2020年10月11日
革新的な技術を搭載してきたスカイラインの歴代車種を公開!
60年以上の歴史を持つ日産が提供しているスカイラインシリーズ。現在まで13代を数えており、車好きだけではなく世界中で人気を集めているシリーズです。
ハコスカやケンメリなど愛称で親しまれている車種や、モータースポーツ界でも数々の栄光を勝ち取ってきた名車スカイライン。それぞれの時代の最先端の技術を搭載し現在まで進化を遂げてきました。
今回はスカイラインの歴代車種について、スペックや特徴について改めて紹介していきます。
目次
1 スカイラインとは
スカイラインは1957年に誕生し、当初は日産自動車ではなく富士精密工業の主力車種として生産をスタート。後に富士精密工業はプリンス自動車へと変更し、日産と合併することになります。
スカイラインは「山並みと青空を区切る稜線」に由来しており、数々の名車を誕生させ自動車業界の歴史に名前を刻んできました。型式毎にキャッチコピーが存在しており、その中でも3〜8代目スカイラインにはファンの間から生まれた愛称で親しまれている程。
スカイラインシリーズは乗用車としても人気を集めていますが、モータースポーツに参戦し活躍の場を広げています。スポーツカーの代名詞ともいえるGT-Rがその位置づけ。伝説の29連勝など数々の偉業を達成しています。
2 「プリンススカイライン」ALSI-1型
スカイラインの初代はALSI-1型で、キャッチコピーは「プリンス スカイライン」。
グレードはスタンダートタイプとデラックスタイプの2種類を提供しています。ボディスタイルは海外の欧州車を彷彿させるボリューム感のあるデザインが特徴的です。エンジンは直列4気筒OHV・1484ccのGA30型を搭載。当時の国内生産車の1500ccクラスで最高速度125km/hを記録し、車好きの憧れの存在となりました。
また後輪懸架にはド・ディオン式を採用しており、ワイパーは2段階仕様です。国内初の革新的なメカニズムを搭載している一台。ド・ディオン式とは駆動輪用サスペンションの一種で、車軸懸架(固定車軸懸架)方式の一つ。路面への追従性が向上し、乗り心地がよくなることがメリットです。
後にマイナーチェンジが行われテールランプを丸型2灯に変更されました。デラックスのみ4灯式ヘッドランプを採用。
スカイラインの歴史は初代から革新的な試みが行われ、多くの車好きの憧れの存在としてデビューしました。
3 「ニッサン プリンス スカイライン」S50型
S50型は1963から1968年に提供された2代目スカイライン。1966年にプリンス自動車と日産自動車が合併したことで、車名を「ニッサン・プリンス・スカイライン」に変更しています。
初代の米国風フルサイズセダンから雰囲気を一変し、当時の激戦区だった小型ファミリーセダンとしてリリース。エンジンはG1型直列4気筒OHV1484ccを搭載しています。ボディバリエーションは4ドアセダンとステーションワゴンの2種類。
当時の欧米自動車業界で本格化しつつあったメンテナンスフリー化を採用し、4万kmまたは2年間保証の封印エンジンや年間3万km無給油シャシーなど多くの話題を集めました。
その外観からは想像できない圧倒的な走りは、当時のGTレースで活躍していたポルシェを抜き去るほどのスペック。ここから「羊の皮を着た狼」の愛称で親しまれている一台です。
4 「愛のスカイライン」C10型
C10型は1968年に「愛のスカイライン」のキャッチコピーで登場した3代目スカイライン。現在でもファンが多くスカイラインを語る上で欠かすことができない存在です。
ファンの間ではハコスカの愛称で親しまれています。プリンス自動車と日産自動車の合併後にリリースされ、日産自動車として初のスカイラインとして注目を集めた一台。ハコスカはその角張ったボディから「箱型のスカイライン」とファンの間では呼ばれており、そこから略して愛称が誕生しました。
コンセプトは「ファミリーユースとスポーツ性の両立」を掲げ、ボディバリエーションは「4ドアセダンのC10型」「エステートのWC10型」「バンのVC10型」の3種類をラインナップ。
グレードはスタンダードとデラックスのみの展開ですが、女性仕様の「Lパック」がメーカーオプションとして用意されていたことで様々な層から人気を集めました。
エンジンは1500ccのG15型を搭載し、当時では同クラス初となるディスクブレーキを採用。シャーシのグリスアップ不要距離は10万kmまで伸びたことで進化を遂げました。
5 「ケンとメリーのスカイライン」C110型
C110型は4代目スカイラインとして1972年にリリースしています。キャッチコピーは「ケンとメリーのスカイライン」。車好きの間ではキャッチコピーを略してケンメリという愛称で現在でも親しまれています。
