2021年4月9日
今なお多くのファンを魅了し続ける90年代のスポーツカーに迫る!
日本の90年代は華やいでおり、活気に満ち溢れていました。それは自動車業界も例外ではなく、各メーカーよりニューモデルがリリースされた時代でもあります。
90年代は国産スポーツカーの黄金期とも呼ばれており、多くのスポーツカーファンを魅了しました。現在でもその人気ぶりは衰えることを知らず、中古市場では高値で取引されているモデルもある程。
そこで今回は、90年代に誕生したスポーツカーをメーカー別に紹介していきます。
目次
1 90年代の国産スポーツカーが人気の理由
90年代の日本は活気に満ち溢れていました。空前の好景気を迎えた日本の自動車業界は、数々の名車が各メーカーより誕生した時代でもあります。
例えば日産からはスカイラインGT-Rを16年ぶりに復活。トヨタは新型MR2を発表し、ホンダは1,000万円クラスの高級スポーツカーNSXをリリース。マツダからはアンフィニRX-7がリリースされるなど、今もなお高い人気を誇るスポーツカーが続々と登場しました。
90年代に発表された国産スポーツカーは、コンディションのいいものであればほとんどがプレミア価格で取引されています。これはアメリカの「25年ルール」と呼ばれるものが関係しています。このルールはアメリカ内で正規販売されておらず、製造から25年経過していない車両は走行できないというもの。つまり日本車を含む輸入車を、個人が好き勝手に取り寄せて公道を走らせることができないわけです。
しかしながら、その規制は25年を経過すると解除されます。アメリカでは90年代に発表された日本製のスポーツカーの人気が高く、マニアの需要が極めて高いことから現在でも高値で取引が行われているわけです。
2 日産から誕生した90年代の名車
2-1 90年代国産スポーツのイメージリーダー「スカイラインGT-R R32型」
スカイラインGT-Rは日産が提供していたモデルで、1989年に誕生したのがR32型。
GT-Rシリーズは1969年にスタートしており、R32型は第2世代と呼ばれる一台。先代が生産終了してから16年ぶりの復活ということもあり、大きな話題となったことでも有名です。R32型は当時の最新装備が多数採用されており、エンジンや足回りは市販車の平均的な水準を上回るもの。
エンジンはツインターボエンジンRB26DETTが専用に開発、搭載されそのパワーは280 PS/36 kgf·mを達成するなど非常に強力なエンジンとなっていることが最大の特徴。
足回りも四輪駆動システムの「ATTESA E-TS」と、四輪操舵システム「Super HICAS」の最新メカニズムを搭載。また後輪駆動から四輪駆動となったことがトピックの一つです。
中古車市場でもその人気ぶりは高く、高値であれば900万円で取引されているなんてことも。ちなみにスカイラインGT-R R32型はアメリカでは「ゴジラ」の愛称で親しまれており、日本のモンスターマシンとして高い人気を誇っている一台です。
2-2 デザインが特徴的な「シルビアS13型」
シルビアは日産が1965年より提供していたシリーズ。その中で今回は1988年に誕生したシルビア S13型を紹介していきます。シルビアが生産中止になるまでに7つのモデルを発表しており、S13型は5代目にあたるモデル。
ボディは未来的なデザインが特徴的で、グッドデザイン大賞を受賞したことでも有名。そのシルエットは男性からの支持を得たのはもちろんですが、女性からの人気を集めたデザインです。
エンジンはCA18DE型とCA18DET型の2タイプをラインナップ。足回りには新開発のリアマルチリンクサスペンションを採用しています。
3 トヨタから誕生した90年代の名車
3-1 ハチマルスープラの愛称で親しまれている「スープラA80型」
1993年に提供をスタートさせたスープラA80型は、型番の「A80」から「ハチマルスープラ」の愛称で親しまれている一台。キャッチコピーは「THE SPORTS OF TOYOTA」。ラグジュアリーカーという位置づけではなくスポーツカーとしてのイメージを強めたいメーカーとしての意志が込められているモデルです。
先代モデルより変更されたポイントは、フェンダーをワイド化させ全長とオーバーハングを短くされたことが特徴。また燃料タンクをトランク下に配置することで、前後の重量配分を最適化させました。さらにアクティブスポイラー・大型リアスポイラー等のエアロパーツを充実させることで、空力抵抗を軽減させ、当時の世界トップクラスの数値を叩き出すほど。
日本の乗用車としては初の試みだった6速MTを搭載させ、電子制御式サブスロットルシステム「ETCS」を導入したこともポイントの一つ。
エンジンは3.0L自然吸気・3.0Lツインターボを搭載。最高出力は280PS、0-100km/h加速は4.6秒を実現することに成功しています。先代モデルよりさらに進化を遂げたことで、完全なるスポーツカーとして進化し世界中の愛好家から支持される一台となりました。
しかしながら2002年に導入された排出ガス規制に対応することができず生産終了となった一台です。
3-2 国産メーカー初となる市販ミッドシップ車「MR2 SW20型」
国産メーカーでは初めての市販ミッドシップ車として、誕生したのがMR2。初代は1984年にリリースされ、今回紹介するのは1989年に先代モデルよりフルモデルチェンジされたMR2 SW20型。
