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聞き馴染みのない「運転経歴証明書」とは

聞き馴染みのない「運転経歴証明書」とは

高齢者による自動車事故のニュースが度々取り上げられており、それと併せて議題に上がるのが免許証の自主返納。

利用者は年々増加傾向にありますが、一方で公的に身分を証明する本人確認書類がなくなってしまうなどの声も少なくありません。

そのような場合に利用したいのが、今回のテーマでもある「運転経歴証明書」。

これは2002年に導入された制度ですが、いまいち内容を知らない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は運転経歴証明書にスポットを当て、その概要から取得方法や氏名や住所が変わった場合の手続き方法などについて学んでいきましょう。

1 運転経歴証明書とは

免許の自主返納制度が1998年にスタートされましたが、自主返納を行うことで本人確認書類がなくなるとの声から2002年に導入されたのが運転経歴証明書。

これは運転免許証を持っている方が自主返納をした日から、過去5年間の運転経歴を証明してくれるものです。

運転経歴証明書を取得することで、以前に所持していた運転免許証の一部情報が引き継がれ、免許の取得日や種別などが表記されます。

また運転経歴証明書には交付番号が付与されており、以下のように末尾の数字で運転経歴を確認することができます。

  • 末尾が1の場合:優良運転者
  • 末尾が2の場合:一般運転者
  • 末尾が3の場合:違反運転者

運転免許証とサイズは変わらず、顔写真付きなので本人確認書類としても使用できることがポイント。2012年4月1日以降に交付された運転経歴証明書であれば、銀行などでも公的な本人確認書類として利用することが可能です。

さらに有効期限は設定されていないので、生涯に渡って使用することができるのも嬉しいポイント。また支援協賛店に提示すると、さまざまな支援を受けることができます。

運転経歴証明書を取得することでのメリットや受けられる特典などについては後ほどお伝えします。

2 運転経歴証明書の取得方法

2-1 申請期間と申請場所

運転経歴証明書の交付申請期間は、運転免許を自主返納した日から5年以内であれば可能です。

発行するのは、運転免許証と同じく各都道府県の公安委員会。申請の受付場所も運転免許証と同様で、各警察署や運転免許センター・運転免許試験場です。

自主返納および運転経歴証明書の取得は同時に行うことができ、既に自主返納が済んでいる場合は、免許証を自主返納した都道府県の管轄する運転免許試験場に申請しなければいけないことを覚えておきましょう。

運転経歴証明書の発行までにかかる期間は、運転免許センターであれば即日対応ができます。しかし申請場所が警察署の場合は、手続きが完了し交付までに一ヶ月程度かかるため注意が必要です。

2-3 交付申請時の必要な書類

運転免許の返納と運転経歴証明書を同時に行う場合、以下のものを準備しましょう

  • 運転経歴証明書交付申請書
  • 返納する運転免許証
  • 申請用写真 
  • 手数料

運転経歴証明書交付申請書は窓口で受け取るものです。申請用写真のサイズは、縦3.0センチメートル×横2.4センチメートルのもので、申請前6ヵ月以内に撮影した無帽、正面、上三分身、無背景のものを一枚用意してください。

手数料は各都道府県によって金額が異なるので、あらかじめ確認しておきましょう。

代理人による申請の場合は、上記のものと委任状を準備する必要があります。また代理人の住所、氏名、生年月日が確認できる本人確認書類も持参しましょう。

代理人の申請手続きが可能なのは主に親族が対象です。また、申請者が入院などしている場合であれば、該当の施設の方、福祉関連の業務に従事する有資格者の方でも申請を代理で行うことができます。

3 運転経歴証明書の交付申請ができないことも

運転経歴証明書の交付を受けるには条件があることを覚えておきましょう。

免許証の有効期間を失効してしまった方や、交通違反などによる免許停止や取り消し処分を受けた方、または違反などによる再試験を受ける必要がある方は交付を受けることができません。

このような場合は、運転経歴証明書の交付申請ができないため、あらかじめ問題がないかをチェックしておきましょう。

また運転経歴証明書の交付可能な期間は前述した通り、自主返納日から5年以内と定められているので、この期間を過ぎれば当然なながら交付対象外となります。

つまり運転経歴証明書の交付については、前提条件として所持する運転免許証が有効期間内かつ、自主返納する方が対象となることを覚えておきましょう。

4 住所や氏名が変わった場合の手続き方法

運転経歴証明書の住所や氏名が変わった場合には手続きが必要です。

住所が変更された場合は、運転経歴証明書と新しい住所が確認できる住民票やマイナンバーカード、健康保険証などのいずれかの書類を準備してください。

マイナンバーカードの場合は、個人番号が記載されていないもので、マイナンバーの通知カードでは受け付けることができません。

申請場所は、居住地域の免許センターなどで手続きを行います。もし以前に住まわれていた県とは別の都道府県に転居された場合は、転出先都道府県の免許センターなどへお問い合わせましょう。

氏名が変わった場合は、運転経歴証明書と住民票やマイナンバーカードを準備し手続きを行います。

こちらも住所変更同様にマイナンバーカードの場合は、個人番号が記載されていないもので、マイナンバーの通知カードでは受け付けることができないことを覚えておきましょう。

