2023年11月17日
水没車の見分け方のポイントと売却時の注意点
台風などによる集中豪雨や洪水により、車が水没するトラブルをニュースや新聞などで見かけることも少なくありません。
もし、自分の愛車が水没してしまったら…。保険は適用できるのか、または手放す際にどこに依頼すればいいのかなど不安に感じることも多いはず。
今回は水没車についての概要から、被害を受けた際に保険が利用できるか、手放す際の注意点などについて触れていきます。また中古車を購入する際に、水没車かどうかの見分け方についてもお伝えしていますので参考にしていただけると幸いです。
目次
1 そもそも水没車とは
1-1 水没車の定義
水没車は名前の通り、水災により水没してしまった車を指し、冠水車や水害車とも呼ばれています。
一般財団法人日本自動車査定協会(JAAI)によると水没車は、「集中豪雨や洪水などにより、室内フロア以上に浸水したもの、または、その痕跡により商品価値の下落が見込まれるもの」と定義されています。
つまり、タイヤの半分程度の浸水であれば水没車の扱いにはならず、フロアまで浸水していると水没車として扱われるということです。
1-2 水没車の症状
水没車の定義について触れましたが、一般社団法人日本自動車査定協会では、中古車査定基準の加減点基準も定められています。
水没車は、水没の理由や経過時間などによって車の状態は変化していきます。そのため車両を査定する際は、水没の状況によって査定金額が異なることを覚えておきましょう。
具体的には以下のような箇所に、サビや腐食が見られると水没車として扱われます。
- シートのスライドレールやスプリング、レールの取付けボルト
- ペダル類のブラケットやリターンスプリング
- ステアリングポスト付近
- センターコンソール取付けボルト
- ドアトリムボードの金属部分
- シートベルト取付けボルト
- フロア部分
- ワイヤーハーネスのコネクタ
- シガーライター
車両の買取減点率は、上記で挙げた場所を確認し、浸水の痕か飲みこぼしなどによる痕かを判断します。
フロアまでの水没の場合で30%以内、クッションシート上部までであれば40%以内、ダッシュパネルの上部までいくと50%以内の減点となります。
2 水没車は保険が適応できるか
2-1 車両保険を利用できるケース
車が水没した場合、ゲリラ豪雨や洪水、台風などの自然災害による被害を受けた際は、車両保険に加入していれば補償の対象となることがほとんど。
ただし、全損扱いにならないと修理費用は補償されないことがポイントです。
全損扱いとなるケースはエンジンまで水没し、修理自体が不可能と判断された場合、もしくは修理費用が保険金額を超過してしまう場合です。
また竜巻や落雷、雹などの自然災害も車両保険が適用されます。
2-2 車両保険を適用できないケース
台風や洪水などの自然災害であれば、車両保険が利用できる可能性があるとお伝えしました。
では地震や津波などの災害の場合は車両保険は適用されるのでしょうか。
残念ながら、地震による津波や噴火が原因の損害は、一般的な車両保険では補償することができません。
地震や噴火の場合は多くの被害が発生し、保険金の支払い能力を超えてしまう可能性があるので、地震などの災害は対象外となります。
2-3 特約について
地震による津波や噴火による被害の場合に、一般的な車両保険は利用することはできません。
ただし、そのような被害を受けた際に補償される「地震・噴火・津波車輌全損時一時金特約」というものがあります。これは一般的な車両保険では補償することができない地震などの災害に対して適用できるものです。
ただし、特約に加入していても修理費や買い替えの費用を全額補償してくれるわけではありません。加入している保険会社によって異なりますが、車が全損した場合は50万円など、設定された金額が補償されます。
地震による津波が発生した場合、補償されないケースの例としては、
- 流失または埋没し、車が発見されなかったケース
- 運転席座面を超える浸水だった場合
- 車両が全焼した場合
- 損害を修理することができず、廃車にするケース
などが挙げられます。
2-4 保険を適用した際に等級は下がるのか
水没による災害で車両保険を利用すると、等級がダウンし翌年以降の保険料が上がります。
これは接触事故などと同様ですが、等級の下がり具合が異なることがポイント。
交通事故で車両保険を利用した場合は等級は3ランクダウンしますが、水没の場合に車両保険を利用した場合では1ランクダウンされます。水没の場合は過失事故として見なされないため、このような扱いになる仕組みです。
水没以外でも過失事故として判断されないケースは、
- 火災や爆発
- 車両盗難
- 飛び石による窓ガラスの破損
- 落書きなどのいたずらによる被害
などがありますが、契約する保険会社によって異なるのであらかじめ確認しておきましょう。
