2022年4月8日
ターボチャージャーの種類は何がある?搭載モデルもご紹介!
ターボチャージャーは「ターボ」や「過給機」と呼ばれている、エンジンの補器類の一つ。現代の多くの自動車で採用されており、最近では軽自動車へ搭載したモデルも登場しています。
通常のエンジンと比べパワーが高くなることは知っているけれども、どのような仕組みでどのような特徴があるのかまでは知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回はターボチャージャーについての仕組みや構造、そして搭載することでのメリットやデメリットについて解説していきます。またターボチャージャーを搭載した有名モデルについても紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
1 ターボチャージャーの仕組みと構造
ターボチャージャーは、大きく「タービン」「インタークーラー」「ブローオフバルブ」の3つのパーツで構成されています。
タービンは空気を圧縮する装置で、外周から排気を取り入れタービンブレードを経由し、排気管へと導きます。多くの空気を吸い込む必要があるので、1分間でおよそ10万回転するものや、なかには20万回転以上するものも。
タービン内で圧縮された空気は高温になるため、そのままエンジンへと入ってしまうと加圧した効果が半減してしまうことに。そのため、吸気温度を下げてパワーを確保するために設置されているのがインタークーラーです。
そしてターボチャージャーを形成する上で、必要不可欠なパーツがブローオフバルブ。これは高くなった圧力を逃したり、逆流を防ぎタービンを保護するための部品です。これによりターボチャージャーの機能を正常に保ち、タービンが破損することを防いでくれます。
2 ターボチャージャーの種類
ターボチャージャーは大きく「可変ジオメトリーターボ」「ツインターボ」「ツインスクロールターボ」に分類されます。ここでは、それぞれの特徴について説明していきます。
2-1 可変ジオメトリーターボ
可変ジオメトリーターボは、日産などで使用されていたジェットターボの対になるような存在です。ジェットターボのフラップが1枚だけなのに対し、可変ジオメトリーターボはハウジングの内側に複数のベーンが組み込まれていることが特徴。
これらがアクチュエーターにより角度を可変させることで、大量の空気が導入されることで流速が早くなります。
2-2 ツインターボ
ツインターボは、ターボチャージャーが2つ装着されているタイプ。シングルターボで発生する6気筒の排気干渉を回避する目的で導入されました。
排気がスムーズにされるのが特徴です。またシングルターボとは異なり、それぞれのターボが小型化されているので、レスポンスが向上したこともポイント。
2-3 ツインスクロールターボ
ツインスクロールターボは、スクロールと呼ばれるタービンへの排気を導入する通路が2分割されたものです。
過去にはマツダが発表した2代目サバンナなどに採用されていました。先ほど紹介した可変ジオメトリーターボの元祖ともいえるシンプルな構造が特徴で、その他にもインプレッサWRXやレガシーなど多くの車種に採用されています。
片方のスクロールにゲートが設置されており、回転数に応じて開閉することで双方のスクロールから排気を導入できる仕組みです。
3 ターボチャージャーのメリット・デメリット
ターボチャージャーは、少ない排気量で大型エンジンと同様の能力を発揮できるメリットがあります。エンジンさえ耐えられれば、制御力の変更や部品交換などで簡単にパワーアップできることも特徴。
また燃費が悪いというイメージを持たれている方も多いターボチャージャーですが、近年では燃費を意識したセッティングが施されています。ターボの搭載により排気量を小さくできた場合は、自動車税も安く抑えられることができます。燃費や税金など、様々な「コスト」を抑えられるのも、ターボチャージャーの魅力の一つです。
一方でターボチャージャーは通常のエンジンと比べて、部品数が多くなる傾向にあります。そのため、車体が重くなってしまう点や故障のリスクが高くなってしまうことがデメリット。
また低回転時の場合は、アクセルを踏み込んでからターボが効くまでにタイムラグが発生することも覚えておかなければなりません。このタイムラグのことを「ターボラグ」と言います。
4 スーパーチャージャーとの違い
ターボチャージャーと同様、過給器として導入されるのが「スーパーチャージャー」です。どちらも空気を圧縮しエンジンに送るためのパーツですが、明確な違いが2つあります。
まず過給機を駆動させる方法です。前述した通りターボチャージャーは排気ガスを使って過給を行っているのに対し、スーパーチャージャーはクランクシャフトの回転や電動モーターを利用して過給が行われます。
次にパワーがかかり始めるタイミングです。
高回転時にパフォーマンスを発揮してくれるターボチャージャーに対し、スーパーチャージャーは低回転でも機能を最大限発揮してくれることです。
このように見ていくとターボチャージャーよりスーパーチャージャーの方が性能が高く感じられるでしょう。しかしながら、スーパーチャージャーにもデメリットがあることを忘れてはいけません。
まずターボチャージャーに比べ一つ一つのパーツが大きく、重量が高くなってしまうこと。また高回転時でのパワーはターボチャージャーほど発揮されない点や、騒音が大きくなってしまうことも覚えておきましょう。
このように一概にはどちらがいいとは言い切れないため、どのようなシュチュエーションで使用するのかによって選択するといいでしょう。
5 ターボチャージャーを搭載したモデルとその特徴
5-1 日本で初めてターボエンジンを搭載した430セドリック
430セドリックは市販車として日本で初めてターボエンジンが搭載されたモデルで、登場したのは1979年のこと。
日産が製造し、国内におけるターボエンジンの歴史はここからスタートしました。ターボエンジンだけでなく、LD28型直列6気筒のエンジンや「エンジン集中電子制御システム」など、多くの技術が取り入れられた車種としても知られています。
5-2 国産車で初となるV型ターボエンジンが採用されたY30セドリック
1983年に日産から登場したY30セドリックは、V型エンジンに初めてターボを取り付けた国産車。同時期にデビューした「グロリア」同様、2LのVG20ET型エンジンが搭載されていました。
また、デビューから1年後には3LのVG30ET型エンジンが搭載されたモデルも登場しています。
5-3 国内初のツインターボを搭載したマークⅡ
トヨタが開発を手掛けたマークⅡの5代目にあたるモデルは、1984年に販売をスタート。その翌年に日本初となる、ツインターボが採用されたモデルが登場。兄弟車のチェイサー・クレスタにも搭載され人気を博しました。
その後スープラやソアラなどにもツインターボが採用されるなど、5代目マークⅡはツインターボの礎を築いた一台です。
まとめ
今回は、ターボチャージャーの特徴や種類、メリット・デメリットについて紹介しました。またターボチャージャーと対になるスーパーチャージャーとの違いについても説明してきました。
ターボチャージャーを搭載することでのメリットは、少ない排気量で大型エンジンと同様の能力を発揮できることです。
その反面でターボチャージャーは通常のエンジンと比べて、部品数が多くなるため、車体が重くなってしまうのがデメリット。またパーツが増えれば、故障のリスクが高くなることも忘れてはいけません。
当記事を参考に、ターボチャージャーの仕組みを知り、メリットやデメリットを踏まえた上で自分に合った車選びができるといいですね。