5 運転経歴証明書を取得することでのメリット

5-1 身分証明書として使用可能

前述したように運転経歴証明書を取得することで、公的な本人確認書類として使用できることがメリット。

また有効期間も定められていないので、生涯使用することができます。運転免許証であれば更新手続きが必要ですが、運転経歴証明書の場合はそのような煩わしさから解放されることも嬉しいポイントです。

ただ本人確認書類の種類が指定されている場合は、運転経歴証明書では利用できないこともあるので注意が必要です。

例えば本人確認書類に“免許証”の記載があった場合、有効な運転免許証を指していることがほとんど。運転経歴証明書では受け付けられないケースもあるので、身分証明書の提示が必要な場合は事前に確認しておくことをおすすめします。

5-2 自治体が主催する特典

運転経歴証明書を取得することで特典を受けられることもメリットの一つ。

大きく自治体主催の特典と民間主催の特典の2種類に分類されており、各都道府県や民間団体により、特典を受けることのできる条件が異なります。特典を利用する際には、あらかじめチェックしておきましょう。

自治体が主催するものであれば、免許を返納することで生活の移動手段に支障がでないような特典が用意されています。例えば鉄道やバス、タクシーなどの公共交通機関の運賃割引や、交通系ICカードの交付などです。

自動車を所有していても、あまり運転していないなんて方も多いでしょう。そのような場合には、運転経歴証明書の交付を受けることで、お得に交通機関を利用することができるかもしれませんね。

5-2 民間主催の特典

民間が主催する特典は、買い物後の配達料金の割引や車椅子を購入する際の割引などの特典など、メリットは実にさまざま。

自治体によっては商店街で買い物をすると商品が割引される特典や、粗品や記念品を提供していることもあります。

日常生活を送るうえで、商品購入等の際にさまざまな割引サービスを受けられるのは、長期的に見ると、経済的な面でもお得と言えるかもしれません。

6 運転免許経歴証明書との違い

運転経歴証明書に似た言葉で、運転免許経歴証明書があります。

これらの違いは、まず発行先が違う点です。運転経歴証明書を発行するのは、運転免許証と同じく各都道府県の公安委員会。一方、運転免許経歴証明書は自動車安全運転センターが発行しています。

また運転免許経歴証明書は、過去に失効した免許や取り消された免許、現在受けている免許の種類、取得年月日等について証明する書類です。

あくまでもこれまでの免許の経歴を証明するものであり、身分証明書にはなりません。自動車安全運転センターでは運転免許経歴証明書を含む以下の4つの証明書を発行しています。

各種証明書の発行には一律670円の交付手数料が必要です。基本的には即日発行は難しく、1~2週間程度かかることを覚えておきましょう。

6-1 無事故・無違反証明書

無事故・無違反証明書はその名の通り、事故や違反をしていない期間を証明するものです。利用するシーンは、各都道府県の交通安全協会による「優良自動車運転者表彰」への申請時などです。

証明日より一年以上事故や違反などの記録がなければ、証明書とあわせて「SD(セーフドライバー)カード」も受け取ることができます。これは、ガソリンスタンドや飲食店など対象の店舗で提示すれば、お得なサービスが受けられるものです。

6-2 運転記録証明書

運転記録証明書は、過去5年間まで遡り交通違反、事故、運転免許の行政処分について証明するものです。利用する場面は、個人タクシーの申請及び更新するタイミングや、運送業など車を使う職業への転職などに活用されます。

証明期間は5年・3年・1年から選択でき、どの期間を選んでも手数料は変わりません。また、こちらも証明日より一年以上事故・違反等の記録がなければ証明書とあわせて「SDカード」を受け取ることができます。

6-3 累積点数等証明書

累積点数等証明書は、交通違反や交通事故の点数が現在何点になっているかを証明するもの。証明書には、事故や違反の内容と発生している場合は年月日、点数などがそれぞれ記載されます。

利用するタイミングは交通違反や交通事故を何度か起こしてしまい、免許停止まであと何点かを確認するなどに便利です。

6-4 運転免許経歴証明書

運転免許経歴証明書は、過去に失効した免許、取り消された免許、現在受けている免許のいずれかの内容を証明するものです。

取得している免許の種類や、その取得年月日または有効期限などが記載されています。

ただし、取り消しされた免許については昭和46年12月31日以前のものであれば証明することはできません。また失効免許に関しては、失効後3年(交通違反歴があるものについては6年)を経過したものに関しては証明できないことを覚えておきましょう。

大型免許や第二種免許の受験時などに利用することがあります。

カーライフに応じて運転経歴証明書を取得するという選択肢も

運転経歴証明書は、運転免許証同様に公的な本人確認書類の一つとして利用することができます。2002年より開始された制度ですが、自主返納者数とともに運転経歴証明書の交付件数も増加しています。

運転経歴証明書を取得する上でのメリットは、本人確認書類になるだけではありません。各自治体や民間が主催する特典を受けられることも嬉しいポイント。

普段からあまり運転されていない方や自動車の運転に不安な方は、免許の返納および運転経歴証明書の取得を検討してみてはいかがでしょう。

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