3 水没車の修理はケースによって異なる
愛車が水没してしまった場合、車の状態によりますが修理することも可能です。
ただし、車両の水没の程度によって修理費用は異なります。
例えば水没の度合いがタイヤまでの場合であれば、修理費用は一般的に5万円程度。
電装部品やエンジンが浸水してしまったケースは、修理費用は数十万円から数百万円になることも。ただし、修理自体が難しいと判断されることも少なくありません。
また、修理をする際に車両保険が適用できるケースがあるとお伝えしました。
保険金額内で修理が済むのであればいいですが、上限を超えてしまう場合は支払いが必要です。さらに翌年の保険料が高くなってしまうため、乗り換えを検討するのもいいでしょう。
4 水没車を購入してしまった場合
中古車市場には水没車が出回っているケースも少なくありません。見た目の状態がよかったとしても、場合によってはハーネスなどの電装系にトラブルが生じる可能性があります。
水没車は時間が経つにつれ故障のリスクも高まるので、長く乗り続けたいのであれば購入は避けた方がいいです。また中古車を購入する際は、クーリングオフができないことも覚えておきましょう。
業者の中には中古車の購入でも返品やキャンセルなどの期間を設けている場合もありますが、水没車はすぐには不具合が生じないこともあるので注意が必要です。
後々、後悔しないためにも購入を検討する際は、修復歴や冠水歴をしっかりと確認したうえで購入しましょう。
また水没車を手放す際も、査定時に伝えることが大切です。
その場では水没車であることが隠せたとしても、後で発覚したタイミングで「契約不適合責任」を問われ賠償を求められる可能性があります。
5 水没車の見分け方
水没車は接触などの事故車などとは違い、購入する際に判断が難しいものです。また前述したように中古車の場合は、クーリングオフができないケースもあるので慎重に選ぶ必要があります。
ではどのように水没車かどうかを判断したらいいのでしょうか。ここでは、水没車の見分けるポイントについて触れていきます。
ただ、お伝えする条件に当てはまってた場合でも、全ての車が水没車というわけではありません。購入する際は内容をチェックし、気になる点があれば担当者に確認をしましょう。
5-1 相場より車両価格が安い
購入したい車の相場価格より、明らかにプライスダウンされている中古車には注意が必要です。
ただ、年式や走行距離などの理由から価格が安いこともあるので、車両の状態を確認し気になる場合は担当者に確認してください。
5-2 異臭がする
中古車は販売前にクリーニングを実施しているので、異臭がすることはほとんどありません。
水没車は川や海などに長時間浸かっていることがあるので、シートなどに臭いが残ってしまっていることが多いです。そのような臭いは一度染み付いてしまうと、取ることが難しいので水没車を見分けるポイントとして覚えておきましょう。
またエンジンを試運転させることができる場合は、エアコンを作動させることも見分けるポイントの一つ。水没車の場合、クリーニングをしていても車体内部までは臭いを除去することが難しいのでエアコンに臭いが残っているかを確認しましょう。
5-3 サビや腐食
車両にサビや腐食がないかどうかをチェックすることも見分けるポイント。
特に海水に浸っていた場合は、サビや腐食が見られるケースが多いです。通常では発生しないような、車内の運転ペダル周りやシートのレール部分などを確認するといいでしょう。
また水没車の場合は、泥汚れが残っている可能性があります。シートベルトを引き伸ばして、ベルトの奥の部分が変色していないかをチェックするといいでしょう。
6 水没車は売却できるのか
水没車は状況によっては売却も可能です。
ただ前述した通り、事前に水没車だということを伝えておくことが大切です。
タイヤまでの浸水であれば買取される可能性もありますが、エンジンなどがダメージを受けている場合は買取金額が低くなってしまったり、そもそも断られるケースも少なくありません。
車両の浸水の度合いによって価値が変わるので、ディーラーや買取業者に確認を行いましょう。
また、水没車や事故車などを専門とした買取業者に依頼するのも一つの手段です。
浸水の程度が重度の場合でも、問題なく使用できるパーツの価値を買い取ってくれるケースがあります。通常の買取金額に比べると、金額は下がってしまいますが検討してみるのもいいでしょう。
ヴァ・ベーネなら水没車などの困った車も買取可能
見た目ではなかなか判断が難しい水没車。
被害を受けた際に、状況によっては車両保険を利用することもできますが、翌年の保険料が高くなるなどのデメリットがあります。
水没車は程度にもよりますが、後々のリスクなどを踏まえ手放す方が多いのが実情です。
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