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スペシャリティカーを定着させたセリカの変遷に迫る

スペシャリティカーを定着させたセリカの変遷に迫る

スポーツカーのアイコン的存在感を放っていたセリカ。スペシャルティカーと呼ばれるカテゴリを日本に定着させたことでも有名なモデルです。

その洗練されたスタイリングで現在の旧車市場でも人気の高い一台。また2021年以降に新型モデルが復活するとの噂もあり、ファンのみならず車市場にも大きなインパクトを与えています。

そんなセリカの歴代モデルを振り返り、それぞれの特徴や現在の相場まで徹底解説していきます。

1 セリカとは

セリカはトヨタ自動車が1970〜2006年まで提供していた乗用車。

ドライバーを魅了するダイナミックな走行性能が特徴の一つ。その人気ぶりは国内にとどまらず世界中の多くのファンに親しまれてきました。ボディタイプはクーペとハードトップが主流で、歴代モデルによってはコンバーチブルがラインナップされているものも。

コンバーチブルはオープンカータイプで、屋根がないかもしくは屋根を開放することが可能な自動車。

前述した通り初代モデルが爆発的にヒットしたことで、「スペシャルティカー」と呼ばれるカテゴリを日本に定着させたことでも有名な一台。またセリカの上級モデルとしてリリースされていた「セリカXX」や、WRCでも活躍していた四輪駆動の「セリカGT-FOUR」なども多くのファンを虜にした一台です。

様々な人気車種を生み出したシリーズですが、当時の最先端のスタイルと性能を融合させたトヨタの中でも一際目立つ名車と言えます。

2 スペシャルティカーを定着させた初代「セリカA20/30型」

初代セリカは1970年にリリースされたモデル。キャッチコピーは「未来の国からやってきたセリカ」。

そのキャッチコピー通り、その当時では珍しいボディ形状が特徴的な一台です。ダルマのようにふくよかな見た目だったことから「ダルマセリカ」や「ダルマ」の愛称で呼ばれ、現在でも親しまれています。また日本初となるフルチョイスシステムを採用したことでも話題に。これは4種類の外装、9種類の内装、4種類のエンジン、3種類のトランスミッションを組み合わすことが可能でした。

ボディタイプは独立したトランクルームを持つ2ドアハードトップのみをラインナップ。最上級モデルにはヤマハ製の2T-G型DOHCエンジンを搭載した1600GTを用意していました。これはフルチョイスシステムの対象外車種でしたが、人気を集めた一台です。

リリースされてから2年後にはマイナーチェンジを実施します。リアコンビランプの方向指示器を独立させ室内コンソール形状などを変更し、同時期に1600GTVを発表。“V”はVICTORYの略称で勝利を意味しています。1600GTとの違いは専用ハードサスペンションを装着し偏平タイヤを採用するなど、さらにスポーティさを追求した一台。

翌年には、なだらかな傾斜にリアゲートが特徴の3ドアボディの「セリカリフトバック」が登場。それまではクーペが丸くすぼんだテール周りのデザインだったのに対し、エッジが効いたデザインが特徴のモデル。当時のアメ車をイメージさせることから、若者を中心に人気を集めます。

7年間のリリース期間中の生産台数は驚異の41万台を記録。この台数からも人気ぶりが分かるのではないでしょうか。

3 往年の名車「セリカXX」が誕生した2代目「セリカ A40/50型」

1977年にフルモデルチェンジされ、リリースされたのが2台目セリカ。

デザイン担当が変更されたことで、初代とはイメージを一変。フロントフェイスでは丸眼4灯は継承しつつ、空力重視でスラント角が強められバンパーもよりボディと一体化されている一台です。現在では主流となっていますが、国産車初となる3次曲面ガラスを採用していることも特徴の一つ。

当初の搭載エンジンは6種類をラインナップし、以下の通りです。

  • 1.6L 2T-U型(OHV・シングルキャブ)
  • 12T-U型(OHV・シングルキャブ)
  • 2T-GEU型(DOHC・EFI)
  • 1.8L 3T-U型(OHV・シングルキャブ)
  • 2.0L 18R-U型(SOHC・シングルキャブ)
  • 18R-GU型(DOHC・ツインキャブ)

1.8L 3T-U型は昭和53年の排出ガス規制に合わせ、13T-U型(OHV・シングルキャブ)に変更しています。

翌年には直列6気筒エンジンを搭載した「セリカXX」を発表。これはトヨタを代表するスポーツカーとなる「スープラ」の原点でもあるんです。内装が非常にラグジュアリーで、ハイソカー・ソアラの源流とも言われています。

