
2024年1月12日
ファンベルトの役割と故障の症状とは
車のエンジンルーム内には「ファンベルト」という部品が搭載されています。ファンベルトという名称を耳にしたことはあっても、その特徴や役割まで把握しきれていない方もいるのではないでしょうか。
今回はファンベルトとは何か、主な役割やエアコンベルト・タイミングベルトとの違いにスポットを当てて解説します。また、ファンベルトが故障した場合の症状や対処法も紹介しているので、エンジンルームの点検をDIYで行いたい方や、車の不調の原因にエンジンがあるのでは?と考えている方はぜひ参考にしてください。
目次
1 ファンベルトの役割
ファンベルトは、エンジンを駆動させるベルトを指します。
クランクシャフトの回転を動力とし、オルタネーター・ウォーターポンプ・コンプレッサー(エアコン)などの駆動に関わる重要な部品です。
なお、現在のエンジンには電動ファンが搭載されているものが多いため、実際にファンベルトが駆動する車は少なくなっています。
ここではファンベルトの役割について、以下3つの視点から解説します。
- エンジンの冷却
- パワーステアリングの作動
- オルタネーターの作動
1-1 エンジンの冷却
エンジンは、継続的な稼働による高熱で破損しないように、冷却水により冷やされています。
冷却水を循環させて冷却効果をキープするために、ラジエーター内にウォーターポンプが搭載されています。ウォーターポンプは、ファンベルトによって駆動されています。
つまり、ファンベルトは直接エンジンを冷やすわけではありませんが、エンジンの冷却に必要な部品を動かすために重要な役割を果たしています。
1-2 パワーステアリングの作動
ファンベルトは、パワーステアリングを正常に作動させる役割も果たします。パワーステアリングとは、ハンドル操作をアシストする機構のことです。
近年市場に流通している車の多くにはパワーステアリングが搭載されており、パワーステアリングを機能させる部品の正常な動作に、ファンベルトが活躍します。
1-3 オルタネーターの作動
車の中で使用される電気を生む部品である、オルタネーターの作動もファンベルトの役割です。
車の多くは、エンジンの回転力を利用することでオルタネーターを回して発電する仕組みになっています。発電により生まれた電力は、エンジンや電飾を作動させるためバッテリー内に溜め込まれます。
ファンベルトは、オルタネーターにエンジンの回転力を伝える役割を果たすため、やはり非常に重要な部品です。
2 エアコンベルトとの違い
ファンベルトと混在しやすいエアコンベルトは「作動させる部分」に違いがあります。
車の中で使用する電気を生み出すのがファンベルトの役割だとしたら、エアコンコンプレッサーを作動させるのがエアコンベルトです。
とはいえ、ファンベルトとエアコンベルトが分かれている車は古い物が多く、オルタネーターとエアコンコンプレッサーをそれぞれ別で作動させる車にファンベルトとエアコンベルトがそれぞれ搭載されているイメージです。
3 タイミングベルトとの違い
同じくファンベルトと混在しやすいタイミングベルトとの違いは、それぞれの「役割」です。
上述したように、ファンベルトはオルタネーターなどを稼働させる部品を指します。対してタイミングベルトは、吸排気のタイミングに関連するパーツです。
具体的には、エンジンの回転に必要なクランクシャフト・カムシャフトを連携させることで、適切なタイミングでバルブを開閉できるようになります。
またファンベルトがエンジンルーム内で目視できるのに対し、タイミングベルトはカバーに覆われているため目視しづらいのも違いの一つです。
4 ファンベルトが故障した場合の症状
エンジンの冷却やハンドル操作のサポートなど、多くの役割を持っているファンベルト。そんなファンベルトも、車の走行距離やベルト本体の経年劣化などにより、故障することがあります。
ここでは、ファンベルトが故障した場合の主な症状である、以下4つについて解説します。
- バッテリーが上がる
- エアコンが効かなくなる
- ハンドルが重くなる
- オーバーヒートする
4-1 バッテリーが上がる
ファンベルトが切れると、エンジンがかからなくなり、バッテリーが上がってしまいます。
ファンベルトは、エンジンの回転力をオルタネーターやウォーターポンプなどの回転部品に伝える役割があります。ファンベルトが切れると、これらの回転部品が動かなくなり、エンジンの冷却や発電ができなくなります。
エンジンの冷却がうまくできないと、エンジンがオーバーヒートして故障する可能性があります。また、発電ができなくなると、バッテリーが上がってしまい、エンジンがかからなくなる可能性があります。
4-2 エアコンが効かなくなる
エアコンに連結しているファンベルトが故障すると、エアコンが効かなくなります。
ファンベルトの故障でコンプレッサーが停止し、エアコン内部に充填されているガスが循環しなくなるのが理由です。車のエアコンは非常にデリケートであり、ゴム製のファンベルトが切れた衝撃により不具合・破損を引き起こすことも。
ファンベルトの故障がきっかけでエアコン本体に不具合が発生すると、たとえファンベルトを交換しても症状が改善されません。
4-3 ハンドルが重くなる
ファンベルトの故障はハンドル操作をアシストするパワーステアリングにも影響を及ぼすため、ハンドルが重くなることも故障のサインです。
ファンベルトが故障すると、パワーステアリングがついていない車以上にハンドルが重くなるため、日常的な運転にも支障をきたすでしょう。
また、パワーステアリングには油圧式と電動式があり、油圧式の場合はファンベルトが故障するとすぐ症状が出るため対処しにくいのが特徴です。
一方電動式であれば、ファンベルトの故障からパワーステアリングに影響が出るまでの時間にタイムラグがあるため、対処しやすいでしょう。
4-4 オーバーヒートする
ファンベルトは、故障によりオーバーヒートを引き起こす部品でもあります。
エンジン内にあるラジエーターを動かす、ウォーターポンプの正常な動作に影響を与えるためです。
ウォーターポンプに異常が発生すると、内部の冷却水が温まってしまいオーバーヒートを引き起こします。
またオーバーヒートがきっかけで、エンジンの焼き付きやエンジン周辺のパーツへの悪影響なども懸念されるため、早急に修理しましょう。
5 ファンベルトが故障した場合の対処法
ファンベルトが故障したら、すぐにロードサービスに連絡しましょう。
故障直後であれば自走はできるものの、ハンドル操作やエアコンの不備がある状態で運転し続けることになります。
また、故障後も自身で運転し続けることで、バッテリー上がりやオーバーヒートの危険もあるので、できるだけ早急にロードサービスかJAFに連絡をすることが大切です。
ロードサービスを呼んだら、修理工場やディーラーに持ち込み、ファンベルトの交換やエンジンの点検を依頼してください。
ロードサービスに関する記事は、コチラでも解説しているのであわせてご覧ください。
ファンベルトはエンジンやハンドル操作における重要な役割を持つ部品
ファンベルトは、エンジンの冷却やパワーステアリング・オルタネーターをさせるための重要な部品です。
バッテリー上がりやエアコンの不具合、ハンドル操作への悪影響が懸念されるため、故障時は速やかに専門的な技術を有したところに修理を依頼しましょう。
近年ではファンベルトがない車も多いものの、旧車をはじめとした車には搭載されています。せっかく購入した旧車での運転を楽しみ続けるためにも、ファンベルトの役割や故障の症状を把握しておきましょう。
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