グレードは「GL」「GT」「GT-R」の3種類を用意しており、それぞれ特徴的なエンジンが搭載されています。ボディタイプは4ドアセダンと2ドアハードトップ、ワゴンとバンのタイプもラインナップ。全てのモデルにサーフィンラインがデザインされていることが特徴です。
またテールライトが丸型4灯になっており。これはスカイラインの象徴として、10代目のR34型スカイラインまで受け継がれている程。
提供期間は僅か4年間でしたが、累計販売台数は約67万台を生産。スカイラインシリーズの中で今もなおその記録は抜かれてはいません。4代目スカイラインは累計販売台数だけではなく、様々な伝説を残した一台です。
4代目スカイラインについてより詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。
6 「スカイライン ジャパン」C210型
C210型は1977年に発売された5代目スカイラインです。キャッチコピーは「スカイライン ジャパン」で、ファンの間では“ジャパン”の愛称で現在でも親しまれています。
安全装備でもあるハロゲンヘッドランプや発光指針式透過照明メーターなどを標準装備。メーターでは、ゼロ位置をすべて水平にした「水平指針メーター」が特徴的な一台。
当時の自動車業界ではオイルショックやマスキー法と言われる厳しい省燃費・低排出ガス対策が急務となっていました。
これにより、それまでスカイラインの強みであったGTブランドを維持することは難しかったことは言うまでもありません。そんな中でのリリースとなったため、「歴代スカイラインでは最も地味で華々しさに欠けるデビュー」とファンの間では言われている程。
主要グレードは「GT」「TI」の2種類です。それぞれに装備しているエンジンに違いがあり、GTは直列6気筒エンジンを搭載。一方TIは直列4気筒エンジンを搭載しています。
GTには唯一の欠点があり、外装デザインに関しては先代のモデル同様に丸目4灯式ヘッドライトにハニカムグリルなどを採用するなどGTらしさを演出。しかしながら前述した通り省燃費・程排出ガス対策が必要になっていたこともあり、ファンの間では「雰囲気だけGT」と酷評されてしまいます…。
しかし、ここから本来のスカイラインシリーズとして復活を遂げていくことに。
5台目スカイラインがデビューし3年が経過し、スカイラインターボGTターボがデビュー。これが俗に言う「ジャパンターボ」です。
最大の特徴は、エンジンで国産市販乗用車初となるターボエンジンL20ETが搭載されていること。最高速は170km/hから193km/hへとアップし、ゼロヨン加速も18秒台から16秒台へと一気に性能が向上しました。これにより、先代が培ってきたスカイラインのGTブランドの面目を保つ結果となったわけです。
またTVドラマ「西部警察」に登場したことも人気を集めるきっかけの一つ。大門団長の愛車として一際目立つ存在感を放っていたので、記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。
結果として5代目スカイラインは約54万台を生産し、スカイラインシリーズの中で歴代2位の記録を樹立しています。
7 「New愛のスカイライン」R30型
R30型がリリースされたのは1981年で、6代目スカイラインとして登場。キャッチコピーは「New愛のスカイライン」。
ボディタイプは4ドアセダン、2ドアハードトップ、5ドアハッチバックが用意されていました。1985年以降に、ライトバンが追加され幅広いニーズに応えた計4種類がラインナップ。
先代まで続いた特徴的なサーフィンラインを廃止し、ウエッジシェイプなデザインに仕上がっている一台。スポーツイメージや軽快感を全面的に打ち出したモデルです。
5ドアハッチバックはスカイライン史上初となる仕様で、現在では常識とも言えるテンパータイヤの採用やスペアタイヤに空気圧減圧警告灯なども装備されたことが特徴的な一台です。グレードは直列6気筒エンジンを装備する「GT」、また直列4気筒エンジンを搭載する「TI」の2種類があります。累計販売台数は40万台を記録しており、歴代シリーズの中で3番目の記録です。
R30型がリリースされてから2年後の1983年に、スカイライン2000ターボRSが誕生します。国内初となるターボ付4バルブDOHCエンジンを搭載。最高出力205馬力を発揮し、それまでスカイライン史上最高と言われた2代目スカイラインGT-Rを凌ぐエンジン性能です。
当時の国産車を代表するパワーを誇りましたが、最後までGTの名前を車名に冠することはありませでした。それには搭載しているエンジンが深く関係しています。
R30型スカイラインの概要や、GTを名乗ることができなかった理由について解説している記事はこちらをご覧ください。
8 「都市工学7thスカイライン」R31型
