2020年9月4日
日産スカイラインの人気モデル「ハコスカ」とは?ケンメリやヨンメリとの違いについても解説
日産史上、シリーズ最長の歴史を持つ「スカイライン」。初代スカイラインは1957年に誕生しました。実はスカイラインは日産ではなく、プリンス自動車がリリースしたモデルなんです。
現在では13代目スカイラインが最新型となっており今もなお、車好きから熱い支持を集めているシリーズの一つ。そんな人気シリーズの火付け役となったのが、“ハコスカ”の愛称で知られている3代目スカイライン。
今回はスカイラインシリーズの中でも、特に人気を集めているハコスカについて、特徴から愛称の由来、現在の相場についてまで解説していきます。
目次
1 ハコスカの概要と愛称の由来
ハコスカは、1968年に日産がリリースした3代目スカイライン。プリンス自動車と日産自動車の合併後に生まれたモデルです。
その角ばったボディが特徴的だったことから「箱型のスカイライン」を略して、ハコスカの愛称が生まれました。
今でこそハコスカという名前が広まっていますが、当時はCMのキャッチコピー「愛のスカイライン」から愛スカとも呼ばれていたことも。ハコスカの誕生をきっかけに、1989年までにリリースされたスカイラインにはそれぞれに愛称がつけられるようになった程。
またハコスカはGT-Rの原点でもあります。これはS20型のエンジンを搭載し、運動性能を重視した最上級の走りを実現させた1台です。
2 ハコスカの型式と特徴
ハコスカが販売さていた期間は1968年から1972年までの4年間。いくつかの型式がリリースされました。
累計販売台数はGT-Rを含むと31万台を記録している人気車種です。ここでは型式別の特徴を説明していきます。
2-1 スカイラインC10型
3代目スカイラインとして、1968年に初めて誕生したのがC10型。セダンタイプで1500ccエンジンのG15型を搭載しています。日産とプリンスが合併し、リリースされたモデル。
当時の1500ccクラス初のディスクブレーキを採用しており、シャーシのグリスアップ不要距離は10万kmまで伸びました。
コンセプトは「ファミリーユースとスポーツ性の両立」。ボディバリエーションは3種類リリースされ、「4ドアセダンのC10型」「エステートのWC10型」「バンのVC10型」をラインナップ。
足回りはフロントがマクファーソンストラットとコイルスプリングの組み合わせに変更されています。
グレードはスタンダードとデラックスのみの展開です。デラックスにはファミリーデラックス、ツーリングデラックス、スポーティデラックスの3種類をメインに展開しています。
女性仕様の「Lパック」がメーカーオプションとして用意されており、当時としては幅広いバリエーションで人気を集めたモデルです。
2-2 スカイラインGC10型
スカイラインGC10型は1968年にリリースされたモデル。ここから日産が吸収合併したプリンス自動車時代のスカイラインから脱却し、本格的に日産のスカイラインと確立されていきます。
当時開催された東京モーターショーで「スカイラインGTレーシング仕様」が出品されました。スカイラインの中でもレースに使用されることを目的として開発された車種です。
レースにおけるあらゆる規制や、規則範囲内において最大の性能を発揮する専用エンジンと装備品を組み込んでいることが最大の特徴。これがのちのGT-Rとなるモデルです。GT-Rは「スカイラインGTのレーシング仕様」という意味で、Rの部分はRacingの頭文字を指します。
GT及びGT-Rは共に排気量2.0Lですが、以下の最高出力と最大トルクが決定的な違いです。
【GTスペック】
- 最高出力88.3kW(120PS)/6000rpm
- 最大トルク166.7Nm(17.0kgm)/4000rpm
【GT-Rスペック】
- 最高出力117.7kW(160ps)/7000rpm
- 最大トルク176.5Nm(18.0kgm)/5600rpm
GT-RはGTに比べ、より高速走行を想定した上位グレードです。今なお続くGT-Rの血脈はハコスカからスタートしました。エンジンは2000ccエンジンL20型を搭載したモデルで、最高出力は105馬力を誇ります。
6気筒エンジンが持つ等間隔燃焼のバランスの良さや静粛性の高さに加え、7ベアリングクランクシャフトを採用したことにより、当時としては高い高速耐久性を持っていることも特徴の一つです。
2-3 スカイラインPGC10型
