2022年1月14日
ワンダリングの原因はタイヤだけではない?6つの原因と対策について
皆さんは「ワンダリング」というタイヤの関連用語をご存じでしょうか。車や運転についての知識を普段から学んでいる方にとっては、なじみ深い言葉かもしれません。
しかしながらワンダリングを引き起こす原因と対策方法についてまでは知らない方も多いのではないでしょうか。そこで今回はワンダリングについての概要と、ワンダリングが発生する6つの原因と対策についてご紹介していきます。
目次
1 車のワンダリングとは
運転している時に、車の動きやハンドルの操作感がおぼつかないような感覚を覚えたこともあるのではないでしょうか。この現象こそがまさしくワンダリングで、走行時に轍や路面の勾配により車がふらつく現象のことを指します。
その原因の一つはタイヤと路面との接地面に発生する力の変化です。また、ホイールアライメントの不適正、操舵系の不具合といった原因で発生することも覚えておきましょう。
次章では、ワンダリングの原因についてさらに深掘りし、原因ごとの対策について解説します。
2 ワンダリングが発生する 6つの原因と対策
2-1 タイヤが劣化する
タイヤは地面と接することで時間が経過すればする程、摩耗し劣化していきます。摩耗が進むことで段差やうねりを吸収するゴムの弾力が弱まるため、地面からの振動がボディに直接伝わり、ワンダリングが発生します。
タイヤが劣化するとハンドルも安定しなくなるため、非常に危険です。タイヤの劣化は、新品のタイヤに交換するだけで簡単に解消できるでしょう。
タイヤ自体の費用と業者に依頼して交換を行う場合は、工賃もプラスでかかってきます。それぞれのコストは車種によって様々なので、実施する際はあらかじめ確認しておきましょう。
またタイヤを新しく交換した際に「バランス調整」が必要になり、タイヤの均一性を表す言葉「ユニフォミティ」が関係しています。
本来であればタイヤの全周においてその寸法や重量、剛性が均一であることが理想です。しかしながら現実には製造段階でタイヤの真円性を完全に確保するのは難しいので、タイヤ交換時にユニフォミティを改善する角度でホイールと組み合わせたりバランスウエイトをホイールに貼って調整する必要があります。
バランス調整を行う場合の1本あたりに要する作業工賃は、小型車であればおおよそ千円程度。大型トラックであれば、約2千円~4千円程度が目安となります。ホイール調整は全てのタイヤに対して行いますので、この4倍がトータルの費用となることを覚えておきましょう。
またバランス調整にかかる作業時間はタイヤ1本あたり10分程度で済むことがほとんど。混み具合によっては時間がさらにかかってしまうケースもあるので、あらかじめ確認しておくといいでしょう。
2-2 タイヤの空気圧が減少する
タイヤの空気圧が極端に減ってしまうことも、不正路などでのふらつきが発生しやすくなる原因の一つ。タイヤの空気圧は1ヶ月で10kPaほど減っていくため、こまめに空気圧をチェックする必要があります。そのため空気圧の点検の頻度は1〜2ヶ月に一度が目安です。
自分で実施する場合のポイントは大きく3つ。
まず点検する際はタイヤが冷えている時に行うことがポイントの一つ。タイヤが暖まると熱膨張で空気圧も高くなっているので、正確な点検・調整のためにタイヤが冷えているときに実施しましょう。
2つ目に空気圧調整は指定の数値を下回らず、上限は10%程度に調整することをおすすめします。車によって適切な空気圧は異なるもので、運転席ドア開口部など目立つところに記載されているので確認が必要です。厳密に指定空気圧を守るのが大切ですが、安全上から見て指定の数値を下回らないようにし、上限は10%程度に留めておくといいでしょう。
最後にバルブからの空気漏れやホイールの変形等も点検が必要です。チューブレスバルブもゴム製品なので時間が経過すれば劣化します。空気が漏れているかどうかのチェック方法は、洗剤などを溶かした水をバルブ付近につけ、泡ができるかどうかで判断しましょう。また併せてホイールも変形などの異常がないかを点検します。
このように自分で空気圧の点検は実施が可能ですが、時間が無い場合や作業に不安がある方は業者に依頼するといいでしょう。
2-3 サスペンションの劣化や事故による変形
ワンダリングを発生させる原因となるパーツには、サスペンションの劣化も原因の一つ。これはダンパーやブッシュなどの構成部品が耐用年数に達したことで起こる現象です。
乗車していて最も体感しやすいのは振動。うねりのある道路を走行した場合や段差を通過したのちに、すぐに収まっていたボディの揺れがいつまでも止まらないなんてことも。このような場合はダンパーの抜けやオイル漏れが原因と考えられます。
またダンパーのへたりは異音を伴うケースもあるため、ギシギシといった音が聞こえればボディが原因の可能性も考えられるため専門店にチェックしてもらいましょう。ダンパーは「新車から10年」「走行距離8万kmごと」が交換の目安。もちろん車の使用環境によっては期間が異なりますので、あくまでも目安として捉えておきましょう。