R31型は1985年にリリースされた7代目スカイライン。キャッチコピーは「都市工学 7th スカイライン」で、車好きの間では「セブンス」の愛称で親しまれています。
当時の日本ではバブル経済が膨らみ始めたタイミングで、サイズが大きく高級思考の自動車のニーズが高まっていた時代です。
ボディバリエーションは4ドアセダン・4ドアハードトップの2種類を用意し、翌年に2ドアクーペ・ワゴンを追加し合計4種類をラインナップ。直列6気筒DOHC4バルブエンジンを装備しており、HICASやダイレクトイグニッション、可変吸気マニホールドを搭載していることも特徴の一つ。
量産車世界初となるプロジェクターヘッドライトを採用しています。これは高級自動車メーカー「BMW」が世界で初めて採用しており、一部の高級車にしか見られなかったタイプのヘッドライト。現在ではほとんどの車で採用されており、軽自動車でも見かける程です。
さらに世界初となるカードエントリーシステムを装備。これはカードを携帯するだけでドアの施錠・解錠ができる現代のインテリジェントキーの始まりで、R31スカイラインは当時の時代のニーズに合ったハイテク満載の一台です。
9 「超感覚スカイライン」R32型
R32型は8代目スカイラインとして、1989年に誕生しキャッチコピーは「超感覚スカイライン」。スタイリングから足回りなどの機構部分に至るまで完全に刷新され、運動性能を重視したことで多くの車好きの心を掴みました。
また16年ぶりのGT-R復活ということもあり話題を集めた一台です。
ボディバリエーションは4ドアセダンと2ドアクーペの2種類をラインナップ。エンジンに関しては1800ccから2600ccまでの多彩なバリエーションが魅力の一つです。
前述した通り8代目スカイラインでは、4代目スカイライン以降リリースがなかったGT-Rが16年ぶりに復活。エンジンは直列6気筒2568cc 4バルブDOHCにツインターボを装着したRB26DETT型を搭載。駆動方式はFRをベースとし、アテーサE-TSを組み込んだ四輪駆動を採用しています。
国内のみならず海外のレースでも活躍し、数多の輝かしい成績を残したことでも有名です。その人気ぶりから500台限定の「GT-R NISMO」やオーテックバージョン、耐久用のベース車「N1」など多くの限定モデルをリリース。スポーツカーとしての完成度が高く、名車として現在でも評価の高いRB26エンジンの誕生などR32スカイラインはシリーズのみならず日本の自動車の歴史に名を残す一台です。
10 「卓越した走りの本流グランドツーリングカー」R33型
R33型は1993年にリリースされた9代目スカイラインです。コンセプトは居住性と快適性にスポーツ性を合わせ持つ「卓越した走りの本流グランドツーリングカー」。
ボディタイプは2ドアクーペと4ドアセダンの2種類をリリースしています。R32型の課題であった車内の狭さをボディを大型化することで居住性を向上させ、トレッドの拡大による安定性も向上させている一台。エンジンは直列6気筒を搭載し、ターボ付きエンジンを搭載したグレードをラインナップしています。
R33型スカイラインは、後期型からボディデザインを大きく変更することで外観がスタイリッシュな印象に。ABSやロングライフ撥水フロントガラスを標準装備させています。また前期型との大きな違いがバッテリーを積んでいる位置です。前期型はトランクに積まれており、後期型はボンネットに変更されています。
R33型のグレードにはGT-Rがラインナップされていますが、ファンの間では失敗作と言われてしまうことも…。そんな中、1997年にスカイライン生誕40周年を記念し「GT-R オーテックバージョン 40thアニバーサリー」の限定車を発表。これは往年のGT-Rにはない4ドアセダンが設定されており、422台のみリリースされました。
リアドアとリアフェンダーの金型を起こして開発され、フロントバンパーの変更やリアスポイラーの取り外しなどが特徴です。また一般市販はされていますが、パトカーや覆面車両としても活躍している一台。
11 「DRIVING BODY」R34型
R34型は「DRIVING BODY」をキャッチコピーに1998年に誕生した10代目スカイライン。キャッチコピー通り、先代からホイールベースを短縮しボディ剛性を向上させた一台です。その剛性度はメルセデスやBMWを凌駕する程。
ボディタイプは4ドアセダンと2ドアクーペの2種類をラインナップ。スタイリングはシャープかつ引き締まったフォルムへと変貌しています。R33型と比べると全長が短縮されていますが、居住性はそのままになっていることが特徴の一つ。
1999年にGT-Rをフルモデルチェンジを実施しリリース。 先代から全幅がワイド化されており、エンジンはRB26DETT型を搭載している一台です。
12 「THE PREMIUM SPORTS」V35型