スカイラインPGC10型は、1969年にレーシングマシンエンジンをベースに開発された、2000ccエンジンS20を搭載したモデルです。これが有名なスカイライン2000GT-R。
4ドアセダン仕様で、グレードは800スポーティデラックスとスポーティS(PC10型)を追加しています。
まだクーペモデルのスカイラインが存在していなかったので、セダンタイプでの最強マシン投入と言える1台。販売台数は832台を記録しています。
2-4 スカイラインKPGC10型
KPGC10型は1970年にリリースされたクーペモデル。
今までのデザインとは異なり、ダッシュパネルなど室内の大幅変更からフロントグリルやテールランプ、前後のバンパーなど外観の変更もされています。
2ドアハードトップモデル仕様で、エンジンはS20型の直列6気筒DOHCを搭載。販売台数は1197台を記録しています。
3 ハコスカの相場
旧車の中でも高値で取引されているハコスカ。現在では、どのくらいの金額で取引されているのか気になるところでは。
当時のGT-Rの販売金額は約150万円。当時の金額ですので、現在の価値に変換すると約950万円程です。
手の届く人はごく一部で、ハコスカ全体の販売台数約31万台に対し、GT-Rは1945台ほどの販売数だったことから、相当の高級車に位置していたことがわかるのでは。
現在ではハコスカ自体の台数も減少しており、手に入れるのは非常に困難です。もちろん車自体の状態にもよりますが、一般的には400万〜600万円で取引されています。
GT-Rの値段はその希少性も相まって1000万~となっており、以前オークションサイトでは4000万を超えた極上車もある程です。
4 愛称で呼ばれているスカイラインシリーズ
スカイラインシリーズには、ハコスカ以外にも愛称がついている車種がいくつかあります。
ここでは愛称がついた、代表的なスカイラインシリーズを紹介していきます。その他の歴代車種について知りたい方はコチラも併せてご覧ください。
4-1 ケンメリの愛称で親しまれている4代目スカイライン
ケンメリの愛称で知られている、1972年に登場したスカイラインC110型 。ケンとメリーがスカイラインに乗り日本各地を旅する当時のシリーズCMは、社会現象を巻き起こす程。このケンとメリーを略してケンメリの愛称が誕生しました。
販売期間は約4年間でしたが約67万台を生産し、歴代スカイラインの中で最多販売数を叩きだしています。
ケンメリの特徴はテールライトが丸型4灯になっていること。これはスカイラインの象徴として10代目のR34スカイラインまで受け継がれ、R35 GT-Rにも継承されている程。
また4ドアセダンは「4枚のドアがあるケンメリ」ということで、「ヨンメリ」の愛称で知られています。
4-2 ジャパンの愛称で親しまれている5代目スカイライン
1977年に、「ジャパン」の愛称で親しまれる5代目(C210型)にフルモデルチェンジしたスカイライン。当時のCMキャッチコピーである「SKYLYNE JAPAN」からジャパンの愛称がつきました。
エンジンは自動車排出ガス規制の影響を大きく受け、発売当初はDOHCもターボも設定されませんでした。日産として初のターボエンジンとATを組合わせたモデルでもありました。
1980年にリリースされたC210型は警察車両としても採用される程。テレビドラマ「西部警察」でも採用されており、記憶に残っている方も多いのでは。
累計販売台数は53万台を記録しており、スカイラインシリーズの中で2番目を記録しています。
4-3 鉄仮面の愛称で親しまれている6代目スカイライン
鉄仮面の愛称で親しまれている6代目スカイライン。この愛称で呼ばれているモデルは、1983年にマイナーチェンジによって後期型へ移行したモデル。
つまり6代目スカイラインの中でも後期のモデルということです。
大型バンパーが採用され、薄型ヘッドランプやラジエーターグリルレスの風貌から鉄仮面の愛称がつけられました。
まとめ
今回は日産のスカイラインシリーズの中でも人気を集めているハコスカについて解説してきました。ハコスカの由来は、その風貌から「箱型のスカイライン」を略して愛称が生まれました。
ハコスカはダブルクラッチやステアリングは重く、ブレーキがあまり効かないなど現代の車に比べると欠点ばかり…。
しかしながら、現在でも旧車ファンの間では不動の人気を集めているハコスカ。その人気ぶりから台数も減少しており、入手するのは困難な程。
今でも車好きの方から絶大の人気を誇るハコスカを体験してみてはいかがでしょうか。