また事故で車軸が変形した場合、直進性能やコーナリング性能に悪影響が出ます。車軸の変形はハンドルのふらつきにもつながるため、当然危険です。
すぐに修理が必要なため業者に依頼しましょう。修理費は事故の度合いや車種によっても異なるので、あらかじめ問い合わせしておくことをおすすめします。
2-4 シートが劣化する
車の乗り心地を左右するシートが劣化することで弾力性が失われ、ふらつきを感じやすくなります。走行距離が5万kmを超えた段階で変化を感じ、10万kmも走ればクッション性の劣化が明らかになるでしょう。
シートが劣化すると車への振動や衝撃が体に伝わりやすくなり、ワンダリングを自覚しやすくなります。
対策方法は大きく2つあり、シート交換を行うか専用のクッションを購入することです。
シート交換をするケースは、種類も様々なので交換するコストも異なります。一般的なシート交換の作業工賃は、一つのシートに対して5千~1万円程度。ただし取り外す純正シートが多機能な場合は、工賃がさらにかかる場合もあることを覚えておきましょう。
工賃以上に費用が掛かるのがシート自体の費用です。背もたれがリクライニングする、比較的タウンユースのセミバッケトシートタイプで、本体3万~20万円程が一般的。背もたれがリクライニングしない、サーキットやジムカーナ向けの本格的なバケットシートになると、本体価格は2万~20万円程かかります。またシート本体だけでは取り付けることができないため、購入したシートに対応した車種別のシートレールが必要で2万~3万円程度かかることを覚えておきましょう。
シートそのものを交換するのは非常に高額であるため、専用のクッションを購入することも対策の一つ。クッションを置くだけでも弾力性がかなり戻るため、ワンダリングの対策になります。
2-5 ホイールアライメントが狂ってしまう
ホイールアライメントが狂ってしまうことも、ワンダリングを発生させる原因の一つ。
タイヤには、「トー角」「キャンバー角」「キャスター角」というものがあります。これらの角度が適度に調整されていれば、ワンダリングが起きることはありません。
アライメントについてさらに詳しく知りたい方はコチラもご覧ください。
アライメントが狂ってしまう原因は以下の4つ。
- 経年劣化によるサスペンションのゴムブッシュの劣化
- 縁石などの段差に強く乗り上げる
- 車高を上げたり下げたり調整した
- ホイールを太いものに変更
上記以外にも原因は考えられますが、運転時にハンドル操作に違和感を感じたりした場合はアライメントを疑いましょう。また異常を感じられなくてもタイヤの片減りを発見したら、ホイールアライメントが狂っている可能性があります。
アライメントの調整を依頼する際は、「測定料金」「調整料金」の2つに分類されている場合と測定と調整込みで行ってくれるところもあります。測定と調整込みで1万5千〜2万円程度が相場です。
依頼する場合は測定と調整を合わせた金額なのか、別々でのコストなのかを確認しておきましょう。
またアライメント調整を実施するには、アライメントテスターと呼ばれるタイヤの位置や角度を測定する設備を用いて実施します。場所によっては測定器や経験のある整備士がいないなどの理由から下請けに出させることもあり、時間が通常よりかかってしまうことも。
このことからアライメント調整を検討する際は、あらかじめ確認しておくことが大切です。
2-6 ブレーキ不良が発生する
ブレーキパッドがディスクに張り付いてしまう状態の「引きずり」により、左右どちらかに車が振られてしまいます。引きずりが起こるとワンダリングが発生しやすくなるだけではなく、事故の危険性も高くなるので注意が必要です。
ブレーキパッドを修理するだけで解消されるため、違和感を覚えたらすぐに修理を依頼しましょう。
交換する際の工賃の目安は車種によって変動しますが、左右1組で工賃の目安は軽自動車で6千円~、普通車では8千円~程度となります。
ブレーキパッドの部品代は性能によって変わりますが目安は軽自動車で左右1組で6千円~、普通車で左右1組8千円~程度が相場。当然ながら高性能なものや、大きな車両などのブレーキパッド自体が大きなものはコストも高額になります。
ブレーキパッドの交換はディーラーやカー用品店、ガソリンスタンド、整備工場などで行っているので連絡し対応してもらいましょう。
まとめ
今回は 車のふらつきを表す「ワンダリング」について概要や、6つの原因とそれぞれの対策について紹介しました。
ワンダリングは、タイヤの劣化・タイヤの空気圧・サスペンションの劣化・シートの劣化・ホイールアライメントの狂い・ブレーキ不良が原因で発生します。
今回紹介した内容を参考に、ご自身の愛車にワンダリングが発生していないか、チェックしてみましょう。