2020年1月27日
“タテグロ”の愛称で人気を博した3代目グロリアとは?
これまで多くの名車を開発してきた日産自動車。その人気ぶりは国内だけではなく、海外にも熱狂的なファンがいるほど。
1959年に初代が登場したグロリアも人気を集める一台。11世代に渡り2004年まで提供され、現在も旧車ファンをはじめ多くの方に親しまれています。
グロリアはそもそも日産自動車ではなく、プリンス自動車が製造していました。そのため当初のモデルの車名は「プリンス・グロリア」。その後プリンス自動車が日産自動車に1966年に合併されたことで、3代目より車名を「日産・グロリア」に変更。
3代目グロリアは、特徴的な見た目から「タテグロ」の愛称でも親しまれている一台です。
今回は日産が開発した3代目グロリアにフォーカスし、その特徴などについて触れていきます。
目次
1 グロリアの系譜
冒頭で触れたように、グロリアはプリンス自動車が手掛けたモデルで1959年に初代が登場。
ここではもう少し、グロリアについて深掘りしていきましょう。
そもそも初代グロリアはスカイラインの派生モデルとして開発。車名は「栄光・光栄」の意味を持つラテン語に由来して命名されました。
グロリアは当時の国産車の中では最高級車で、今上天皇のご成婚を祝し納入された一台でもあります。
その後、11世代に渡り人気を集めるシリーズへと成長。国産車初の6気筒SOHCエンジンやターボエンジン、V型6気筒エンジンを搭載するモデルを世に送り出すなど、グロリアは革新的な一台としても知られています。
自家用車はもちろんですが、タクシーやパトカー、教習車としても多く採用。2004年に販売を終了し、45年の輝かしい歴史に幕を下ろしました。
2 タテグロの由来
1967年にデビューした3代目グロリア。タテグロの愛称でも親しまれ、現在も多くのファンから支持を集めているモデルです。
そもそもタテグロと呼ばれる理由は、縦に2つ並んだヘッドライト。シンプルな由来ですが、国産車ではこのようなスタイルは珍しかったのです。どちらかというとアメ車に近く、リンカーンやポンティアック、クライスラーといったデザインを採用していました。
3代目グロリアの生産台数は、販売を終了する1971年までに約5万台を記録。グロリアの歴代シリーズの中でも爆発的に売れたわけではありません。
タテグロの人気を後押ししたのが、1990年代のアメ車ブーム。日本車をアメリカンな雰囲気にカスタマイズするトレンドがあったことで、アメ車に近いデザインの3代目グロリアが注目されたという訳です。
そこで多くの自動車ファンの目に留まり、その特徴的な「縦目のグロリア」から「タテグロ」に変化していきました。現在でもタテグロの愛称で親しまれており、多くのファンを魅了している一台です。
3 タテグロの魅力
タテグロは特徴的な縦目のヘッドライトばかりが注目されがち。しかしながら、ボディ構造や搭載エンジンなども魅力なモデルです。
では、どのような特徴があるのかをここでは説明していきましょう。
3-1 ボディデザインや構造
タテグロの由来でもある縦目のヘッドライトから、プリンスロイヤルと似ているためロイヤルルックと称されていました。
プリンスロイヤルは1967〜1972年にかけ、7台のみ製造されたモデル。宮内庁へ納入されたセダン型リムジンです。そんな格式の高いモデルに似ていながらも、アメ車を彷彿とさせるボディデザインが魅力の一つ。
エッジの効いたサイドラインや、ヘッドライトと同様上下2段にデザインされたテールランプがノスタルジックを感じさせます。
ボディタイプは4ドアセダン、5ドアバンの2タイプ。
2代目スカイラインに用いられた、モノコック構造を採用していることもトピックの一つ。ボディ全体で衝撃を分散する構造のため、安全性が高く運転中に車体が振動することを軽減してくれます。
3-2 グレード体系
発売当初のグレード体系は以下の通り。
- スーパーデラックス
- スーパー6
- スタンダード
- バンデラックス
- バンスタンダード
その後、最上級グレードのスーパーデラックスを豪華に仕立てたGLを1970年に追加。
セダンにはH20型エンジン搭載のスタンダードと、G7型エンジンを搭載した「スーパー6」「スーパーデラックス」。
装備面ではスーパー6・スーパーデラックスに、グロリアシリーズ初のフロントディスクブレーキを採用。またスーパーデラックスは前席セパレートシートを採用。5人乗り仕様となり、後部座席用のラジオやシガーライターなどが装備されました。
3-3 搭載エンジン
当初の搭載エンジンは、6気筒と4気筒の2つ。6気筒エンジンはプリンス直系の名機G7型で、4気筒は日産製のH20型です。その後マイナーチェンジのタイミングで、G7型エンジンが名機とも言われるL20型エンジンに変更。
最高出力125ps・最大トルク17kgmを誇るハイオク仕様と、最高出力115ps・最大トルク16.5kgmのレギュラー仕様が用意されました。ハイオク仕様はスーパーデラックスに採用。レギュラー仕様はスーパー6および、バンデラックスに搭載しています。
多くの日産の名車に搭載された「L型エンジン」について詳しく知りたい方はコチラ。
アメ車ブームと共に人気を博したタテグロ
日産自動車が、1967〜1971年に提供していた3代目グロリア。
アメ車を彷彿とさせるボディデザインで、縦目のヘッドライトが印象的。またエッジの効いたサイドライン、ヘッドライトと同様上下2段にデザインされたテールランプがノスタルジックを感じさせる一台です。
外観ばかりが注目されがちですが、搭載エンジンやボディ構造などギミックが詰まったモデルでもあります。
国産車ではあまり見られない見た目でありながらも、昔ながらのロマンを感じられる一台。機会があれば体験してみたいものですね。
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