スープラの歴代モデルについて詳しく知りたい方は是非、こちらもあわせてご覧ください。

4 さらにスポーツカー要素が強まった3代目「セリカA60型」

1981年にリリースされたのが3代目セリカA60型。先代に比べスペシャルティカーの要素を一層強めて登場。

ボディタイプは3ドアリフトバックと2ドアクーペの2種類をラインナップ。リフトバックタイプは緩やかな傾斜角の直線的リアゲートを採用。一方クーペタイプは傾斜角のきついリアウィンドウが印象的なので同じ車種ですが異なることが特徴の一つ。

エンジンは「2.0リッター 4気筒DOHC」「 1.6リッター 4気筒DOHC」「EFI仕様の1.8リッター OHV」「新開発の1.8リッター SOHC」の計4タイプを用意しています。

前期型と後期型でデザインが異なっており、前期型は国産車初となるポップアップ式ヘッドランプを採用。その見た目から「ヒラメセリカ」の愛称でも親しまれたモデルです。

提供をスタートして2年後にマイナーチェンジが行われ後期型をリリース。一般的なリトラクタブル式ヘッドランプに変更されました。またWRC参戦のため、ホモロゲ―ションモデル「GT-TS」を200台発売。

3代目セリカはストリートはもちろんですが、サーキットでも活躍した一台です。

5 セリカシリーズの転換期となった4代目「セリカT160型」

1985年には駆動方式をFRからFFに変更し4代目セリカが登場。見た目は流面形のボディが特徴で、それまでのセリカとは異なる印象を与えたモデル。

ボディタイプは先代まで用意されていたクーペタイプを廃止し、3ドアリフトバックのみをラインナップ。

前述したとおり、駆動方式を変更するなどパワートレインを一新したことがトピックの一つ。トランスミッションは、5速MTと4速トルコン式ATが設定されています。エンジンは「1.6L直4DOHCの4A-GE型」「1.8L直4SOHCの1S-i型」「2L直4DOHCの3S-GE型」の3タイプをラインナップ。いずれも先代には搭載されていたものとは異なり、LASRE(レーザー)エンジンと呼ばれるトヨタで開発されたエンジンです。

ネーミングは以下の頭文字から決定しました。

  • 【L】:「ライトウェイト」軽量
  • 【A】:「アドバンスト」進歩的な
  • 【S】:「スーパー」凄い、高いなど
  • 【R】:「レスポンス」応答性
  • 【E】:「エンジン」

低燃費と高性能を両立させた新世代のユニットです。

翌年にはフルタイム4WDのセリカGT-FOURも誕生。これはトヨタ初となるベベルギア式センターデフを装備した一台で、ターボチャージャーを備えることで最高出力185PSを発揮するパワーユニットが特徴的なモデルです。WRCへ本格的に参戦し、ラリーの世界でも活躍を重ねることで新しい時代のセリカが確立されていくことに。

またマイナーチェンジが実施された1987年にはトランクルームを持つ専用ボディの「セリカ コンバーチブル」を国内限定でラインナップに追加。これは6代目セリカまで継続されています。

6 世界中にセリカの名前を知らしめた5代目「セリカT180型」

5代目セリカT180型の提供スタートしたのが1989年のこと。CMにはアメリカの人気俳優エディ・マーフィを起用したことでも話題となりました。

プラットフォームは先代を踏襲したものですが、曲面曲線を多用したニューエアロフォルムと呼ばれる近未来的なスタイリングに仕上がった一台。エンジンは水冷直列4気筒DOHC16バルブターボのみに統一されています。

大きく変更された部分はサスペンションのリファインが行われたことで、ボディ剛性が向上したことがポイント。またシリーズ初となる4輪操舵システム(デュアルモード4WS)を採用するなど、新機軸も導入されました。これはハンドリング特性を「ノーマル」と「スポーツ」に切り替えを可能にしたものです。

先代から登場したGT-FOURもトップグレードでラインナップし、エンジンの高圧縮化や細部にわたるチューニングにより最高出力225psを達成。引き続きWRCでも活躍したモデルで、クロスレシオのマニュアルミッションを標準装備し、エアコンやパワーウィンドウなどの快適装備を省いたラリー競技ベース車「GT-FOURラリー」もラインナップ。これにより“セリカ=ラリーに強い”というイメージを世間に定着させました。

1990年にはワイドボディのGT-FOUR Aが登場。その翌年にはホモロゲ―ションモデルGT-FOUR RCを5000台発売します。これは日本車初となるWRCマニュファクチャラーズと、ドライバーズタイトルの二冠を達成したことでも有名な一台です。

7 スポーツ性とボディ剛性がさらに向上した6代目「セリカT200型」

「硬質でダイナミックなスポーティ感覚」を開発テーマに掲げ、1993年にリリースされたのが6代目セリカT200型。それまでのスタイリングを一新し、高いスポーツ性とボディ剛性がさらに向上したことが特徴。