トヨタが提供しているモデルで、車名の由来は「Midship Runabout 2seater」の略。
エンジンは3S-GTE型と3S-GE型の2タイプをラインナップ。また世界初となるステアリングの切れ角に応じて光軸が左右に可動する、ステアリング連動フォグランプも大きな話題となりました。
4 ホンダから誕生した90年代の名車
4-1 国産車で唯一のスパーカー「NSX」
1990年にホンダがリリースしたのがNSX。「世界に通用するホンダの顔を持ちたい」というコンセプトをもとに開発された一台。F1ドライバーで有名なアイルトン・セナ氏が開発に携わったことでも有名な話。
コンセプトにもある通り、当時のポルシェやフェラーリに打ち勝とうとした国産で初めてのスーパーカーです。そして現在でも「日本車で唯一のスーパーカー」と呼ばれている程。
車名の由来は「New Sportscar X」の略で、「X」は未知数を表しています。ボディデザインは世界初となるオールアルミニウムボディを採用。これにより軽量でありながらも、剛性が高いものになります。
初代NSXの販売価格は、当時の国産車の中でも最高額の800万円。NSXの生産は、ほとんどの工程を手作業で実施しているため材料面や作業面でのコストがかかってしまうためです。
C30A型 V6 DOHC VTECエンジンを搭載し、足回りはダブルウィッシュボーン式を採用。それまでのスポーツカーは走行性能のみに注力し、開発されたものがほとんどでした。しかしNSXは「人」を優先し、居住空間を広くとりドライバーの視認性にもこだわった一台です。
中古車市場では安値で400万円程度。高値であれば2000万円で取引されているものもあり、当時の発売金額を超えるなんてことも。
NSXは当時も現在でも憧れの存在と言えるのではないでしょうか。
4-2 FF最強のハンドリングマシン「DC2型 インテグラ タイプR」
DC2型インテグラタイプRはホンダが販売していたスポーツカーで、1995年に誕生したモデルです。発売当時は、FF最強のハンドリングマシンと称される程。
前述したNSXシリーズに続くモデルで、「3ドアクーペ」と「4ドアハードトップ」の2タイプをラインナップ。
エンジンはB18C型1.8L 直4VTECを搭載しており、最高出力200ps /8000rpmを記録しています。これは職人が手作業でポート研磨を行っていたことが特徴で、量産モデルのエンジンにこの手法を採用したことは大きな話題になりました。
中古車市場では程度や状態によって変動はしますが、100万円以下で購入できることも多く、高値でも250万円が相場と言えます。
5 マツダから誕生した90年代の名車
5-1 マツダの代名詞のロータリーエンジンを搭載した「アンフィニRX-7」
サバンナRX-7はマツダがリリースしていたスポーツカー。歴代シリーズは3代目までリリースしており、1978年〜2003年まで提供していたモデル。
サバンナRX-3の後継車として誕生し、多くのファンを魅了し現在でも人気を集めている一台です。車名の由来は「R」が「ロータリーエンジン」、「X」が「未来を象徴する記号」を意味しています。また「ロータリー・スペシャリティ」と表現する場合も。「7」は「マツダ内での車格番号」を意味しています。 RXの車名を採用した車種はこの他に2、3、4、5が存在していますが、日本国内向け車種でRXを使用したのはRX-7が初めてです。
そして1991年に誕生したのが「アンフィニRX-7」。それまでの「サバンナ」の呼称が外され「アンフィニ」の名を冠していることが特徴。
足回りには新開発された4輪ダブルウィッシュボーンが採用され、「アンフィニのスポーツです」「その非凡さが、アンフィニ」「ザ・スポーツカー」「ザ・ロータリースポーツ」などのキャッチコピーがあります。
シーケンシャルツインターボが搭載された13B型ロータリーエンジンを搭載。最高出力は255psから最終的には280psまで向上しました。その他にも走行性能やサスペンション、乗り心地が先代より改善された一台です。
ロータリーエンジンはマツダの代名詞で、多くのファンを病みつきにしたモデル。
「サバンナRX-7」について、歴代モデルを知りたい方はこちらも併せてご覧ください。
5-2 高級感が漂う一台「ユーノスコスモ」
ユーノスコスモはロータリーエンジンを搭載したモデルで、マツダが1990年に発表。
コスモスポーツ以来のロータリーエンジン専用車で、13B-REW型と市販車では世界初となる20B-REW型の2種をラインナップ。ボディタイプは「2ドア ノッチバッククーペ」のみで、20Bエンジン搭載車には世界初となる「CCS」と呼ばれるGPSカーナビを標準装備し話題を集めました。
グレードは「TYPE-ECCS」「TYPE-E」「TYPE-S(前期・中期型)」「TYPE-SX(後期型のみ)」を用意しています。20Bエンジンは当初333馬力で設計されていましたが、運輸省の行政指導により280馬力にパワーを封印する形となりました。
スポーツカーには珍しくATのみをラインナップ。これは20Bエンジンの出力に耐えられるMT用のクラッチが、当時では開発されていなかったなんて逸話もある程。インテリアも本革やウッドパネルが使用され高級感が漂う一台です。
まとめ
今回は自動車業界が華やいでいた、90年代に誕生したスポーツカーについて紹介してきました。
各メーカーより名車と呼ばれるモデルがリリースされ、現在でも高い人気を誇り高値で取引がされている程。90年代の時代を感じてみるのも面白いかもしれません。