V35型は2001年にリリースされた11代目スカイライン。「THE PREMIUM SPORTS」をキャッチコピーとし、歴代のDNAを重視しながら「21世紀の理想のプレミアムスポーツセダン」として誕生しました。11代目スカイラインはそれまでの歴代スカイラインのイメージを払拭するために一新されているモデルです。
エンジンはそれまで採用されていた直列6気筒エンジンを廃止し、小型軽量なV6エンジンを搭載した新世代GTカーへと進化を遂げた一台。
6〜10代目スカイラインには型式に「R」を用いていましたが、こちらのモデルに関してはVQエンジンを搭載しているため、型式に「V」が採用されていることが特徴です。このことから11代目スカイライン以降は「スカイラインの第二世代」とも呼ばれています。
デザインに関しても直線的なものからより曲線的な見た目へと修正。それまでスカイラインの代名詞ともいえる丸型2連テールランプを廃止するなど、大幅なデザイン修正を図りました。
優れた操作性や乗り心地など格段にアップグレードされたV35型は海外の方からを中心に高い評価を受けることに。V35型は新たなスカイラインとして歴史に名前を刻んだ一台です。
13 「日本のクルマにときめきが帰ってくる」V36型
V36型は2006年に12代目スカイラインとしてリリース。キャッチコピーは「日本のクルマにときめきが帰ってくる」。
11代目スカイラインで一新された基本コンセプトを踏襲しつつ、サスペンションの刷新やエンジンのリファインなど様々な変更が施された一台です。ボディタイプは4ドアセダンのみのラインナップでした。のちにクーペタイプやクロスオーバーSUVを追加しています。サスペンション形式は先代で採用されていた4輪マルチリンク式から、フロントがダブルウィッシュボーン式へと変更。
安全装備として新たに自動ブレーキシステムの「インテリジェントブレーキアシスト」や、前方の車に追従できる「インテリジェントクルーズコントロール」などをオプションで追加されたことも特徴の一つです。
駆動方式はフルタイム4WDが設定されており、エンジンは吸排気システムが一新されたV6 DOHC NAを搭載しています。
14 「先駆けるプライド。超えつづける本能」V37型
V37型は13代目スカイラインとして2013年に発売され、現在では最新のモデルです。キャッチコピーは「先駆けるプライド。超えつづける本能」を掲げ、スカイラインでは初となるハイブリッドモデルが追加されています。
2014年には、直列4気筒DOHC16バルブインタークーラーターボエンジンを搭載している200GT-tを追加発表。ちなみに4気筒のエンジンを搭載しているのは8代目スカイライン以来です。
また2019年にはビッグマイナーチェンジが実施され、国産車で初となるプロパイロット機能を搭載しています。これにより、高速道路のルート走行で同一車線内で手放し運転を可能にし話題を集めました。
センターコンソールには以下の5種類のドライブモードセレクターが装備されています。
- 「STANDARDモード」:日常走行向けの仕様
- 「SPORTモード」:機敏な応答性とサウンドでスポーティな走りを高めてくれる仕様
- 「SNOWモード」:滑りやすい路面や雪道などに合わせて駆動力を自動調整してくれる仕様
- 「PERSONALモード」:好みの走行モードが選べる仕様
- 「ECOモード」:ハイブリッド車のみ街中での走行における燃費向上を目指した自動制御を行う仕様
常に進化を遂げるスカイラインシリーズに今後も目が離せません。
まとめ
今回は、60年以上の歴史をもつスカイラインシリーズについて歴代の車種を紹介してきました。
以下のようなそれぞれのモデルに、トピックがあることが特徴のスカイラインシリーズ。
【初代スカイライン】ド・ディオン式を採用
【2代目スカイライン】メンテナンスフリー化を採用
【3代目スカイライン】1500ccクラス初となるディスクブレーキを装備
【4代目スカイライン】歴代累計販売台数67万台を記録
【5代目スカイライン】国産市販乗用車初となるターボエンジンL20ETを搭載
【6代目スカイライン】国内初となるターボ付4バルブDOHCエンジンを搭載
【7代目スカイライン】量産車世界初となるプロジェクターヘッドライトを採用
【8代目スカイライン】ファン待望のGT-Rが16年ぶりに復活
【9代目スカイライン】居住性と快適性にスポーツ性を合わせ持つモデル
【10代目スカイライン】ベンツやBMWを凌駕する程のボディ剛性
【11代目スカイライン】往年のスカイラインのイメージを払拭したモデル
【12代目スカイライン】自動ブレーキシステムなど安全装備を搭載
【13代目スカイライン】高速道路のルート走行で同一車線内で自動運転を実現
このように、それぞれの時代で話題を集めてきたスカイラインシリーズの今後の動向に注目です。