それまで主流だったリトラクタブルヘッドランプを廃止し、固定式丸型4灯式ヘッドランプを採用し大きくイメージを変更しています。

ボディタイプは3ドアリフトバックモデルと、電動ソフトトップを採用したフルオープンボディのコンバーチブルモデルの2タイプ。またWRCでも活躍していたGT-FOURの最終モデルがラインナップされたモデルでもあります。

コンバーチブルモデルはボディ剛性を大幅に高めるとともに、ソフトトップのリヤウインドウをガラス製にし、耐久性や視認性が向上。これにより日常の実用性に加え、優れた走行安定性や乗り心地を実現している一台。

インテリアにもこだわりが見られ、操作性を重視したコックピットデザインを採用。より視認性を向上させた大型ホワイトメーターや機能的なインストルメントパネル、グリップ性に優れる本革巻3本スポークステアリングホイールなど質感の高いスポーティな仕様となっていることが特徴です。

その他にもオートエアコンや音響にこだわった8スピーカーを配置するDSP付セリカ・スーパーライブサウンドシステムなど、快適装備が充実していることも魅力の一つ。

パワーユニットは先代モデルを踏襲していますが、さらにブラッシュアップされた2.0Lエンジンを搭載。

またスーパーストラットサスペンションや大型リヤスポイラーなどを装着したWRC仕様車は2100台用意され、国内限定で発売されたことでも話題に。GT-FOURの最終モデルがラインナップされた最後の車種ということもあり、今なお世界中の多くの熱狂的なファンが存在している一台です。

8 多くのファンが涙をのんだ7代目「セリカT230型」

※出典 https://www.shaken110.com/

歴代車種に比べ幅広い層のユーザーを想定した「ライトな新感覚GT」として、1999年に登場したのが7代目セリカT230型。人気を集めたGT-FOURが廃盤となったモデルでもあります。

先代との見た目が変わり、縦長のヘッドランプが特徴的なモデル。流線型でありつつも、エッジの効いたキャラクターラインにより躍動感を感じさせるデザインを採用。

ボディカラーはスタイリッシュで個性的なフォルムをビビッドに演出してくれるスーパーブライトイエローを含む、計7色を設定しています。

エンジンは排気量をダウンサイジングした、高性能1.8L4気筒自然吸気エンジンの2タイプをラインナップ。ロングホイールベース、ショートオーバーハングにより高速安定性が向上したこともポイントです。

サスペンションはフロントがマクファーソンストラット式サスペンションを採用。またリヤ部分は新開発のダブルウィッシュボーン式サスペンションが装備され、ロードホールディング性に優れた上質な乗り心地を提供してくれます。

その他にもカラード本革巻ステアリングホイールやアルミペダルなどの、スポーツ性能を重視した装備も魅力の一つ。軽快な走行性能や、スタイリッシュで若々しいデザインがユーザーの支持を集め発売当初から高い人気を誇りました。

しかしながら2006年に惜しまれつつも提供を終了し、約36年の歴史に幕を閉じることに。現在でも多くのファンが新型モデルの発表を待ちわびている一台です。

9 中古車での相場

セリカの歴代シリーズの現在の相場が気になるかたも多いのでは。

7代目セリカが生産を終了してから長い年月が経ちますが、人気車種は高値で取引されているものも存在しています。例えばセリカGT-FOURなどの人気車種であれば、300万円台の価格が設定されていることも。

その他にも初代から3代目までのモデルは年式が古く車の状態にもよりますが、ほとんどが最低でも100万円台からのスタート。高価なものでは500万円に近い価格が付けられた初代セリカもあるほどです。

またセリカの特徴的なモデルでもあるコンバーチブルは、高くても100万円台がほとんど。しかしオープン仕様なので、経年劣化とそれに対応する部品交換が必要になる場合もあることを覚えておきましょう。

気になるかたは程度の確認と、部品供給性に関して事前に確認してから決断することをおすすめします。

まとめ

70~90年代の日本の自動車史のなかで、セリカは欠かすことができないモデルです。

初代モデルは商業的に成功を収めた日本初のスペシャルティカー。DOHCエンジンを搭載し人気を集めた2代目セリカ。WRCで輝かしい成績を収めた、四輪駆動のセリカGT-FOURをリリースした4代目セリカも忘れてはいけません。

モデルチェンジを行うたびにエクステリアを大きく変更しつつも、そのデザインは時代の最先端でありスタイリングの良さが魅力でもあります。

まさに時代を彩った名車であり、その上質な乗り心地を一度は体験してみたいものです。

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