを繋ぎ、4代目には現在まで語り継がれる名車「ハチロク」ことAE86型スプリンタートレノが誕生します。
5代目では、ホンダのVTEC搭載B16A型エンジンを上回るスーパーチャージャー付きの4A-GZE型エンジンを搭載した最上位グレード「GT-Z」がラインナップ。前期型で最高出力145馬力、後期型で最高出力165馬力と、脅威のスペックを実現しました。
6代目、7代目はスペシャリティカーとしての要素が強くなり、これまでとは異なった表情に。しかしながら、依然として走りを楽しむためのグレードを設定するなど、こだわりが伺えるモデルと言えるでしょう。
ところがスペシャリティカーの人気低迷により2000年8月、その歴史に終止符を打ちました。
現在では、70年代から90年代のライトウェイトスポーツを象徴する存在となったスプリンタートレノ。その知名度はもちろんのこと、小柄ながらに当時の最高スペックを実現した、トヨタを代表する1台です。
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