2022年2月28日
インタークーラーの役割や仕組み、メンテナンス方法について
インタークーラーは車のターボ性能を維持するために活躍する装置です。車種によって設置されている位置が異なり、設置されていない場合もあります。
名前は聞いたことはあるけど詳しく知らない方や、まったく聞き覚えのない方もいるのではないでしょうか。
そこで今回はインタークーラーの役割や仕組み、種類やメンテナンスの方法について詳しく解説していきます。
目次
1 インタークーラーの役割や構造について
インタークーラーはターボ機能が搭載されている車には必須の冷却装置のことで、バンパー部分から見える場所に設置する「前置き」と、エンジンルーム内に設置する「中置き」の2種類があります。
ここでは、インタークーラーの仕組みや役割について説明していきます。
1-1 インタークーラーの役割
インタークーラーの役割はターボからエンジンへ送られる熱気を冷却するためのもの。なぜ熱気を冷却する必要があるのかというと、エンジン内の温度が高いままだと、ターボ効果が薄れてしまうためです。
空気の温度が高いままだと、ノッキングというガソリンが着火するタイミングがずれる現象が発生し走行に悪影響を与えることも。また点火プラグに火花が発生する危険性もあるため、インタークーラーで空気を冷やすことは、機能面と安全面どちらにも重要なポイントです。
1-2 インタークーラーの仕組みと構造
インタークーラーは、コンプレッサーから入ってきた空気を冷やしタービンへ送り込みます。
車にターボがかかると、チャージャーに付属しているタービンがコンプレッサーを回転させます。これにより圧縮された空気は温度が上昇し、そのままでは熱い空気をエンジンに直接送り込むことになります。
熱を持った空気はエンジンの出力低下や燃費低減につながるため、エンジンに到達する前の冷却が必要です。そこで、吸気温度を下げる仕組みのインタークーラーが役に立ちます。
インタークーラーは、エンジンと空気の通り道の間に設置されていることが多く、エンジンの燃焼効果をより高めるため、圧縮によって空気を冷却する仕組みになっています。
2 過給器とは
過給器は燃焼室へより多くの空気を送り込むことを役割とするパーツ。エアインテークから取り入れた外気をコンプレッサーハウジングで圧縮し密度を上げることで、エンジンがより大きな出力を発揮してくれる訳です。
自動車に採用される過給器は「ターボチャージャー」「スーパーチャージャー」「ツインチャージャー」の3種類。
ターボチャージャーは通称ターボと呼ばれており、エンジンを補助する部品としての役割を果たします。燃焼室から排出された排気ガスを利用しているので、タービンハウジングを回転させるための新たな動力源を用意する必要がありません。これにより高出力を発揮できることが最大の魅力です。
ターボチャージャーについての仕組みや構造、搭載することでのメリットやデメリットを解説していますのでこちらもご覧ください。
スーパーチャージャーは前述したターボチャージャーとの大きな違いは、排気ガスを使用せずクランクシャフトやモーターが動力源になっていることがポイント。クランクシャフトの場合、プーリーやベルトを利用しておりコンプレッサーへ伝導し空気を圧縮。低回転から過給できることが特徴ですが、高回転域でのエンジンパワーが損なわれてしまうことがネックです。
ツインチャージャーはターボチャージャーとスーパーチャージャーを組み合わせたもの。低回転域をスーパーチャージャーで過給し、高回転域をターボチャージャーで過給する仕組みになっているのでエンジン出力と過給を効率よく活かすことができます。その反面、多くのパーツを搭載することで車体重量が重くなる点と、メンテナンス時に他の過給器と比べ費用がかかってしまうことを覚えておきましょう。
3 代表的なインタークーラーの種類
インタークーラーには、水冷式と空冷式の2種類があります。それぞれの特徴について以下で解説します。
3-1 水冷式インタークーラー
吸気の温度を冷却水で下げるタイプのインタークーラーです。システム自体が小さくても冷却効果が高く、低速域でも空気の温度を下げられる特徴があります。
コンパクトなため設置する場所の自由度が高く、緻密な温度制御も可能なため、導入される車種が増加傾向にあります。ただし、部品の数が多いことから、設置コストが高くなってしまうのが難点です。また、冷却水の温度を水温以下にできないため、冷却水そのものを冷やす装置が必要なことも覚えておきましょう。
3-2 空冷式インタークーラー
走行中に受ける風で吸気温を下げるタイプのインタークーラーです。外気が直接当たるラジエーターの前などに設置するのが一般的です。
水冷式よりもシンプルな構造で、コストを抑えられるメリットがあります。また、速度が上がるほどより効果が発揮できるのも空冷式の特徴です。
ただし、インタークーラーのコアとなる部分に風が当たらなければ効果を発揮しないため、設置場所が限定されるデメリットがあります。
4 インタークーラーをメンテナンスすべき理由
インタークーラーはエンジンに送り込むための空気が通る場所です。そのため、オイルなどの不純物が混じった「ブローバイガス」で徐々に汚れてしまいます。
ブローバイガスに含まれる不純物がインタークーラーの内部に詰まってしまうと、冷却効果が下がってしまいます。汚れや詰まりは、ノッキングなどの燃焼不良でエンジン不調を引き起こす原因です。
そのため、インタークーラーは定期的なメンテナンスが必須の場所といえるでしょう。
5 自分でできるインタークーラーの洗浄方法
5-1 取り外し
まずはインタークーラーを取り外してください。前置きの場合はバンパーや下部のカバーなどを外しておく必要があります。
中置きであればエンジンルームが見える状態でエンジンカバーを取り外しましょう。次に、バルブに接続されているホースをイン→アウトの順に外したら、インタークーラーが取り外せます。
5-2 準備
インタークーラーを取り外した後は洗浄の準備です。インタークーラーの穴部分から洗浄液が漏れ出ないように入口以外の箇所を塞ぎましょう。手が汚れないようにゴム手袋などを装着するのも忘れないでください。
5-3 洗浄
洗浄の準備ができたら、いよいよ洗浄を開始します。まずは入口部分に洗浄液やホワイトガソリンを流し込んでください。その後、入口を塞いだ状態でインタークーラーを振りましょう。
ある程度振り終わったら、洗浄液やホワイトガソリンを排出します。この作業を数回繰り返し、排出される液体の色が綺麗になってきたら完了です。
5-4 乾燥・設置
洗浄が終わったあとは、インタークーラーを日光に当てて乾燥させます。乾燥が不十分だと、洗浄液などがエンジンに流れ込んでしまうため、トラブルにつながる危険性があります。
できれば1日は乾燥させ、時間がない場合は扇風機やドライヤーなどで乾燥させましょう。十分に乾燥できた後は、取り外した際と逆の手順でインタークーラーを設置し、完了です。
縁の下の力持ち「インタークーラー」
インタークーラーは、ターボ車には必須の冷却装置。エンジンの性能アップだけではなく、劣化やトラブルを防ぐための役割を果たします。
ただ、注意しておくべき点がメンテナンス。汚れた空気が通るため、定期的にチェックしないとエンジンの不調に繋がることを覚えておきましょう。